2008年12月24日水曜日

「しわの治療方法」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック  森 尚隆 医師

しわについて教えてください。

 寒い季節になると、外気の湿度低下や新陳代謝能力の低下などにより、肌が乾燥しやすくなります。特に目元・口元は皮脂の分泌量が少ないため、かさつきやすく、しわの心配をされる方も多いのではないでしょうか。
 しわ予防の対策の基本は、第一に水分補給です。乾燥から肌を守るということがとても大切なので、化粧水や美容液などを使って十分に保湿して下さい。部屋の暖房は控えめに、加湿することを心がけてください。
 肌の新陳代謝は睡眠中やリラックスした状態で活発になるので、ストレスをためず、睡眠を十分に取り、食事はバランスよく、特にビタミンCを取るように心掛けて下さい。この季節のビタミンC摂取は、風邪予防とともに、しわの防止にもつながります。

できてしまったしわの治療法はありますか。

 顔全体のしわやたるみが気になるのであれば、赤外線領域の波長の光を照射し、コラーゲンの生成を促し、皮膚を引き締める「ソレラタイタン」という治療法があります。同じ光治療で、しみや赤ら顔の改善に効果が高い「フォトセラピー」も、肌の再生力を高めるのに有効です。最近注目されている治療法として、肌のリセットを目的とした「マイクロニードルセラピー」があります。極細針で皮膚に無数の穴を開け、薬剤を皮膚に直接吸収させることでコラーゲンが増え、肌を入れ替えるというものです。
 部分的なしわの治療法としては、自分自身の血液を精製し血小板や白血球を濃縮して、気になる部分に注入する「白血球含有多血小板血漿(けっしょう)」注入療法があります。この血小板の中には、グロスファクターと呼ばれる多機能な成長因子が含まれており、組織の修復、コラーゲン産生、ヒアルロン酸産生、血管内皮細胞の増殖や新生などを促進して、肌の細胞を再生します。
 できてしまったしわや凹みに対しては、直接ヒアルロン酸やコラーゲンなどを注入する補充療法が行われています。このように、さまざまな方法がありますので、しわの悩みは専門医やかかりつけの美容皮膚科医へ相談されることをお勧めいたします。

2008年12月17日水曜日

「目立たない矯正器具」について

ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 歯科医師

矯正器具が見えてしまうのが嫌という人も多いと思います。

 最近は、以前よりも歯並びを気にされる方が多くなりました。大人になってからでも「歯並びを美しくしたい」と受診する人が増えています。大人の場合は特に矯正装置が見えてしまうのがネックになって、治療に二の足を踏んでしまう場合も多くあります。また、思春期のお子さんが、見た目で嫌がる場合もあります。
しかし、でこぼこした歯並びや、上顎(あご)・下顎が出ているのを放っておいて、ずっとコンプレックスに感じるよりも、笑顔が美しい歯並びに治すほうが、自身の健康やQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を考えたとき、はるかに有意義です。きちんとした咬(か)み合わせになりたいという前向きな姿勢から矯正器具をつけていることに、「よく決断したな、偉いな」と思うことはあっても、否定的にとらえる人はまずいないのではないかと私は思います。
 とはいえ、仕事で接客する人など立場によって、人知れず矯正したいという気持ちは理解できます。

目立たない矯正器具はありますか。

歯の裏側、つまり舌側に矯正装置を入れる舌側矯正は、表から装置が目につきません。しかし、内側にあることから、これまでの装置は違和感が強かったり、会話や歯磨き、食事がしづらいという問題がありました。
これらの問題点を改善した舌側矯正装置が最近開発されました。

最新の舌側矯正装置の特徴を教えてください。

 最新の舌側矯正装置は、従来のものと比較して、非常に薄く、そして小さくなっています。それによって、話しづらい、食事がしにくい、舌が痛いといった、舌側矯正の不都合、不快な点が改善されました。営業、接客など人と会う仕事、話す機会が多い職業の人や、舌の違和感に対する不安などが理由で、今まで舌側矯正へ踏み切れなかった人にも、治療を受ける方が出てきました。
矯正治療に年齢は関係ありません。自身の歯並びに気になることがあったら、ぜひ一度矯正専門の歯科医に相談してください。

2008年12月10日水曜日

「リウマチと治療薬」についてお話を伺いました。

ゲスト/青空たけうち内科クリニック 竹内 薫 医師

関節リウマチについて教えてください。

 関節リウマチは、関節に起こる炎症がもたらす痛みやはれ、変形を特徴とする病気です。目覚めたときの関節のこわばった感触、ぎこちなさの自覚などが、リウマチに特徴的な症状です。微熱やだるさ、貧血、食欲不振など全身症状を伴うこともあります。放っておくと、関節の骨や軟骨が破壊され、関節が変形してしまいます。
 全国では100万人以上、人口の約0.8%ともいわれる関節リウマチの患者数。その数は人口全体の高齢化に伴い、増加する傾向にあります。男女の割合は1対4で女性に多く、発症年齢は30~50歳代、特に40歳代が最も多いことが分かっています。関節リウマチの原因は、今のところはっきりしていませんが、ウイルスや細菌を排除する免疫システムの異常と考えられています。関節リウマチは自己免疫疾患の一つです。

治療について教えてください。

 以前はリウマチにこれといった治療薬がなく、痛みが続き関節が変形していくのを止めることは、なかなかできませんでした。しかし、近年、生物学的製剤の登場により、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、治療の選択肢も広がり、かつては「寝たきり」というイメージがあったリウマチに「治る病気」というゴールも見えてきました。生物学的製剤は最新のバイオテクノロジー技術を用いて開発された新薬で、関節リウマチの炎症や、骨、軟骨などの関節破壊を引き起こす原因となる「TNF」「IL-6」というサイトカイン物質を抑えることにより、その効果を発揮します。生物学的製剤のインフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブは保険が適用になります。
 以前は、10年以上かけて骨が徐々に壊れると考えられていましたが、最近の研究で、初めの2年間で骨の破壊が著しく進行することが分かりました。結果として10~20年後の関節破壊があります。初期の段階での治療がその後のQOL(生活の質)を決めることにもなります。ですからリウマチは発症早期がとても重要で、早期診断、早期治療に大きな意味があります。
 リウマチの早期診断は、糖尿病や高血圧のように検査数値では診断がつかないことが多いので、関節痛やこわばりなどで困っている人は、一度リウマチ専門医に相談することをお勧めします。

2008年12月3日水曜日

「ドライアイ」について

さかた眼科ファミリークリニック 坂田 信義 医師

ドライアイについて教えてください

 通常、目の表面は涙で覆われています。涙は主涙腺で作られ、まばたきにより目の表面を潤した後、目の内側にある小さな涙点を通って鼻腔(びくう)へ流れます。涙は油、水、ムチンの三層からなっており、最も外側の油層は涙の蒸発を防ぎ、一番内側のムチン層は涙が流れ落ちないように、目の表面に粘着するのりの役割を果たしています。涙には、目の乾燥を防ぐだけではなく、角膜に酸素や栄養を届け、角膜表面を滑らかな状態に保ち、細菌の侵入や感染を防ぎ、ゴミやほこりを洗い流すなど、多彩な働きがあります。
 しかし、涙の量が減ると、角膜や結膜など目の表面に障害が起こり、不快感や視機能異常が見られるようになります。この状態がドライアイで、目が乾くだけではなく、目の痛み、疲れ目、ゴロゴロする、光がまぶしい、視界がかすむ、視力の低下、涙が止まらない・出ないなど、一見ドライアイと無関係と思われる症状も多く見られます。

ドライアイの原因と治療法を教えてください。

 通常はまばたきによって、目の表面は涙で潤されますが、長時間のパソコン使用や車の運転はまばたきの回数が減ります。また、エアコンや暖房の使用、飛行機での移動など、乾燥した室内に長時間いる場合は涙が蒸発しやすくなります。ほかにも、コンタクトレンズの装用、高齢者もドライアイになりやすい傾向があります。
 ドライアイには、点眼薬による治療と、涙点閉鎖による治療があります。点眼薬には、涙に近い成分を持つ人工涙液と、ヒアルロン酸を含む角結膜上皮障害治療薬の2種類があり、ヒアルロン酸は水分を目の表面に長く保つことで、角膜の傷の修復が期待できます。点眼薬で効果が得られない場合は、涙の流出口である涙点を閉鎖することで、涙を目の表面に十分にためる治療を行います。
 冬は室内が乾燥し、ドライアイになりやすい状況です。一過性のものなのか、治療が必要な状態かは、専門的な診察によって判断します。気になる人は、ぜひ一度眼科に相談してください。

