2008年10月22日水曜日

「百日咳(ぜき)」について

ゲスト/大道内科呼吸器科クリニック 大道 光秀 医師

百日咳について教えてください。

百日咳は細菌の一種である百日咳菌による感染症です。患者の鼻咽頭や気道の分泌物とともに菌が飛散、飛沫(ひまつ)感染または接触感染により拡大されますが、発症のメカニズムはよく分かっていません。潜伏期間は通常7~10日、長くても3週間です。まず感冒のような症状が現れ、1~2週間後咳の回数が増え程度も強くなり、これをカタル期といいます。次の痙咳期(けいがいき)では、短く連続的な咳き込み、ヒューと音を立てながら息を吸い込む発作を繰り返します。咳がひどくなると吐いたり、肋骨(ろっこつ)を疲労骨折してしまうケースもあります。発熱などはほとんど伴わないため重症感に乏しいのも特徴です。ひどい咳は2~3週間ほど持続し、徐々に改善しますが、散発的な咳発作が完全に改善するのに2~3カ月を要することも珍しくありません。生後間もない乳児が罹患(りかん)すると、特徴的な咳が発現しないまま無呼吸発作、チアノーゼ、けいれん、呼吸停止を招くほか、脳炎や肺炎といった合併症を引き起こすリスクが高くなります。

診断と治療について教えてください。

咳発作は百日咳菌ばかりではなく、アデノウイルスやマイコプラズマ、クラミジア感染でも起こるため、確定するためには鼻咽頭や気道の分泌物を特殊な培地に植えて菌が検出されるか調べます。しかし、菌を検出することができるのはカタル期後半のみで、咳がひどくなってから受診しても検出するのは不可能です。血液検査でも百日咳の抗体を調べることはできるのですが、1回の検査で抗体が高くても、昔のワクチンの抗体であるのか、あるいは以前かかった百日咳が原因か判断できません。間隔をあけて2回以上の血液検査が必要です。
治療としては、カタル期ではマクロライド系の抗生物質がよく効きます。痙咳期では、抗生物質のみではあまり効果がなく、吸入ステロイドなどを一緒に使用します。このため、咳喘息やアトピー咳、気管支喘息との区別が大変難しいのです。
知らない間に菌をばらまくことのないように、特に乳児に接する人は症状に注意し、完治するまで通院するようにしましょう。

2008年10月8日水曜日

「手足のしびれ」について

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

手足のしびれについて教えてください。

「しびれ」を訴えて脳神経外科を受診する患者さんが増えています。脳梗塞(こうそく)など脳血管疾患の症状ではないか?と心配されている方が多いです。「しびれ」の症状は、医療機関を受診するかどうか悩むところだと思いますが、長く続いたり、だんだんと悪化するようであれば受診した方が良いでしょう。特に、急にしびれが起こって持続する場合は早急に受診する必要があります。
 脳の病気によるしびれとしては、脳梗塞などの脳血管疾患が考えられますが、発症が急で、その後持続するしびれが特徴です。例えば、片側の手と口周囲のしびれが同時に起こる場合がありますが、これは手口症候群といって、脳の中の視床という場所の病気で起こります。脳梗塞の好発部位でもあり、このような症状には注意が必要です。

しびれが起こる部位によって疾患は異なりますか。

頚(けい)髄性のしびれでは、頚椎(けいつい)症や椎間板(ついかんばん)ヘルニアによるものも多いですが、この場合はしびれの個所が神経の分布に沿うことが多く診察によって推定することができます。しびれだけではなく、筋力の低下などが見られると手術が必要になる場合もあります。頚椎病変に対しても従来のレントゲン撮影に加えてCTやMRIなどにより、椎間板の変形や神経の圧迫などがより正確に診断できるようになりました。
下肢のしびれでは、腰椎疾患や閉塞(へいそく)性動脈硬化症があります。閉塞性動脈硬化症の場合は、しびれや痛みが歩行時に起こり、しばらく休むと軽くなります。これを間欠性破行といいます。血管の動脈硬化による病気なので、症状が進むようであれば、血管外科での治療が必要になります。同じように間欠性破行が見られるものに腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症があり、この場合は立っている姿勢がつらく、前かがみになったり、屈んだりすると楽になります。
頚椎、腰椎などが原因で起こる慢性的なしびれや痛みに関しては、安静療法や薬物治療、ブロック注射やマッサージなどを行います。症状が悪化するなら手術が必要になる場合もあるので、専門医に相談するといいでしょう。

2008年10月1日水曜日

「コンタクトレンズ眼障害」について

ゲスト/阿部眼科 阿部 法夫 医師

コンタクトレンズ眼障害について教えてください。

コンタクトレンズ(以下CL)眼障害は10人に1人程度発生し、慢性の低酸素状態が角膜内皮細胞数の減少を起こし、装用時間の限度を超えると、角膜障害を引き起こしやすくなります。その場合CLの素材変更、装用中止をする場合もあります。コンタクト眼障害は、接触部のアレルギーによるもの、フィッティング不良による機械的な刺激によるもの、涙があたりにくいためのドライアイが原因のものがあり、ハードCL、ソフトCLでそれぞれ特徴のある角膜や結膜の病変をとります。そのほか、もともとアレルギー結膜炎、ドライアイなど目の疾患を持っている場合、装用ルールを守っていても眼障害を起こすことがあります。また、使い捨て(一日交換、1週間連続装用)、頻回交換(2週間)、定期交換(1~3週間)が定められているレンズでは、使用期限を守ることが重要です。しかし、カラーCL,連続装用レンズでは装用ルールを守っていても角膜にかかる負荷は大きく、障害が発生しやすくなります。

正しいレンズケアについて教えてください。

不適切なレンズケアも眼障害の一因です。CLの手入れをする時には、まずせっけんを使って丹念に手指を洗う習慣をつけてください。CL表面の付着物として、脂質、タンパク、化粧品、金属、花粉、常在菌などがあります。ハードCL,ソフトCLとも、こすり洗いが原則です。つけおき洗浄は簡便ですが不完全と心得てください。そしてレンズの種類や汚れの程度でメーカー指定のレンズケア方法を守ることが原則で、途中で簡単な方法に変えないでください。ソフトCLで最近増えている、洗浄、すすぎ、保存、消毒を1液でおこなうマルチパーパススリューション(MPS)も消毒効果はやや弱く、こすり洗いは必要です。また、レンズケースも、2個用意し、毎日ケースの洗浄、乾燥をさせてバイオフィルムの発生を防ぎ3カ月ごとにケースを取り換えてください。
さまざまな装用ルール違反が重なると、細菌、真菌、アカントアメーバーなどの角膜感染症が発生し、重篤な場合は失明というケースもあります。コンタクトレンズ使用には十分神経を使い、問題があればすぐに眼科専門医を受診してください。眼の異常に気付かない場合もあるので、定期検査も重要です。