2002年1月16日水曜日

「胃ろう」について

ゲスト/土田病院 北川一彦 医師

「おなかに小さな口」といわれている、胃ろうについて教えてください。

 経皮内視鏡的胃ろう造設術の英文頭文字を取って一般 に「PEG(ペグ)」と呼ばれています。食道がん、喉頭(こうとう)がんの手術後の人、脳外科手術後の意識がない人、嚥下(えんげ)機能障害のある人など、何らかの理由により食べられない、食べてもむせてしまうという人のために、直接胃に穴を開けて栄養を補給する方法です。現在主流である、鼻からチューブを通 す経鼻栄養の場合、チューブがのどに違和感を与え、患者の苦痛になったり、長期にわたると炎症や潰瘍(かいよう)などの合併症を引き起こしたり、胃液や栄養剤が逆流し、誤えん性肺炎を引き起こすこともあります。さらに、自由に動ける人の場合はリハビリの妨げにもなります。在宅管理も難しく、経鼻栄養のためだけに入院を余儀なくされる場合もあります。胃ろうの場合は、体を自由に動かせるのでストレスが少なく、また管理も簡単なため、自宅での療養が可能になります。一泊の入院で、危険性の極めて低い手術によって造設することができます。大きな特徴として、嚥下訓練などで口から栄養を取れるようになった時点で、麻酔や縫合も必要なく、すぐに抜くことができることがあげられます。抜いた後の穴は、ピアスの穴が自然にふさがるのと同様に、自然な回復力により痛みもなく、1日程度でふさがってしまいます。

胃ろうの手入れなどは大変ですか。

 日常のケアは、食後口の周りを拭(ふ)くように、栄養剤注入後に胃ろうチューブのまわりを清潔な布で拭くだけです。湯船に浸(つ)かったり、シャワーを浴びることもできますから、常に清潔を心がければ細菌感染を恐れることもありません。栄養剤のほかに、スープなど液体状の物であれば入れることができます。4カ月に一度程度のチューブ交換が必要ですが、介護にあたる人の負担が経鼻栄養より格段に軽く、患者本人のストレスが少ない点が大きな魅力です。胃ろう造設術を希望される方は、まず病院に相談してみてください。

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