2008年11月26日水曜日

「年末年始を前に歯科検診を」について

庄内歯科医院 庄内 淳能 歯科医師

年末年始に歯が痛くなる方も多いそうですね。

 12月から1月にかけては、忘年会やクリスマス、正月と、飲んだり食べたりで寝不足になったり、忙しい日が続きます。日ごろ、きちんと歯のメンテナンスをしていないと、こういう疲れがたまった時に痛みが出ることが多いのです。
 しかし、歯科医院も年末年始は休みのところがほとんどで、救急病院に駆け込むことになります。
 そこで、12月の早い時期に歯科検診を受けておくと、簡単なものなら年内の治療完了が可能ですし、時間のかかる症状でも年末年始に痛まないような処置が取れます。現在、歯が痛むなどの自覚症状がなくても、かかりつけ医の検診を受けて安心してお正月を迎えましょう。
 また、受験生は勉強に打ち込むあまり、知らず知らずの間にかみしめていたり、歯ぎしりをしたりということがよくあります。その結果、歯が痛くなっては勉強に集中できません。大切な時期だからこそ、積極的な歯科検診をお勧めします。
 同時に歯並びのチェックなどもしてもらうと、進学、就職と環境が変わるまでにさまざまな対処が可能です。日本人のあごは細くなる傾向にあり、歯並びの悪い人が増えています。歯並びが悪いと虫歯や歯肉炎になる可能性も高く、学習や運動能力にも影響することもあります。

虫歯予防のためのケア方法を教えてください。

 大人も子どもも虫歯予防の基本は正しいブラッシングです。いくら時間をかけて磨いても正しい磨き方ができていないと、虫歯や歯肉炎になります。ブラッシングでは、歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間など、汚れが残りやすい場所を注意して磨きましょう。歯間ブラシや糸ようじ、電動歯ブラシなども、正しく使えば有効です。かかりつけの歯科医に相談し、効果的な使用法を教えてもらいましょう。
 美容院や理容院に行く感覚で歯科医を定期的に受診すれば、汚れを落として虫歯の予防になります。虫歯が見つかったとしても、ごく初期のうちに治療できます。

2008年11月19日水曜日

「過敏性腸症候群」について

札幌いしやま病院 樽見 研 医師

過敏性腸症候群について教えてください。

 お腹の不調を訴えて病院で診察し、検査をしても特に悪いところが見つからなかった場合は、過敏性腸症候群の疑いがあります。
 具体的には、便秘や下痢、便秘と下痢を交互に繰り返す、腹痛、便意やガス、腹満感が続く、お腹がゴロゴロと落ち着かない、お腹が鳴る、吐き気などの不快な症状です。下痢の場合、軟便や泥状便、水様便、粘液が混じった便などが見られます。便秘の場合は、コロコロとしたウサギのふんのような便や細い鉛筆状の便が出ます。
 どの年代でも起こり得ますが、10代~20代の若い世代に多く見られます。男女比は、若干女性に多く、女性は便秘、男性は下痢が多い傾向にあります。

原因と治療法を教えてください。

 脳と腸は神経でつながっていて、腸の働きは自律神経がコントロールしていますが、脳がストレスや不安を感じると、その信号が腸に伝わることによって腸の機能障害が起こり、過敏性腸症候群として症状が現れます。若い年代に多いのもストレスを強く感じるためです。
 学生や社会人の場合、休みの土・日には症状がなく、月曜日になると症状が出るということがあります。学校に行くと思うとお腹の不快な症状が出る。症状が出るので学校へ行くのがつらいということの連鎖で、登校拒否になってしまうこともあります。また、通勤電車の中で症状が強く出て、駅に着くと治まるということもあります。「トイレに行けない」状況がストレスをより強くしているためです。
 症状が続いても、基本的に体に影響はありません。しかし、日常生活に支障を来たすようであれば、治療が必要となります。受診した場合は、レントゲンや内視鏡などの精密検査でがんや炎症などの疾患の可能性を否定して、器質的に異常がなければ、過敏性腸症候群と診断します。治療の基本はライフスタイルの改善ですが、下痢には下痢止め、便秘には下剤など症状を抑える薬や腸の運動を調整する薬を処方します。ストレスや不安を和らげるため抗うつ剤や抗不安薬が処方されるケースもあります。
 薬を持つことによって安心したり、重い病気の疑いがなくなっただけで、症状が軽減することもあります。お腹の不快な症状で悩んでいる人は、一度受診することをお勧めします。

2008年11月12日水曜日

「前立腺肥大症の治療の経済性」について

ゲスト/ベテル泌尿器科クリニック 三熊 直人 医師

前立腺肥大症と治療について教えてください。

 立腺肥大症は高齢男性でよくみられる前立腺の良性腫瘍(しゅよう)で、加齢とともに増加します。初期の自覚症状はおしっこが近い、夜中何回もおしっこに起きるなどの頻尿です。肥大が進んでくると尿道が圧迫されて、尿の勢いが悪くなります。寒くなる秋から冬にかけて、症状が出始めたり悪化したりすることも珍しくありません。
 症状が軽度であれば投薬による治療を行います。現在はα遮断薬が第一選択薬です。頻尿が強い場合には、抗コリン作用を持つ治療薬を併用します。しかし、前立腺重量が35gを超えるようになると、薬によっては十分な症状の改善が得られず、外科的治療を考慮する必要があります。

外科的療法と経済性について教えてください。

 外科療法としては、経尿道的前立腺切除術(TURP)、温熱療法、尿道拡張法、尿道ステント、レーザー療法などがあります。よく行われるものは、TURPとレーザー療法です。TURPは、内視鏡を尿道に挿入して電気メスで前立腺を削り取る方法で、術中術後の出血があり、2週間程度の入院期間が必要です。また、後年再発の可能性もあります。
レーザー治療の中でも、最近特に注目されているのが、ホルミウムレーザーによる経尿道的前立腺核出術(HoLEP:ホーレップ)です。ホーレップでは尿道内から前立腺の肥大した部分のみをくり抜くように切除するので、再発のリスクも低下します。また、この方法では出血が少なく回復が早いため、入院期間も短縮できます。
 手術という言葉を聞いただけで尻込みしてしまう方が少なくありません。しかし、病状によっては、早期に手術をしたほうが、身体的にも経済的にも負担が少なくなる場合があります。自分にとって、どのような治療が最善であるのか、主治医とよく相談されることをお勧めします。

2008年11月5日水曜日

「上手に病院と付き合う」について

ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 医師

病院との上手な付き合い方について教えてください。

 患者さんにとって、最初にどこの病院を選ぶかは重要です。大学病院や総合病院なら安心できる、というイメージを持ちがちですが、例えば風邪で受診するのに身近なかかりつけ医を見つけておくことが大切です。
 欧米では、街の医者と総合病院の役割分担がはっきりできているケースが多く、日本もそうなりつつあります。まず、最初に地域の病院で医師の診察を受け、専門医が必要との診断であれば紹介状をもらい大病院で受診すれば、患者さん、病院の双方にとってメリットがあります。
 特に通院期間が長くなる慢性疾患の場合は、病状が軽減したら身近な医療機関を上手に利用しましょう。

患者として注意すべきことはありますか。

 最近大きな問題となっているのが、救急外来の利用法です。急に具合が悪くなった、突発的な事故にあった場合などのための医療制度ですが、日中時間がなくて受診できなかったなどの理由で、コンビニのように利用する人も増えています。救急外来は、緊急の事態の時のみ利用し、それ以外は昼間の正規の診療時間にきちんと受診しましょう。
また、診断や手術などの治療法について、主治医とは別の医師の意見も聞いてみたいという人も多いでしょう。この「セカンドオピニオン」も、日本で広く認知されてきました。主治医に紹介状をもらえるか相談してみてはいかがでしょうか。
ほかにも、治療費や生命保険のこと、ジェネリック医薬品の希望など、尋ねづらいという人も多いと思います。遠慮せず、正直に自分の気持ちを打ち明けて、相談すれば医師も最善の策を考えてくれるはずです。病気を治すには、医師と患者さんの信頼関係が何よりも大切です。

