2009年4月8日水曜日

「内痔核(じかく)の注射療法」について

ゲスト/札幌いしやま病院 樽見 研 医師

内痔核について教えてください。

 痔核は痔の中でも最も多いタイプで、一般に「イボ痔」と呼ばれます。できる部位により、内痔核と外痔核があります。内痔核は、肛門奥の粘膜にある、クッションの働きをするやわらかい盛り上がりの部分が腫れて大きくなってしまう痔です。排便時のいきみ、肛門への負荷や高齢化により、外に出てしまうと脱肛といいます。
 初期には、出血はあっても排便時に肛門外に脱出しません。次に排便時に脱出し自然に元に戻るようになります。さらに進行すると指で押し込まないと戻らなくなり、最終的には常に肛門外に脱出するようになります。
 初期の段階では出血はしますが痛みはあまりなく、進行して痔核全体が肛門外に脱出して戻らなくなったり、頻繁に脱出すると、痔核の根元が裂けるなどして痛みを伴います。当初痛みがないために、受診をためらっているうちに重症化することも多い疾患です。

注射療法について教えてください。

 内痔核は初期では、外用薬や内服薬によって改善しますが、ある程度症状が進むと薬物療法では効果がなくなり、外科手術を行うしか治療法がなくなります。
しかし、最新の治療法として、痔核に直接薬液を注入するALTA注射療法が開発され、2005年に保険適応となりました。これは、注射薬を内痔核に直接注射することによって痔核を縮小させる方法で、メスを入れないため治療後の痛み、出血が少なく、ほとんどが1~2日程度の短期の入院でも治療できます。注射も麻酔をかけてから行うので苦痛はありません。正しく治療すれば副作用の心配もありません。治療後は3週間ほどで、痔核が徐々に縮小します。ただし、あまり進行した痔核では治療できないこともあり、この場合は従来通りの外科手術になります。
 ALTA注射療法は、患者側の負担が軽く合併症の危険もほとんどないのですが、技術的には高度で、講習を受けた専門医のみに施行が許されています。希望する人は、肛門科のある医院に直接尋ねてみるといいでしょう。
 痔もほかの病気と同様に早期治療が肝心です。恥ずかしいなどとは考えずに、気になったらすぐに受診してください。

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