2004年12月15日水曜日

「皮膚・皮下腫瘍(しゅよう)」について

ゲスト/土田病院 日下 貴文 医師

皮膚・皮下の腫瘍について教えてください。

 皮膚は表皮、真皮、皮膚附属器から構成されます。皮下には脂肪組織、結合繊、血管、リンパ管などがあり、これらを発生母体として、さまざまな腫瘍が発生します。腫瘍とは自律性を持った過剰な発育をする病変で、良性と悪性があります。良性、悪性の違いは、腫瘍細胞の浸潤度、増殖速度、転移や再発の有無、宿主に対する悪影響の程度などの総合判定によって決まります。粉瘤(ふんりゅう)は、最も頻度の高い良性腫瘍で、皮下に皮膚成分を含んだ袋があり、中にはアカが入っています。治療は局所麻酔をして袋を残さず完全摘出します。菌が付きやすく化膿(かのう)してから受診する人が多いのですが、この場合は一度切開して炎症が治まってから根治手術します。ソフトボール大まで成長することもありますが、なるべく小さなうちに手術をしたほうが患者の負担も少なくてすみます。ほかに比較的多く見られる腫瘍としては、脂肪腫があります。脂肪組織から発生した良性の腫瘍で皮下の深い部分にあり、大きくなると筋肉や神経周囲に入り込んでくるため、場合によっては全身麻酔が必要になります。

そのほかにはどんな腫瘍がありますか。

 脂漏(しろう)性角化症は、別名老人性疣贅(ゆうぜい)といい、皮膚の老化現象の一つといえます。黒や褐色の扁平(へんぺい)または半球状の腫瘍で、多発するのが普通です。大きなものは単純に縫い詰めることができないので、周囲の皮膚をスライドさせてカバーします。一般にアザと呼ばれる母斑(ぼはん)は、レーザー治療の対象となります。目から頬(ほお)にかけての紫色の母斑は、太田母斑といい、かつては治療が困難でした。現代ではレーザーでかなりきれいに治療できます。一方でレーザーが効果の無い母斑もあり、これらは外科的に切除します。皮膚悪性腫瘍は、たちの良い基底細胞がん、悪性度が中程度の扁平上皮がん、最も悪性度の高い悪性黒色腫(しゅ)の三種があります。悪性ですから、治療は徹底する必要があります。気になる皮膚の変化があれば、早めに受診して下さい。