2008年10月22日水曜日

「百日咳(ぜき)」について

ゲスト/大道内科呼吸器科クリニック 大道 光秀 医師

百日咳について教えてください。

百日咳は細菌の一種である百日咳菌による感染症です。患者の鼻咽頭や気道の分泌物とともに菌が飛散、飛沫(ひまつ)感染または接触感染により拡大されますが、発症のメカニズムはよく分かっていません。潜伏期間は通常7~10日、長くても3週間です。まず感冒のような症状が現れ、1~2週間後咳の回数が増え程度も強くなり、これをカタル期といいます。次の痙咳期(けいがいき)では、短く連続的な咳き込み、ヒューと音を立てながら息を吸い込む発作を繰り返します。咳がひどくなると吐いたり、肋骨(ろっこつ)を疲労骨折してしまうケースもあります。発熱などはほとんど伴わないため重症感に乏しいのも特徴です。ひどい咳は2~3週間ほど持続し、徐々に改善しますが、散発的な咳発作が完全に改善するのに2~3カ月を要することも珍しくありません。生後間もない乳児が罹患(りかん)すると、特徴的な咳が発現しないまま無呼吸発作、チアノーゼ、けいれん、呼吸停止を招くほか、脳炎や肺炎といった合併症を引き起こすリスクが高くなります。

診断と治療について教えてください。

咳発作は百日咳菌ばかりではなく、アデノウイルスやマイコプラズマ、クラミジア感染でも起こるため、確定するためには鼻咽頭や気道の分泌物を特殊な培地に植えて菌が検出されるか調べます。しかし、菌を検出することができるのはカタル期後半のみで、咳がひどくなってから受診しても検出するのは不可能です。血液検査でも百日咳の抗体を調べることはできるのですが、1回の検査で抗体が高くても、昔のワクチンの抗体であるのか、あるいは以前かかった百日咳が原因か判断できません。間隔をあけて2回以上の血液検査が必要です。
治療としては、カタル期ではマクロライド系の抗生物質がよく効きます。痙咳期では、抗生物質のみではあまり効果がなく、吸入ステロイドなどを一緒に使用します。このため、咳喘息やアトピー咳、気管支喘息との区別が大変難しいのです。
知らない間に菌をばらまくことのないように、特に乳児に接する人は症状に注意し、完治するまで通院するようにしましょう。

2008年10月8日水曜日

「手足のしびれ」について

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

手足のしびれについて教えてください。

「しびれ」を訴えて脳神経外科を受診する患者さんが増えています。脳梗塞(こうそく)など脳血管疾患の症状ではないか?と心配されている方が多いです。「しびれ」の症状は、医療機関を受診するかどうか悩むところだと思いますが、長く続いたり、だんだんと悪化するようであれば受診した方が良いでしょう。特に、急にしびれが起こって持続する場合は早急に受診する必要があります。
 脳の病気によるしびれとしては、脳梗塞などの脳血管疾患が考えられますが、発症が急で、その後持続するしびれが特徴です。例えば、片側の手と口周囲のしびれが同時に起こる場合がありますが、これは手口症候群といって、脳の中の視床という場所の病気で起こります。脳梗塞の好発部位でもあり、このような症状には注意が必要です。

しびれが起こる部位によって疾患は異なりますか。

頚(けい)髄性のしびれでは、頚椎(けいつい)症や椎間板(ついかんばん)ヘルニアによるものも多いですが、この場合はしびれの個所が神経の分布に沿うことが多く診察によって推定することができます。しびれだけではなく、筋力の低下などが見られると手術が必要になる場合もあります。頚椎病変に対しても従来のレントゲン撮影に加えてCTやMRIなどにより、椎間板の変形や神経の圧迫などがより正確に診断できるようになりました。
下肢のしびれでは、腰椎疾患や閉塞(へいそく)性動脈硬化症があります。閉塞性動脈硬化症の場合は、しびれや痛みが歩行時に起こり、しばらく休むと軽くなります。これを間欠性破行といいます。血管の動脈硬化による病気なので、症状が進むようであれば、血管外科での治療が必要になります。同じように間欠性破行が見られるものに腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症があり、この場合は立っている姿勢がつらく、前かがみになったり、屈んだりすると楽になります。
頚椎、腰椎などが原因で起こる慢性的なしびれや痛みに関しては、安静療法や薬物治療、ブロック注射やマッサージなどを行います。症状が悪化するなら手術が必要になる場合もあるので、専門医に相談するといいでしょう。

2008年10月1日水曜日

「コンタクトレンズ眼障害」について

ゲスト/阿部眼科 阿部 法夫 医師

コンタクトレンズ眼障害について教えてください。

コンタクトレンズ(以下CL)眼障害は10人に1人程度発生し、慢性の低酸素状態が角膜内皮細胞数の減少を起こし、装用時間の限度を超えると、角膜障害を引き起こしやすくなります。その場合CLの素材変更、装用中止をする場合もあります。コンタクト眼障害は、接触部のアレルギーによるもの、フィッティング不良による機械的な刺激によるもの、涙があたりにくいためのドライアイが原因のものがあり、ハードCL、ソフトCLでそれぞれ特徴のある角膜や結膜の病変をとります。そのほか、もともとアレルギー結膜炎、ドライアイなど目の疾患を持っている場合、装用ルールを守っていても眼障害を起こすことがあります。また、使い捨て(一日交換、1週間連続装用)、頻回交換(2週間)、定期交換(1~3週間)が定められているレンズでは、使用期限を守ることが重要です。しかし、カラーCL,連続装用レンズでは装用ルールを守っていても角膜にかかる負荷は大きく、障害が発生しやすくなります。

正しいレンズケアについて教えてください。

不適切なレンズケアも眼障害の一因です。CLの手入れをする時には、まずせっけんを使って丹念に手指を洗う習慣をつけてください。CL表面の付着物として、脂質、タンパク、化粧品、金属、花粉、常在菌などがあります。ハードCL,ソフトCLとも、こすり洗いが原則です。つけおき洗浄は簡便ですが不完全と心得てください。そしてレンズの種類や汚れの程度でメーカー指定のレンズケア方法を守ることが原則で、途中で簡単な方法に変えないでください。ソフトCLで最近増えている、洗浄、すすぎ、保存、消毒を1液でおこなうマルチパーパススリューション(MPS)も消毒効果はやや弱く、こすり洗いは必要です。また、レンズケースも、2個用意し、毎日ケースの洗浄、乾燥をさせてバイオフィルムの発生を防ぎ3カ月ごとにケースを取り換えてください。
さまざまな装用ルール違反が重なると、細菌、真菌、アカントアメーバーなどの角膜感染症が発生し、重篤な場合は失明というケースもあります。コンタクトレンズ使用には十分神経を使い、問題があればすぐに眼科専門医を受診してください。眼の異常に気付かない場合もあるので、定期検査も重要です。

2008年9月24日水曜日

「ブラキシズム(歯ぎしり、かみしめ)」について

ゲスト/石丸歯科診療所 石丸 俊春 歯科医師

ブラキシズムについて教えてください。

ブラキシズムは、そしゃく筋の異常な運動のことで、かみしめ、歯ぎしりなどです。かむ力は、強い人では70㎏を超えますが、ブラキシズムはその力が持続的に加わり、さまざまな問題を引き起こします。しかし、音の鳴らない歯ぎしり、無意識のかみしめなど、本人が問題に気が付いていない場合が多いので注意が必要です。ブラキシズムはほとんどの人に見られ、一時的に強くなる場合もあります。
ブラキシズムによる悪影響としては、歯がすり減る、しみる、割れる、歯周病の進行を早める、歯の周囲の骨の増殖、顎(がく)関節症、口腔(こうくう)周囲筋の痛み、顔の変形、頭痛、肩こりなどが挙げられます。
ブラキシズムの自己診断については、以下をチェックしてください。

