2008年6月11日水曜日

「女性と膠原(こうげん)病」について

ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 佐川 昭 医師

膠原病とはどんな病気ですか?

膠原病は、全身性自己免疫疾患に属し、自分自身に対して免疫反応を起こすいくつかの病気の総称です。自己免疫疾患とは、自分の臓器をあたかも他人のもののように攻撃してしまうもので、臓器移植のときの拒絶反応に似ています。具体的には、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどがあり、男性に比べて女性の発病率は、全身性エリテマトーデスで10~13倍、関節リウマチで5~6倍となっています。このため私は膠原病を、「女性の敵」と呼んで治療にあたっています。

具体的な症状について教えてください。

全身性エリテマトーデスの“全身性”とは、体のあちこちに症状が出るという意味で、“エリテマトーデス”とは赤い発疹(紅斑)を指します。顔、手足、関節、血管など、各所に痛みや炎症などが現れますが、診断がはっきりしない段階では、皮膚疾患や血液疾患などに思われることもあります。
15~35歳くらいに発病する場合がほとんどで、女性ホルモンの活動が盛んな時期と一致しますが、原因はまだよく分かっていません。
「妊娠・出産は難しいのではないか」と悩む患者さんもいますが、病状にもよりますので、専門医と十分に話し合うことが大切です。
関節リウマチは、10代20代から始まって、40代に最も多く発病する病気で、あらゆる関節に炎症が起き、痛みや腫れ、こわばりを伴います。家事などの日常生活で症状が悪化することも少なくありません。患者さんのなかには、「サケをさばいたり、カボチャを切ったり」「アイロン掛けや床ふき」などで痛みが激しくなったという人もいます。また、「家事が十分にできない」「つらさをだれにも相談できない」などの悩みを抱える人もいます。治療には、周囲の理解と協力が不可欠です。
膠原病の治療は、異常な免疫反応を抑える薬物療法が主体となりますが、いずれの場合も早期発見が第一です。原因不明の発熱、おかしな発疹や皮膚炎、関節痛や筋肉痛が治らないなどの症状が見られた時は、膠原病の疑いも考えられますので、専門医への受診をお勧めします。

人気の投稿

このブログを検索