2008年4月9日水曜日

「排便時の出血」について

ゲスト/札幌いしやま病院 樽見 研 医師

排便時の出血に不安を感じる人も多いと思います。

排便時に肛門から出血し、あわてて病院へ駆け込む人も多いですが、ひと口に出血といってもさまざまです。血の色が鮮やかな赤であった場合は、肛門付近からの出血と考えられます。暗褐色やタール状の便であった場合は、腸や胃からの出血の可能性があります。鮮血の場合は痔(じ)である可能性が高いのですが、時には大腸がんや腸内にくぼみができ炎症が起きる大腸憩室(けいしつ)炎、その他の大腸疾患も考えられますので注意が必要です。特に飲酒をきっかけに出血する人が多いです。 痔の場合は日本人に多い痔核(=いぼ痔)や裂肛(=切れ痔)によって、出血していることが多いです。1~2回程度の出血なら様子を見てもいいのですが、何度も出血するようなら専門医を訪ねてください。

出血を伴う大腸の病気について教えてください。

以前は欧米人に比べ、日本人には大腸がんは少なかったのですが、近年は急激に増加しています。原因としては、食生活の変化が挙げられます。日本人は昔と比べ、動物性の脂肪やタンパク質を非常に多く取るようになり、一方で食物繊維の摂取量は減少しています。このような大腸がんリスクファクターの増加によって、大腸がんによる死亡者数は、かつて日本人に多かった胃がんの死亡者数に追いついてきています。排便時の出血を痔と決め付けて受診が遅れると、がんの場合は手遅れになることもあります。 また、炎症性腸疾患であるクローン病、潰瘍(かいよう)性大腸炎の場合も出血します。炎症性腸疾患は国から難病に指定されている難治性の慢性疾患ですが、やはり早いうちに発見し治療することが大切です。大腸がんは40歳代以降、炎症性腸疾患は20~30歳代に多い疾患です。排便時の出血は年齢にかかわらず、早めの受診をお勧めします。 検査では、肛門からスコープを挿入して腸を見る、内視鏡検査を行います。この検査が不安で受診しないという人もいますが、最近の内視鏡は非常に高性能で、医師の技術も高くなっていますから、以前に比べ苦痛は小さくなっています。安心して検査を受けてください。