1)詰め物や冠がよくはずれる
2)犬歯や前歯が極端に摩耗
3)歯や義歯の破損(けがを除く)
4)歯の付け根がくぼんでいる
5)むし歯でないのにしみる、かめないことがある
6)ほおの内側や舌の周囲に歯型がついている
7)歯ぐきの隆起
8)顔が左右非対称
9)えらが張っている
10)顎関節の痛み、異常音
11)起床時の頭頚(けい)部の張り
12)原因不明の頭痛、肩こり

家庭でできるブラキシズム改善法を教えてください。

口元のリラックスした状態とは、背筋をのばし、口唇を軽く閉じると舌の先は上の前歯のすぐ後ろ(スポット)に付きます。口唇を閉じたまま、ゆっくり鼻呼吸をしていきます。上下の歯はあたりません。

1)前かがみでかみしめていたら、姿勢を正しましょう。特に長時間集中する作業(パソコン、書き物、庭仕事など)の時は気を付けましょう。
2)食事は口唇を閉じ、口元を使って左右でゆっくりかむようにします。よくかむとブラキシズム改善につながります。
3)ほおづえ、うつぶせ寝、電話を首にはさんで長時間話す、横になってものを食べるなどは避けます。
4)舌の先はスポットをイメージして就寝します。枕は低めの方がいいです。
5)ストレスは早めに取り除きましょう。さらに、よく笑い、よくしゃべることはブラキシズムの予防になります。気になる症状がある場合は歯科専門医への受診をお勧めします。

2008年9月17日水曜日

「少ない永久歯」について

ゲスト/つちだ矯正歯科 土田 康人 医師

生まれつき歯が少ない、ということはあるのですか。

以前テレビでも取り上げられましたが、受診する患者さんを見ていても、生まれつき歯の数が少ない人=「先天欠如」が確かに増えているように感じます。乳歯が抜けたのに、いつまでも永久歯が生えてこない、いつまでも乳歯のままで生え変わる気配がなく、レントゲンで調べても永久歯が見えない、6歳臼(きゅう)歯がいつまでも生えてこないケースなどが増加しています。歯が欠損する原因ははっきりしませんが、人間が進化すると、歯は逆に退化傾向にあるといわれます。つまり、歯が少ない現代人は進化した形なのかもしれません。歯が少ないと咬(か)み合わせが崩れ、顎(がく)関節症などの原因になることがあります。
逆に、歯が多い過剰歯も上顎前歯を中心によく見られます。この場合は隣の歯の根を溶かすなど、悪さをする場合があるので注意する必要があります。

実際の治療について教えてください。

足りない歯の個所や本数にもよりますが、欠如した歯を補うために、奥から歯を移動して、空間を埋めます。矯正治療では、歯を寄せたり、押したり動かすことができます。永久歯が足りないと分かった時点で、早期に矯正治療に取り掛かれば、歯の移動によって、将来的には見た目も機能面でも問題ないような歯並びにすることが可能です。
また、なるべく乳歯を長持ちさせて、抜けた後はブリッジにするという方法もありますが、その場合欠如している歯の前後の歯を削らなければなりません。健康な歯を削ることに抵抗がある人も多いでしょうから、やはり早めの受診で、治療の方針を話し合うことが大切です。ブリッジをするにしても、事前に矯正治療でやりやすい配置にすることが可能です。
歯の本数の多い、少ないは、意外に本人や回りの人は気付かないものです。生え変わり時期に、一度矯正専門医を受診し、歯並び、咬み合せと共に本数やまだ生えていない永久歯の状態も含め、じっくり診察してもらい、問題があれば早期に治療の見通しを立てると安心です。

2008年9月10日水曜日

「肝斑(かんぱん)」について

ゲスト/たけだスキンケアクリニック 武田 修 医師

肝斑について、教えてください。

肝斑は、ほほ骨のあたりやこめかみ、口もとなどに現れるシミの一種で、比較的左右対称という特徴があります。このシミが肝臓の形状に似ていることから「肝斑」と名付けられましたが、肝臓の機能とは関係ありません。30代以降の女性に多く、妊娠や出産、授乳などに影響を受けやすいことから、女性ホルモンと関係が深いといわれています。生理や授乳期によって濃さが変わることもあります。老人性色素斑、雀卵斑(じゃくらんはん=そばかす)と見た目が似ていますので、診断は皮膚科医に委ねることをお勧めします。
女性ホルモン以外にも、紫外線、喫煙、カフェイン、ストレスなどが影響しています。一度出てしまうと、治療をしても完治は難しく、日常的なケアの継続が重要になります。シミをより濃くする紫外線対策を季節にかかわらず万全にし、十分に保湿して肌の新陳代謝を促し、強くこするなど皮膚への刺激を避けるようにしましょう。

肝斑を治療することはできますか。

以前から消炎剤として湿疹の治療などに処方されていた「トラネキサム酸」が、肝斑を薄くするということが分かってきました。ほかにも、ビタミンCの内服、美白外用剤、ビタミンC誘導体のイオン導入・超音波導入、針を使わず有効成分を注入するノーニードルセラピーなどを必要に応じて行います。ただし、健康保険適用外となるものも多く、よく医師と話し合って治療方針を決める必要があります。
ほかのシミには効果があるレーザー治療ですが、肝斑は悪化することもあるので注意が必要です。
肝斑は治療によってごく薄くなっても、完治はしないシミです。放っておけば、年を取るごとにシミが濃くなります。日常的なスキンケアと、内服薬や外用剤の使用は長期間続けないと意味がありません。
紫外線対策では日焼け止め剤の塗布が必要ですが、こまめに塗り直すことで効果が持続します。帽子や日傘も併用しましょう。30代以降のシミの原因は、20代までに浴びた紫外線量が影響します。子どものうちから紫外線予防を心掛けましょう。

2008年9月3日水曜日

「ストレスの対処方法 」について

ゲスト/五稜会病院 千丈 雅徳 医師

ストレスについて教えてください。

精神的に負荷が掛かることを「ストレス」といいます。ストレスの原因は環境や人間関係、経済的、物理的なものまでいろいろあります。ストレスが蓄積すると、イライラや無気力、食欲不振、不眠、うつなどの精神的な症状、高血圧、胃潰瘍(かいよう)など身体的な症状が現れます。
しかし、ストレスがまったく無く、平穏で退屈な生活は、挑戦する意欲や困難を乗り越える喜びを感じることができません。人間は適度なストレスと向き合うことによって刺激や緊張が生じ、張り合いや生きがいをもって毎日を過ごすことができるのです。大切なのはストレスといかに上手に付き合うかということです。

ストレスの対処方法を教えてください。

ストレス発散に効果的なのは、「Rest(休養)」「Recreation(気分転換)」「Relax(くつろぎ)」の3つのRです。心身に症状が出る前に、3つのRを実践して心と体の健康を守りましょう。自らできるストレスへの対処方法としては、「非現実的な目標を持たない」「できないことはできないという勇気を持つ」「ストレスの原因と思えることを書き出してみる」「自分の弱さを認める」「悩みを分かち合う」「人に依存せず、心の中で自立する」といったことが挙げられます。
しかし、自身では対処できないと感じたら、すぐに専門機関を訪ねてください。ストレスによる心身の不調で受診した場合、安定剤などの投薬治療のほかに、悩みを分かち合うカウンセリング、対人交流のスキルアップを目指しての認知行動療法などを行います。認知行動療法では、どういうときにどういった心理状態になるかを自身で認識するため、日記をつけるなどして、感情のコントロールを身につけます。
また、全国的な傾向として30~50代の男性で、ストレスからうつになる患者が多くなっています。その背景には失業、リストラなど仕事や経済的な不安、将来への不安があります。失職あるいは休職している場合は、パソコン操作などスキルアップをサポートしつつ、同じ悩みを抱える者同士で話し合うなどの復職プログラムを行っています。エアロビクスやウオーキングなどの運動療法も心身の健康を取り戻すのに効果的です。このようなプログラムを実践している病院は、全国で増加傾向にあります。回復のためには、医師や専門スタッフなどのアドバイスやサポートを上手に利用し、ストレスに対処する能力を身に付けることができます。

