2009年9月2日水曜日

「アトピー性皮膚炎」について

ゲスト/たけだ皮膚科スキンケアクリニック 武田修 医師

アトピー性皮膚炎について教えてください。
 アトピー性皮膚炎は、大人にも子どもにもよく見られる疾患です。子どもの場合、小児科を受診する場合と皮膚科を受診する場合がありますが、今回は皮膚科の立場からお話しします。
 アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う慢性皮膚炎で、第一の特徴は、乾燥肌であることです。乾燥肌のすべての人がアトピー性皮膚炎ではありませんが、アトピー性皮膚炎の人はほぼ乾燥気味の肌です。乾燥肌に加えて、アレルギー症状があることで、アトピー性皮膚炎となります。アレルギーは、もととなるアレルゲンに過剰に反応することによって起こります。乾燥肌によって肌の免疫機能が劣り、アレルゲンや雑菌の侵入が容易になり、炎症が起こります。さらに、ストレスや不規則な生活など日常生活の中で、アレルギー反応を起こしやすい状況となることも多く、発症の要因は、複合的で単純ではありません。

診断、治療方法について教えてください。
 治りづらい皮膚炎のすべてがアトピー性皮膚炎ではありません。慢性的に繰り返す湿疹(しっしん)がある、皮膚以外のアレルギー性の既往歴がある、家族にアレルギーのある人がいる、などの要素があれば、アトピーを疑い、必要ならば血液検査をしてアレルゲンを特定します。しかし、すべてのアレルゲンが特定できるわけではありません。また、特定できても日常生活から完全に除去するのは困難なのが実状で、多くの皮膚科では除去よりも、治療に力を入れます。
 以前は、アトピーの治療といえば、ステロイド外用薬一辺倒でしたが、副作用などの観点から、最近はステロイドを含まない薬もあります。皮脂膜を厚く丈夫にするスキンケア用保湿剤、治療経過中の色素沈着を薄くするステロイドが入らないアトピー専用の塗り薬などが処方されます。しかし、必要であればステロイドを含む外用薬も処方されます。医師の指示に従って正しく使えば、効果が期待できます。
 いずれにしても、アトピー性皮膚炎の治療は時間が掛かるので、色々な情報に振り回されずに、信頼できる皮膚科医に相談することが大切です。

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