2009年2月4日水曜日

「マイコプラズマ感染症」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 医師

マイコプラズマ感染症について教えてください。

 マイコプラズマは、正式には「Mycoplasma pneumoniae」という名前で、細胞壁を持たないため細菌とウイルスの中間に位置する病原体といわれています。以前は4年に一度オリンピックのある年に流行し、好発年齢は乳幼児から若年成人に多いといわれていましたが、近年その傾向は失われ、毎年、地域的に小流行がみられ、秋季から冬季にかけてやや多くなる傾向にあり、高齢者の感染も増加しています。感染の頻度は小児で6割以上、成人では実に9割以上の人が一度は感染しているとされており、日常よくみられる感染症です。
 マイコプラズマによる肺炎は、肺炎全体の30~40%を占めているとされていますが、実際に感染して肺炎までに至る頻度は3%前後で、その発生率はかなり低いと思われます。感染様式は感染患者からの飛沫(ひまつ)感染により、病原体は進入後、粘膜表面の細胞外で増殖を開始し、気管、気管支などの粘膜上皮を破壊します。気道粘液への病原体の排出は初発症状出現後、2~8日とみられ、潜伏期は4日~3週間。最初の吸入菌量によって変わります。

症状、治療について教えてください。

 主な症状は発熱と咳(せき)です。最初は全身けん怠感、発熱と頭痛で始まることが多く、咳は初発症状出現後3~5日くらいから始まり、経過に従い徐々に強くなり、解熱後も3~4週間と長期間続きます。症状は罹患(りかん)年齢によってかなり差があり、また中耳炎、発疹(はっしん)、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎など、さまざまな疾患を引き起こすことも特徴の一つです。
最近ではマイコプラズマ感染が喘息(ぜんそく)の発症や悪化に関連することが指摘されており、抗生剤を投与して治療したことにより喘息が改善したという報告も多く見られます。治療としては、ペニシリン系やセフェム系の抗生剤は効かないため、マクロライド系やテトラサイクリン系あるいはニューキノロン系の抗生剤を一定期間投与することで改善します。
予防に関しては、流行時の手洗い、うがいの励行などの一般的な予防法と、感染者との濃厚な接触を避けることです。

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