2008年8月27日水曜日

「夏バテ」について

ゲスト/つちだ消化器循環器内科 土田 敏之 医師

夏バテについて教えてください。

夏バテとは、真夏に食欲がない、疲れがたまる、やる気がでない、物事に集中できない、熱っぽい、体がむくむ、下痢(げり)や便秘が続くなどの症状がでることをいいます。暑い日には、体温上昇を避けるために、血管拡張や発汗で熱を下げ、体温を一定に保とうとします。しかし、日本の夏は高温で湿気が多いため、せっかく発汗しても蒸発しにくく、気化熱で体温を下げにくいのです。
体温調節は自律神経が担当しており、過度に働くことによって負担が掛かり、体温を下げるためのエネルギーを消耗します。自律神経が不調に陥った場合は、消化器官の働きを弱め、食欲減退を引き起こします。 エアコンが普及し、エアコンの入っている屋内とエアコンのない屋内、また屋外で温度差が大きくなったことも、自律神経の負担になっています。食欲減退のほか冷え症、肩こり、めまい、便秘、下痢などの症状が現れることがあります。さらに、一般に睡眠中は体温が下がりますが、真夏は夜間も部屋の温度が高く、寝付きが悪くなり、睡眠不足が続き、疲労がたまって夏バテを招きます。

夏バテ防止のための対策はありますか。

対策として、汗の蒸発を助けるために、皮膚に着いた汗や油やほこりをシャワーで洗い流しましょう。顔を洗う、おしぼり、ウエットティッシュで体を拭き取るだけでも効果があります。 また汗の主成分である水分をたっぷり補給しましょう。水以外にウーロン茶、麦茶でもOKです。室内にいるときはエアコンの温度設定を下げ過ぎないように注意しましょう。温度が高ければ、身体が疲労しますが、低ければ自律神経が乱れます。露出した部分を冷やし過ぎないように、職場などではカーディガンや膝掛けがあると便利です。エアコンや扇風機はタイマーをうまく使って下さい。また、直接体に冷気が当たらないように気を付けましょう。暑さのピークが過ぎても疲れが取れない場合は、医師に相談して下さい。

2008年8月20日水曜日

「~新しい小児用ワクチン~ヒブワクチンとロタワクチン」について

ゲスト/産科・婦人科 はしもとクリニック 橋本 昌樹 医師

ヒブワクチンについて教えてください。

ヒブ(Hib)は、ヘモフィルス属インフルエンザb型菌という細菌で、よく知られているインフルエンザウイルスとは、まったく別のものです。ヒブが血液や肺の中に侵入すると、髄膜炎や敗血症、急性喉頭(こうとう)蓋炎などの重い病気を引き起こします。日本では年間500~600人程度の乳幼児がヒブによる髄膜炎にかかっていると言われており、その死亡率は5%、後遺症が残る確率は20%程度です。諸外国ではすでにヒブワクチンを定期接種として採用しており、ヒブによる深刻な病気は100分の1程度に激減しています。WHO(世界保健機関)も乳児への定期接種を推奨する声明を出していますが、日本でもようやく認可され、今年の秋ごろには接種できる見通しです。接種の回数は3種混合と同じ4回で、3種混合ワクチンと同じ日に接種することができますが、ほかの日での接種も可能ですので、小児科の医師とよく相談してください。

ロタワクチンについて教えてください。

ロタ(Lota)は、乳幼児に見られる重症の下痢の主な原因となっているウイルスで、発展途上国を中心に世界中で年間60万人もの子どもの命を奪っています。先進国では、死に至ることはまれですが、毎年22万人の子どもたちが入院し、治療を受けています。日本でも小学校に上がるまでに2人に1人が外来を受診し、14~40人に1人が入院しているという報告もあります。ロタワクチンは、世界では100カ国以上の国々ですでに使用されており、定期予防接種に組み入れている国もあります。このロタワクチンは注射ではなく、口から接種できる点が良いところで、2回接種するタイプと3回接種するタイプの2種類があります。残念ながらいずれのワクチンも日本ではいまだに認可されていませんので、摂取することはできません。近い将来利用できることが期待されています。
日本の小児定期接種ワクチンはBCGをはじめ7種です。これに対し、アメリカでは16種と倍以上に及び、ヒブワクチン、ロタワクチンも組み込まれています。日本の子どもたちにも、早くこれらのワクチンが利用できるようになることが望まれます。

2008年8月13日水曜日

「顔面の痛み」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤 康之 医師

顔面の痛みについて教えてください。

顔面痛を訴えて来院する人は、頭痛に比べると少ないのですが、耳鼻科、眼科、脳神経外科、歯科・口腔外科、神経内科、形成外科など各科にまたがる症状であり、また原因や痛みの複雑さは頭痛に比べてはるかに大きいといえます。
代表的なものとして、三叉(さんさ)神経痛があります。三叉神経は顔面や口の中の感覚をつかさどる神経で、脳から出てすぐに3本に分かれるので三叉神経という名前が付いています。三叉神経痛は、多くの場合は原因となる疾患がはっきりしない突発性の痛みであることが多く、片側でおこることがほとんどです。起床して間もなく痛みが生じ、歯みがき、洗顔、化粧、食事、会話など、日常生活に支障を来たすことも珍しくありません。痛みは鋭く、短い時間続き、何度か繰り返します。
治療法としては、神経ブロックをまず行います。感じた痛みを脳へ伝える神経の周囲に薬を注射して、痛みの伝達を遮断(ブロック)する方法です。また、脳の中で神経と血管がぶつかっていることもあり、このような場合は外科手術によって治療することもあります。投薬治療としては、抗てんかん薬が効果的な場合も多いのです。
続発性の顔面痛としては、脳腫瘍(しゅよう)や多発性硬化症、帯状疱疹(たいじょうほうしん)などがあります。三叉神経痛を疑うときは、必要な検査(MRI、CTなど)を行い、このような疾患ではないかを確かめます。

ほかに顔面痛の疾患はありますか。

三叉神経痛のように痛む部位や痛みの性質がはっきりしないものに、持続性突発性顔面痛があります。さまざまな疾患と原因を除外し、残った顔面痛で、原因が不明とされているものです。以前は非定型顔面痛という病名でした。症状としては、顔面を主体として鈍痛あるいは圧迫感がある痛みです。治療は、一般的に星状神経節ブロックを行います。通常の鎮痛剤は無効であることが多く、抗不安薬や抗うつ剤が効果を表すことが多いようです。
顔面の痛みは患者さんの負担が大きく、すっきりと改善しなかったり、繰り返すことが多いのですが、根気強く治療する必要があります。

2008年8月6日水曜日

「紫外線とシミ、シワの治療」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック 森 尚隆 医師

紫外線について教えてください。

日本では、5月から8月がもっとも紫外線が多くなる時期です。この季節は肌の大敵である紫外線に特に注意が必要になります。曇りの日でも紫外線は浸透性があるので油断禁物です。紫外線A波(UVA)は、肌へ深く浸透し肌の色を黒くしたり、シワやたるみの原因となります。紫外線B波(UVB)は、遺伝子にダメージを与え、シミの原因や皮膚がんの誘因となる危険性もあります。予防として手軽にできるのは、皮膚表面に塗るだけで紫外線をカットできる日焼け止めクリームです。重ね塗りや塗り直しなど、正しい使い方でケアして下さい。

シミやシワができてしまったら、治療法はありますか。

シミは主にQスイッチレーザーなどを使用して、皮下のメラニン組織のみを選択的に破壊します。基本的には一度で済みますが、ばんそうこうを張ったり照射後に色素沈着を起こすことなど、アフターケアには注意すべきことがあります。
しかし、すべてのシミにレーザー治療ができるわけではありません。例えば、女性ホルモンの影響などでできる肝斑(かんぱん)は、レーザー治療を行うことで逆に濃くなる可能性が高いため、光治療のフォトセラピーやピーリングなどが使われます。数回の治療でシミだけではなく血管拡張、毛穴、小ジワなどを同時に改善する総合的な治療で、そのままメークをしてお帰りになる方も多いです。
また、盛り上がっているシミやイボには炭酸ガスレーザーが使われ、瞬間的に治療部位を蒸散させ、ほとんど出血せずに治療が可能です。
深くへこんでしまったシワには直接注入し、盛り上げてシワを目立たなくさせるヒアルロン酸などの注入法があります。麻酔クリームを塗ってから治療するので、施術中の痛みも少なく短時間で終了します。保険の適用外ですが、最近では、自分自身の血液を精製し、血小板や白血球を濃縮して、気になる部分(シワ・たるみ)に注入するセルリバイブ(白血球含有多血小板血漿)注入療法も行われています。さらに、セルリバイブに細胞成長因子を添加することで自然治癒力・組織再生力を利用する治療法も登場しています。このような治療は、専門医とよく相談し、自分に合った方法を選択されることをお勧めします。

