2009年8月12日水曜日

「胃食道逆流症」について

ゲスト/佐野内科医院 佐野 公昭 医師

胃食道逆流症について教えてください。
 胃液が食道に逆流することによって起こります。食道粘膜の炎症(ただれ)を伴うものを逆流性食道炎、伴わないものを非びらん性胃食道逆流症と分けています。胸やけ、口の中に酸っぱい液が込み上げてくる、げっぷが出る、のどの違和感、しわがれ声、咳(せき)、心臓・胸部の痛みなどが主な症状です。以前は日本では少ない病気でしたが、食生活の欧米化や高齢化によって患者数が増えました。また、ヘリコバクター・ピロリに感染していない人のほうが、胃酸の分泌が活発なため発症しやすいともいわれています。
 胃食道逆流症が起こる原因として次のことが考えられます。胃の入り口部分を噴門(ふんもん)といいますが、通常はぎゅっと締まっていて胃の中に入った食物などが食道に逆流しないようになっています。加齢などによって、噴門がゆるんだ状態になると、胃液の逆流がおきます。このほかに、食道や胃の蠕動(ぜんどう)運動の低下、肥満やガードルなどの締め付けによる腹圧の上昇、胃液の分泌増加、骨粗鬆(しょう)症などで背中の骨が曲がってくることなども関係していると考えられています。不快感や胸やけによる不眠などのため、日常生活に対する影響が大きいのがこの病気の特徴です。ごくまれにですが、逆流を繰り返しているうちにガンが発生することもあります。

診察、治療について教えてください。
 まずは問診を行い、胃食道逆流症の可能性が高ければ内視鏡検査を勧めています。「胃カメラは苦手」という人も多いでしょうが、鼻から入れる経鼻内視鏡なら不快感も減りぐっと楽になります。検査では胃液の逆流による食道の炎症(ただれ)の有無のほか、潰瘍(かいよう)やガンなどの異常がないかを調べます。胃食道逆流症と診断した場合には胃酸の分泌を抑える内服薬により治療を開始します。
 ほとんどの場合内服薬で症状が改善しますが、食生活や生活習慣の見直しなども大切です。脂肪分の多い食事や炭酸飲料、アルコールなど胸やけを起こしやすいものを控え、腹八分目を心掛けます。就眠前の飲食を避けることも大切です。少なくても2時間前、できれば3時間前からは飲食を控えるようにしてください。就寝時に体の左側を下にすると症状が軽減することがあります。

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