2002年2月20日水曜日

「噛(か)むことの重要性」について

ゲスト/よこやま矯正歯科 横山一徳 医師

噛む力が弱いと、どのような弊害がありますか。

 第一に、咀嚼(そしゃく)が十分じゃない状態で飲み込むと、唾液があまり分泌されません。唾液には消化酵素が含まれていますから、胃に負担がかかることになります。また、噛むという動作で顎(あご)の筋肉を使うことによって、脳の血流量やホルモン分泌が増え、知能や体力の向上に影響し、さらに寝たきりやボケの防止に効果があることがわかってきました。最近では、学校の現場から、「噛む力の差によって集中力や積極性に差が出る」「噛む力が強い子は、ねばり強い」という報告もされています。

最近、子どもたちの噛む力が弱くなっていると聞きますが。

 カレーやスパゲティ、ハンバーグのような食べ物は、あまり噛まずに食べることができます。昔よりも軟らかい食べ物が食卓の中心になってきているため、子どもや若者の噛む力が弱くなっています。さらに、今の子どもたちは食事中に水やジュース、お茶などを飲みながら食べるので、咀嚼せずに飲み込んでしまう傾向があります。また、軟らかい食べ物は、歯が汚れやすく虫歯の原因にもなりますので、硬いものや繊維質のものをバランス良く食事に取り入れることが必要です。噛む力が弱いと、顔つき自体は細面で顎の小さいスマートな印象に、逆に噛む力の強い人は、角張った顔つきになるといわれています。

咬(か)み合わせが悪くて、しっかり噛めないという場合もありますか。

 上の歯や顎が出ている上顎(がく)前突、逆に下が出ている下顎前突、深い咬み合わせの過蓋咬合(かがいこうごう)、前歯が開いている開咬(かいこう)などが、咬み合わせが悪い不正咬合です。歯が咬み合っていないので上手に噛めない、顎や顎関節に悪い影響が出るなどの心配があります。また、年齢が高くなるほど悪影響が出てきますから、前歯が永久歯に生え替わり始めたころ、一度専門医に診察してもらうことをおすすめします。矯正治療は期間や治療費が多少かかりますが、いつまでもおいしく健康的に食事をする快適さや充足感とは引き換えられません。