2008年7月23日水曜日

「動脈硬化症と糖尿病」について

ゲスト/青木内科クリニック 青木 伸 医師

動脈硬化症とはどのような病気ですか。

本来、動脈は弾力性があるものですが、動脈壁に脂肪などが沈着したり、動脈壁の筋肉に弾力の無い繊維が増えたりすると硬くなります。さらに、血管の内側に粥(じゅく)状の塊ができ、血管が狭くなり本来の働きが悪くなります。また、塊(かたまり)を覆う繊維性皮膜が破れると、中の粥状のものが血管内に流れ出て、その後血栓となって血液の流れを止めてしまいます。心臓の血管が詰まると心筋梗塞(こうそく)、脳では脳梗塞、足では壊疽(えそ)になります。動脈硬化症は生命にかかわる重大な病気ですから、早期に診断、治療を行う必要があります。動脈硬化症による重篤(じゅうとく)な症状を避けるには、粥状の内容物を減らすことと、内容物を覆っている繊維性皮膜を丈夫にすることが大切ですが、最近では薬物療法が可能になってきています。

原因と予防方法を教えてください。

動脈硬化症は、主に生活習慣病の合併症として現れます。危険因子である糖尿病、高脂血症、高血圧症をきちんと治療し、管理していくことが大切です。日本には非常に多くの糖尿病患者と予備軍がいます。軽度のうちは自覚症状が無いため、「血糖値が高い」といわれても放置している人が多いのですが、糖尿病があると2~3倍も動脈硬化になりやすいといわれています。動脈硬化症から、脳梗塞、心筋梗塞に至ることがあり、高血糖が原因で十数年後に腎(じん)不全(透析)、失明など重篤な症状に進行する場合もあります。 治療は主に投薬と日常生活の中での数値管理です。過去1~2カ月間の平均血糖値を表すHbA1cの正常値は5.8%以下ですが、糖尿病患者の場合、この値を6.5%以下にしておくと血管の余病はほとんど出ません。
また、糖尿病患者の約半数は高脂血症や高血圧症を合併しています。コレステロール値や中性脂肪値などにも注意が必要です。通院を続け、適切な投薬と数値管理を行えば、日常生活には支障ありません。生活習慣病は遺伝的要素も強く、家族に糖尿病や高脂血症の人がいる場合は、若年層でも発症します。食事を野菜中心の和食にする、運動を心掛けるなど、日常生活の見直しも必要です。

2008年7月16日水曜日

「尖圭(せんけい)コンジローマ」について

ゲスト/アップルレディースクリニック 工藤 正史 医師

尖圭コンジローマについて教えてください。

尖圭コンジローマとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染による性感染症のひとつで、性器や肛門周辺にたくさんのイボができます。HPVには良性型と悪性型があり、尖圭コンジローマは良性型が原因といわれていますが、まれに悪性型が見つかることがあり、悪性型は子宮頚(けい)がん、陰茎がんと関係が深いといわれています。HPVはほとんどの場合、性交や類似する行為によって感染します。コンドームを使用して皮膚や粘膜が触れ合うことを避けることで、多少は予防効果がありますが、広い範囲が感染している場合は、予防できません。手指、器具などを介して感染することもまれにあるようです。
一般に感染してからイボができるまで3週間から8カ月(平均2.8カ月)。潜伏期間が長い上、期間も人によってさまざまなので、症状が現れた時点で「誰から感染したのだろう」と考えても、パートナーが長期間一定していない場合は特定することが困難です。年代としては、20代の男女にもっとも多くみられます。尖圭コンジローマに限らず性感染症にかかったら、パートナーも検査・治療を受けないと、パートナーから再感染する「ピンポン感染」を防げません。

症状、治療法について教えてください。

尖圭コンジローマのイボは、乳頭状、カリフラワー、ニワトリのとさかのような、と表現され、巨大化することもあります。イボ以外にかゆみや痛みがないことから、病気に気付きづらく非常にやっかいです。女性の場合は子宮がん検診や産婦人科の検診で偶然発見されることがあります。
治療は、直接イボをとってしまう外科的療法と、塗り薬の処方が一般的です。手術によって目に見えるイボをとっても、周辺部まで感染が及んでいる場合は再発も考えられます。日本では、2007年12月に厚生労働省から認可された塗り薬があります。これは、週3回就寝前に塗布して、起床後に薬剤を石けん水または温水で流します。
治療は長期に及ぶことが多く、一度治療しても再発する場合があるので、定期的に診察を受ける必要があります。

2008年7月9日水曜日

「顔色と疾患」について

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口 健一 医師

顔色で、どのようなことが分かりますか。

臨床の場ではまず、患者さんの話を聞く問診、顔色や眼の輝き、表情などを見て健康状態を判断する視診、脈などをとる触診、胸や背中に聴診器を当て、指先などでたたいて音を確認する聴打診を行うのが一般的な流れです。
この中でも、「視診」は、健康状態を判断する大切な要素です。代表的な「顔色」は、たとえば青白いなら貧血・低血圧、赤っぽいなら発熱など、特に急性期の症状の判断に有効です。ほかにも黒ずんでいれば腎臓や副腎ホルモンの疾患、黄色っぽければ肝臓障害による黄疸(だん)を疑います。顔色以外でも、顔のむくみで心不全や腎不全、甲状腺の機能低下が考えられます。
生まれつき色白な人で赤みがないと「顔色が悪い」と指摘されることが多いと思いますが、検査をして異常がなければ心配する必要はありません。若い女性で青白い顔色の場合は、鉄欠乏性貧血であることが多いです。月経などで鉄分不足になりやすく、さらに無理なダイエットなどで症状が悪化します。白血病など大きな病気が隠れている場合もあるので、一度医師に相談することをお勧めします。

顔色以外で、視診で判断できることはありますか。

顔とともにむくみやすいのが足です。両足が立ち仕事や夕刻になるとむくむのは、あまり心配ありません。片足だけが時間に関係なくむくむようなら腎臓や心臓の疾患が考えられます。手指で、第1関節が太くなっているのは年齢による関節症である場合がほとんどですが、第2関節が太くなっているのは膠原(こうげん)病の可能性があります。また、指先が広がる「バチ状指」は肺疾患の人に多い症状です。爪の色やスジで病気が分かることもあります。
医師は、患者さんのさまざまな部位、状態、症状を見て診断の一助にします。本やインターネットで調べて自己診断するのは危険です。気になることがあったら、積極的に医師に相談してほしいと思います。

2008年7月2日水曜日

「血尿と膀胱(ぼうこう)がん」について

ゲスト/元町泌尿器科 西村 昌宏 医師

血尿について教えてください

血尿で考えられる病気としては、尿路感染症、尿路腫瘍、尿路結石、特発性腎出血、尿路結核などが挙げられます。中でも、特に注意が必要なのは、特別な症状がないのに突然、肉眼でも確認できる鮮やかな血尿が出た場合です。これは無症候性血尿と呼ばれるもので、膀胱がん、腎がん、腎盂(う)尿管がん、前立腺がんなど、泌尿器系がんである可能性があります。痛みや発熱などの症状がなく、翌日には血尿が治まっていたとしても、「疲れのせい」などと自己診断で放置せず、必ず泌尿器科を受診してください。
血尿の原因はほかにも膀胱炎や尿路結石などがありますが、これらは排尿痛や背部、側腹部の激痛などを伴うため発見は比較的容易です。

