2008年11月26日水曜日

「年末年始を前に歯科検診を」について

庄内歯科医院 庄内 淳能 歯科医師

年末年始に歯が痛くなる方も多いそうですね。

 12月から1月にかけては、忘年会やクリスマス、正月と、飲んだり食べたりで寝不足になったり、忙しい日が続きます。日ごろ、きちんと歯のメンテナンスをしていないと、こういう疲れがたまった時に痛みが出ることが多いのです。
 しかし、歯科医院も年末年始は休みのところがほとんどで、救急病院に駆け込むことになります。
 そこで、12月の早い時期に歯科検診を受けておくと、簡単なものなら年内の治療完了が可能ですし、時間のかかる症状でも年末年始に痛まないような処置が取れます。現在、歯が痛むなどの自覚症状がなくても、かかりつけ医の検診を受けて安心してお正月を迎えましょう。
 また、受験生は勉強に打ち込むあまり、知らず知らずの間にかみしめていたり、歯ぎしりをしたりということがよくあります。その結果、歯が痛くなっては勉強に集中できません。大切な時期だからこそ、積極的な歯科検診をお勧めします。
 同時に歯並びのチェックなどもしてもらうと、進学、就職と環境が変わるまでにさまざまな対処が可能です。日本人のあごは細くなる傾向にあり、歯並びの悪い人が増えています。歯並びが悪いと虫歯や歯肉炎になる可能性も高く、学習や運動能力にも影響することもあります。

虫歯予防のためのケア方法を教えてください。

 大人も子どもも虫歯予防の基本は正しいブラッシングです。いくら時間をかけて磨いても正しい磨き方ができていないと、虫歯や歯肉炎になります。ブラッシングでは、歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間など、汚れが残りやすい場所を注意して磨きましょう。歯間ブラシや糸ようじ、電動歯ブラシなども、正しく使えば有効です。かかりつけの歯科医に相談し、効果的な使用法を教えてもらいましょう。
 美容院や理容院に行く感覚で歯科医を定期的に受診すれば、汚れを落として虫歯の予防になります。虫歯が見つかったとしても、ごく初期のうちに治療できます。

2008年11月19日水曜日

「過敏性腸症候群」について

札幌いしやま病院 樽見 研 医師

過敏性腸症候群について教えてください。

 お腹の不調を訴えて病院で診察し、検査をしても特に悪いところが見つからなかった場合は、過敏性腸症候群の疑いがあります。
 具体的には、便秘や下痢、便秘と下痢を交互に繰り返す、腹痛、便意やガス、腹満感が続く、お腹がゴロゴロと落ち着かない、お腹が鳴る、吐き気などの不快な症状です。下痢の場合、軟便や泥状便、水様便、粘液が混じった便などが見られます。便秘の場合は、コロコロとしたウサギのふんのような便や細い鉛筆状の便が出ます。
 どの年代でも起こり得ますが、10代~20代の若い世代に多く見られます。男女比は、若干女性に多く、女性は便秘、男性は下痢が多い傾向にあります。

原因と治療法を教えてください。

 脳と腸は神経でつながっていて、腸の働きは自律神経がコントロールしていますが、脳がストレスや不安を感じると、その信号が腸に伝わることによって腸の機能障害が起こり、過敏性腸症候群として症状が現れます。若い年代に多いのもストレスを強く感じるためです。
 学生や社会人の場合、休みの土・日には症状がなく、月曜日になると症状が出るということがあります。学校に行くと思うとお腹の不快な症状が出る。症状が出るので学校へ行くのがつらいということの連鎖で、登校拒否になってしまうこともあります。また、通勤電車の中で症状が強く出て、駅に着くと治まるということもあります。「トイレに行けない」状況がストレスをより強くしているためです。
 症状が続いても、基本的に体に影響はありません。しかし、日常生活に支障を来たすようであれば、治療が必要となります。受診した場合は、レントゲンや内視鏡などの精密検査でがんや炎症などの疾患の可能性を否定して、器質的に異常がなければ、過敏性腸症候群と診断します。治療の基本はライフスタイルの改善ですが、下痢には下痢止め、便秘には下剤など症状を抑える薬や腸の運動を調整する薬を処方します。ストレスや不安を和らげるため抗うつ剤や抗不安薬が処方されるケースもあります。
 薬を持つことによって安心したり、重い病気の疑いがなくなっただけで、症状が軽減することもあります。お腹の不快な症状で悩んでいる人は、一度受診することをお勧めします。

