2009年5月7日木曜日

「麻疹(はしか)」について

ゲスト/つちだ消化器循環器内科 土田 敏之 医師

麻疹ついて教えてください。

 麻疹の原因は、感染力が強い麻疹ウィルスで、潜伏期が2週間弱あります。最初は38度程度の発熱があり、咳(せき)や鼻水も出て、風邪にそっくりの症状です。乳幼児では、ほかに下痢(げり)を伴うこともあります。3日程度で一度解熱しますが、今度は1日で39度の高熱になり、赤い発疹(はっしん)が出始め、やがて全身に広がります。
 麻疹は現代の日本でも千人に一人は死亡する疾病です。免疫力が低下するため、中耳炎などを合併することがあり、その中でも大きなものは、脳炎と肺炎です。脳炎にかかると、40%の人に後遺症が残ります。合併症がなければ、主な症状は7~10日程度で回復します。しばらくは免疫力が低下しているので、ほかの感染症にかからないよう十分に注意し、また、1週間は外出を禁止し、感染防止に努める必要があります。
 麻疹が治っても、10年ほどして亜急性硬化性全脳炎が発症する場合があります。突然、学校の成績や仕事の能率が落ち、だんだん体が動かなくなり、意識がなくなって死亡するということがまれにあります。麻疹のウィルスが10年間ひそかに脳に生き続けていることが原因と言われています。

感染予防、予防接種などについて教えてください。

麻疹ウィルスは空気感染なので、同じ部屋にいるだけで感染する可能性があります。マスクをしていても、予防は完全ではありません。感染してしまうと、麻疹にはインフルエンザのような特効薬がありません。唯一、身を守る手段がワクチン接種なのです。
1歳児と小学校入学前年度の1年間は定期接種として麻しん風しん混合(MR)ワクチンの接種が可能です。また、2008年4月から5年間の期限付きで、中学1年生相当、高校3年生相当の方に対象が拡大されました。診察した中・高生の2割は抗体価が下がっていました。1歳で1期目を接種しても、この時点で100人の赤ちゃんのうち2人に免疫が出来ません。2期目の接種も、ぜひ積極的に行ってください。
予防接種の副反応として、発熱、発疹、脳炎が挙げられます。また、感染して3日以内ならワクチン接種で発症を防げる可能性があります。