膀胱がんについて教えてください。

血尿が出て受診した場合、特に中高年には泌尿器科的精密検査が必要となります。主な検査としては、尿の細胞検査、採血、超音波検査、造影剤を注射して腎臓から膀胱の写真を撮る排せつ性尿路X線撮影、CTスキャン、膀胱鏡検査などを実施します。いずれも外来で行うことができます。
膀胱がんは、早期発見ができれば、内視鏡による切除手術で取り除くことが可能です。しかし、腫瘍の度合いによっては膀胱を摘出し、小腸で人工的な膀胱をつくるということにもなりかねません。早期発見・早期治療のためにも、血尿というサインを見逃さず、会社の検診や一般の健康診断などで尿に鮮血反応が見られた場合も、ぜひ泌尿器科で専門医の診断を受けてください。
また、年々増加傾向にある前立腺がんは、50歳を過ぎると発症率がぐっと高くなります。排尿回数が多い、残尿感がある、排尿まで5秒以上かかるなどの症状がある人は、年に一度、前立腺がんの検査を受けることをお勧めします。
がんはもちろんのこと、そのほかの疾患も早期に治療を始めれば、大事に至らずに済むことが多くあります。わずかでも気になることがあれば、恥ずかしい、面倒臭いなどと思わずに、専門医にご相談ください。

2008年6月25日水曜日

「成人の歯列矯正治療」について

ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 歯科医師

大人でも「歯列矯正」が可能ですか。

もちろん可能です。子どものほうが、成長期を利用して顎(あご)を正しい位置に動かすなど、矯正治療を始めるのには適していますが、大人だからといってあきらめる必要はありません。最近は成人でも矯正治療に関心を持つ人が増え、60歳代のかたでも幅広く治療に訪れています。
成人の矯正治療のきっかけは、咬(か)み合わせの不具合や顎(がく)関節症など機能面で問題が生じ、原因が歯並びや咬合(こうごう)異常にあるため、根本から治そうとするケースが一般的です。また、子どもが歯列矯正できれいな歯並びになったのを見て、自分もと考えられるお母さんも多いです。さらに、子ども時代に途中で治療をやめてしまい、最近の矯正器具の改善に、またやろうという気持ちになったという方も増えています。
正しい咬み合わせになると、今までコンプレックスだった口元を隠さずに笑顔を見せるようになり、表情が驚くほど明るくなります。

大人の矯正治療で特に注意する点はありますか。

基本的に、矯正治療自体は問題なくできます。ただ、虫歯や差し歯、ブリッジなどの補綴(ほてつ)物、部分欠損、歯周病などがある場合、子どもの矯正に比べて条件面で制約が多くなるのも事実です。特に、下顎前突症(受け口)のような顎のズレがある場合は、成長を利用した治療ができないため、外科的治療が必要になる場合があります。このような場合、大学病院など口腔(こうくう)外科とともに協力して治療をすることになり、外科治療には健康保険が適用になります。
成人の矯正治療期間は、2~3年で歯を動かし、その後2~3年保定期間があります。矯正治療の現場では、次々に新しい治療器具が開発され、より小さく、より扱いやすい器具が実現しています。歯の裏側に付ける矯正器具、透明のマウスピースなど、目立たないものも多く、社会生活を送る上で、あまり不便を感じさせません。
歯並びが気になる人、咬み合わせに異常がある人、子ども時代に矯正治療をやめてしまった人も、ぜひ一度専門医に相談してください。

2008年6月18日水曜日

「ピロリ菌と胃の病気」について

ゲスト/やまうち内科クリニック 山内 雅夫 医師

ピロリ菌について教えてください。

ピロリ菌は、1983年にオーストラリアのワレンおよびマーシャル博士によって、初めて分離・培養されました。正式名称は、ヘリコバクター・ピロリという胃粘膜に生息するらせん形の細菌で、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)、胃炎、胃がんの原因となっていることが分かっています。発見以前は、強酸性の胃の中で細菌は生存できないと考えられていましたが、ピロリ菌にはアンモニアを産生する力があり、胃酸を中和して胃の中でも生存できることが分かりました。 乳幼児期にピロリ菌に感染すると、慢性的な持続感染になりますが、成人以降の新たな感染は少ないと考えられています。日本では若い人の感染率は低いのですが、40歳以上では約80%もの人が感染しています。幼少時の衛生環境の差によるものと推測されます。 ピロリ菌に感染すると、まず胃粘膜に炎症が起こり(活動性胃炎)、この状態が長期間持続すると胃粘膜の委縮(委縮性胃炎)が進行しますが、この委縮性胃炎は前がん状態と考えられています。ピロリ菌感染者の一部に胃、十二指腸潰瘍が発症しますが、胃潰瘍患者の80%、十二指腸潰瘍の95%がピロリ菌陽性です。

ピロリ菌の除菌について教えてください。

胃・十二指腸潰瘍の主要な原因がピロリ菌であることが分かってきてから、治療法は大きく変わりました。除菌療法といい、ピロリ菌を駆除するために2種類の抗生剤を1週間内服し、加えて胃酸分泌を強力に抑制するプロトンポンプ・インヒビターを併用する方法です。この治療法によって、大部分の胃・十二指腸潰瘍の再発を防ぐことができます。もっとも、胃・十二指腸潰瘍の中にはピロリ菌が関与していないもの(鎮痛剤による潰瘍など)もあり、この場合は除菌療法の対象外です。
ピロリ菌感染の有無は、内視鏡検査で胃粘膜を採取して調べる方法のほか、尿素呼気試験、血清抗体測定、便中の抗原測定などがあり簡単に分かります。
なお、近年、委縮性胃炎に対しても胃がん予防の見地から、除菌療法をしたほうが良いという意見もあります。

2008年6月11日水曜日

「女性と膠原(こうげん)病」について

ゲスト/佐川昭リウマチクリニック 佐川 昭 医師

膠原病とはどんな病気ですか?

膠原病は、全身性自己免疫疾患に属し、自分自身に対して免疫反応を起こすいくつかの病気の総称です。自己免疫疾患とは、自分の臓器をあたかも他人のもののように攻撃してしまうもので、臓器移植のときの拒絶反応に似ています。具体的には、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどがあり、男性に比べて女性の発病率は、全身性エリテマトーデスで10~13倍、関節リウマチで5~6倍となっています。このため私は膠原病を、「女性の敵」と呼んで治療にあたっています。

具体的な症状について教えてください。

全身性エリテマトーデスの“全身性”とは、体のあちこちに症状が出るという意味で、“エリテマトーデス”とは赤い発疹(紅斑)を指します。顔、手足、関節、血管など、各所に痛みや炎症などが現れますが、診断がはっきりしない段階では、皮膚疾患や血液疾患などに思われることもあります。
15~35歳くらいに発病する場合がほとんどで、女性ホルモンの活動が盛んな時期と一致しますが、原因はまだよく分かっていません。
「妊娠・出産は難しいのではないか」と悩む患者さんもいますが、病状にもよりますので、専門医と十分に話し合うことが大切です。
関節リウマチは、10代20代から始まって、40代に最も多く発病する病気で、あらゆる関節に炎症が起き、痛みや腫れ、こわばりを伴います。家事などの日常生活で症状が悪化することも少なくありません。患者さんのなかには、「サケをさばいたり、カボチャを切ったり」「アイロン掛けや床ふき」などで痛みが激しくなったという人もいます。また、「家事が十分にできない」「つらさをだれにも相談できない」などの悩みを抱える人もいます。治療には、周囲の理解と協力が不可欠です。
膠原病の治療は、異常な免疫反応を抑える薬物療法が主体となりますが、いずれの場合も早期発見が第一です。原因不明の発熱、おかしな発疹や皮膚炎、関節痛や筋肉痛が治らないなどの症状が見られた時は、膠原病の疑いも考えられますので、専門医への受診をお勧めします。

2008年6月4日水曜日

「ウイルス性慢性肝炎」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 医師

慢性肝炎について教えてください。

日本での慢性肝炎のほとんどは、B型、C型肝炎ウイルスの感染によるもので、ウイルスによって肝臓の炎症が持続する限り病状が進行し、肝がんを発生する可能性が高くなります。ウイルスによると思われる肝がんの死亡者は年間3万人を超え、C型肝炎ウイルスによる薬害肝炎問題もあり、社会的にも注目されています。
現在、日本のB型肝炎ウイルスのキャリアーは約150万人と推定され、多くは非活動性の無症候性で、肝硬変や肝がんに至るのは1割前後です。C型肝炎ウイルスキャリアーは約200万人で、半数は安定した慢性肝炎ですが、活動性の慢性肝炎の場合は20~30年で肝硬変、肝がんに進行しやすいとされています。
B型肝炎は出生時、幼少期の母子感染がキャリアー化の主な原因と考えられ、日本では1986年以降、陽性の母親から生まれる新生児にワクチン接種が行われ、新たに発生するキャリアーを阻止しています。C型肝炎は血液を介して感染し、そのうち約3割は急性の肝炎で治癒しますが、約7割がキャリアーとなり慢性肝炎に移行します。汚染された血液や血液製剤が感染源とされており、現在は発生率が著しく低下しています。