2008年11月12日水曜日

「前立腺肥大症の治療の経済性」について

ゲスト/ベテル泌尿器科クリニック 三熊 直人 医師

前立腺肥大症と治療について教えてください。

 立腺肥大症は高齢男性でよくみられる前立腺の良性腫瘍(しゅよう)で、加齢とともに増加します。初期の自覚症状はおしっこが近い、夜中何回もおしっこに起きるなどの頻尿です。肥大が進んでくると尿道が圧迫されて、尿の勢いが悪くなります。寒くなる秋から冬にかけて、症状が出始めたり悪化したりすることも珍しくありません。
 症状が軽度であれば投薬による治療を行います。現在はα遮断薬が第一選択薬です。頻尿が強い場合には、抗コリン作用を持つ治療薬を併用します。しかし、前立腺重量が35gを超えるようになると、薬によっては十分な症状の改善が得られず、外科的治療を考慮する必要があります。

外科的療法と経済性について教えてください。

 外科療法としては、経尿道的前立腺切除術(TURP)、温熱療法、尿道拡張法、尿道ステント、レーザー療法などがあります。よく行われるものは、TURPとレーザー療法です。TURPは、内視鏡を尿道に挿入して電気メスで前立腺を削り取る方法で、術中術後の出血があり、2週間程度の入院期間が必要です。また、後年再発の可能性もあります。
レーザー治療の中でも、最近特に注目されているのが、ホルミウムレーザーによる経尿道的前立腺核出術(HoLEP:ホーレップ)です。ホーレップでは尿道内から前立腺の肥大した部分のみをくり抜くように切除するので、再発のリスクも低下します。また、この方法では出血が少なく回復が早いため、入院期間も短縮できます。
 手術という言葉を聞いただけで尻込みしてしまう方が少なくありません。しかし、病状によっては、早期に手術をしたほうが、身体的にも経済的にも負担が少なくなる場合があります。自分にとって、どのような治療が最善であるのか、主治医とよく相談されることをお勧めします。

2008年11月5日水曜日

「上手に病院と付き合う」について

ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 医師

病院との上手な付き合い方について教えてください。

 患者さんにとって、最初にどこの病院を選ぶかは重要です。大学病院や総合病院なら安心できる、というイメージを持ちがちですが、例えば風邪で受診するのに身近なかかりつけ医を見つけておくことが大切です。
 欧米では、街の医者と総合病院の役割分担がはっきりできているケースが多く、日本もそうなりつつあります。まず、最初に地域の病院で医師の診察を受け、専門医が必要との診断であれば紹介状をもらい大病院で受診すれば、患者さん、病院の双方にとってメリットがあります。
 特に通院期間が長くなる慢性疾患の場合は、病状が軽減したら身近な医療機関を上手に利用しましょう。

患者として注意すべきことはありますか。

 最近大きな問題となっているのが、救急外来の利用法です。急に具合が悪くなった、突発的な事故にあった場合などのための医療制度ですが、日中時間がなくて受診できなかったなどの理由で、コンビニのように利用する人も増えています。救急外来は、緊急の事態の時のみ利用し、それ以外は昼間の正規の診療時間にきちんと受診しましょう。
また、診断や手術などの治療法について、主治医とは別の医師の意見も聞いてみたいという人も多いでしょう。この「セカンドオピニオン」も、日本で広く認知されてきました。主治医に紹介状をもらえるか相談してみてはいかがでしょうか。
ほかにも、治療費や生命保険のこと、ジェネリック医薬品の希望など、尋ねづらいという人も多いと思います。遠慮せず、正直に自分の気持ちを打ち明けて、相談すれば医師も最善の策を考えてくれるはずです。病気を治すには、医師と患者さんの信頼関係が何よりも大切です。