2008年6月25日水曜日

「成人の歯列矯正治療」について

ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 歯科医師

大人でも「歯列矯正」が可能ですか。

もちろん可能です。子どものほうが、成長期を利用して顎(あご)を正しい位置に動かすなど、矯正治療を始めるのには適していますが、大人だからといってあきらめる必要はありません。最近は成人でも矯正治療に関心を持つ人が増え、60歳代のかたでも幅広く治療に訪れています。
成人の矯正治療のきっかけは、咬(か)み合わせの不具合や顎(がく)関節症など機能面で問題が生じ、原因が歯並びや咬合(こうごう)異常にあるため、根本から治そうとするケースが一般的です。また、子どもが歯列矯正できれいな歯並びになったのを見て、自分もと考えられるお母さんも多いです。さらに、子ども時代に途中で治療をやめてしまい、最近の矯正器具の改善に、またやろうという気持ちになったという方も増えています。
正しい咬み合わせになると、今までコンプレックスだった口元を隠さずに笑顔を見せるようになり、表情が驚くほど明るくなります。

大人の矯正治療で特に注意する点はありますか。

基本的に、矯正治療自体は問題なくできます。ただ、虫歯や差し歯、ブリッジなどの補綴(ほてつ)物、部分欠損、歯周病などがある場合、子どもの矯正に比べて条件面で制約が多くなるのも事実です。特に、下顎前突症(受け口)のような顎のズレがある場合は、成長を利用した治療ができないため、外科的治療が必要になる場合があります。このような場合、大学病院など口腔(こうくう)外科とともに協力して治療をすることになり、外科治療には健康保険が適用になります。
成人の矯正治療期間は、2~3年で歯を動かし、その後2~3年保定期間があります。矯正治療の現場では、次々に新しい治療器具が開発され、より小さく、より扱いやすい器具が実現しています。歯の裏側に付ける矯正器具、透明のマウスピースなど、目立たないものも多く、社会生活を送る上で、あまり不便を感じさせません。
歯並びが気になる人、咬み合わせに異常がある人、子ども時代に矯正治療をやめてしまった人も、ぜひ一度専門医に相談してください。

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