ウイルス性慢性肝炎の治療法について教えてください。

B型慢性肝炎の治療は、近年飛躍的に進歩し、従来のインターフェロン療法に加え、3種類の経口核酸アナログ製剤の登場によりウイルス量の減少、肝機能の正常化、肝臓組織の改善が得られるなど、慢性肝炎の治療を改善しつつあります。C型慢性肝炎の治療は、一回の投与で長時間作用が持続するペグインターフェロンと経口抗ウイルス製剤の併用療法が現在の主流です。いずれの治療も、年齢、肝機能や血小板値、ウイルス量・遺伝子型、副作用などを考慮し個々の患者さんに合った治療法が選択されます。
2004年4月から始まった40歳以上の国民を対象とする肝炎ウイルスの検診により、新たな感染者が発見されていますが、厚生労働省の調査では現在3割程度の人しか受診していません。まだ受診していない人は、ぜひ一度肝炎検診を受けることをお勧めします。

2008年5月28日水曜日

「白内障治療における多焦点眼内レンズ」について

ゲスト/大橋眼科 大橋 勉 医師

白内障の眼内レンズについて教えてください。

白内障は瞳の後ろにある水晶体が濁るために起きる視力障害で、最も多いのが加齢に伴う老人性白内障です。治療には点眼薬が投与されますが、最終的には手術が必要になります。現在、日本で最も行われている手術法は、水晶体を包んでいる袋の中の濁りを取り除き、その袋の中に人工レンズを挿入します。
白内障手術で現在使われている眼内レンズは、ほとんどが「単焦点眼内レンズ」です。遠く、あるいは近くの一カ所に焦点を合わせたレンズで、濁りがなくなるため、見やすく視界が明るくはなりますが、裸眼でどこでもよく見えるというわけではありません。焦点が遠くにある場合は、読書や縫い物など手元の作業には視界がぼやけ、老眼鏡が必要になります。逆に近くに焦点を合わせた場合は、外を歩いたり、運転する時に信号や看板が見づらく、眼鏡が必要になります。

多焦点眼内レンズについて教えてください。 

多焦点眼内レンズは近くと遠くの両方に焦点を合わせることができる、遠近両用レンズです。日本では認可されたばかりでまだ症例数は少ないですが、欧米では増加傾向にあります。
これまでの単焦点眼内レンズに比べ、遠くも近くも焦点が合いやすいのですが、自由にピントを変えることができる若い頃の見え方とは異なります。多焦点眼内レンズの見え方に脳が慣れるまではある程度の時間がかかります。眼鏡が必要になることもあります。ただ、いくつもの眼鏡を使ったり、頻繁にかけ外しする煩わしさからは解放されます。
単焦点レンズよりは見え方が劣ったり、暗いところで光が散乱して見えるハローや、光の周辺に輪がかかって見えるグレアを感じる場合もあります。夜間に車の運転が多い場合などは向いていません。
単焦点眼内レンズにするか、多焦点眼内レンズにするかは、医師の説明を聞き、自分のライフスタイルにどちらが合うか考慮して選択することをお勧めします。現在のところ、多焦点眼内レンズは保険適用外となりますので、費用は施設によって異なりますが、40万円~60万円掛かります。詳しくは、医師に尋ねると良いでしょう。

2008年5月21日水曜日

「麻疹(はしか)」について

ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 医師

麻疹(はしか)について教えてください。

麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の感染症で、発熱や咳(せき)、鼻水といった風邪のような症状と発疹(ほっしん)が現れ、肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症を発症することもあります。感染経路は、空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染で、免疫を持たない人が感染すると90%以上が発症します。特別な治療法はなく、症状に合わせた対症療法が行われます。
従来は幼児期の感染症と思われていましたが、最近は10~20代での感染も見られ、学校が休校になるなど、社会的な問題になっています。唯一有効な予防方法は、ワクチン接種により、あらかじめ免疫を獲得しておくことです。

ワクチン接種について教えてください。

以前は一度麻疹ワクチンを接種すれば、免疫は終生続くとされていましたが、実際には、接種後の流行時にたびたび麻疹ウイルスに接し、結果として免疫が持続していたことが分かりました。近年の若年者の発症は、ウイルスに接する機会に乏しく、免疫が維持できなくなったことが原因と考えられます。ワクチンによる免疫の持続期間は10年くらいと推定されます。このような状況を背景に、政令の改正により、平成20年度から24年度までの5年間、中学1年生と高校3年生に相当する年齢の人たちも、ワクチン接種の対象として追加されました。免疫をより高めるためには2回接種が有効とされているので、幼児期に受けていても、もう一度接種すると良いでしょう。札幌市の場合、実施医療機関が決まっているので事前に確認してください。そのほかの方は、任意接種(実費)として行えます。麻疹のワクチンは、MR(麻疹風疹(ふうしん)混合)ワクチンが一般的で、過去に麻疹や風疹にかかったことがあっても、接種して問題はありません。副反応は、発熱(約20%)や発疹(約10%)などですが、数日で治まります。ごくまれにじんましん、けいれん、脳炎などが報告されています。妊娠中の人はこのワクチンを接種できません。麻疹に対して免疫があるかどうかの検査は一般の医療機関でできますが、保険適用外のため料金は医療機関によって異なります。抗体検査をせずに、初めからワクチン接種を行うことも一つの方法です。

2008年5月14日水曜日

「リウマチの治療薬」について

ゲスト/青空たけうち内科クリニック 竹内 薫 医師

関節リウマチについて教えてください。 

関節リウマチは、関節に起こる炎症がもたらす痛みやはれ、変形を特徴とする病気です。微熱やだるさ、貧血、食欲不振など全身症状を伴うこともあります。目覚めたときの関節のこわばった感触、ぎこちなさを自覚するなどが、リウマチに特徴的な症状です。放っておくと、関節の骨や軟骨が破壊され、関節が変形してしまいます。
現在、関節リウマチに悩む患者数は人口の約0.8%、全国では100万人ともいわれ、その数は人口の高齢化に伴い増加する傾向にあります。男女の割合は1対4で女性に多く、発症年齢は30~50歳代、特に40歳代が最も多いことが分かっています。関節リウマチの原因は、今のところはっきりしていませんが、ウイルスや細菌を排除する免疫システムの異常と考えられています。関節リウマチは自己免疫疾患の一つです。

治療について教えてください。

以前はリウマチには良い治療薬がなく、痛みが続き関節が変形していくのを止めることはなかなかできませんでした。しかし、近年、生物学的製剤の登場により、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩し、治療の選択肢も広がり、かつては「寝たきり」というイメージがあったリウマチに「治る病気」というゴールも見えてきました。生物学的製剤は最新のバイオテクノロジー技術を用いて開発された新薬で、関節リウマチの炎症や、骨、軟骨などの関節破壊を引き起こす原因となる「TNF」というサイトカイン物質を抑えることにより、その効果を発揮します。生物学的製剤のインフリキシマブ、エタネルセプトは保険が適用になります。
以前は、10年以上かけて骨が徐々に壊れると考えられていましたが、最近の研究で、初めの2年間で骨の破壊が著しく進行することが分かりました。結果として10~20年後の関節破壊があり、QOL(生活の質)を決めることにもなります。リウマチは発症早期がとても重要で、早期診断、早期治療に大きな意味があります。
リウマチの早期診断は、糖尿病や高血圧のように検査数値では診断がつかないことが多いので、関節痛やこわばりなどで困っている人は、一度リウマチ専門医に相談することをお勧めします。

2008年5月7日水曜日

「アレルギー性結膜炎」について

ゲスト/さかた眼科ファミリークリニック 坂田 信義 医師

アレルギー性結膜炎について教えてください。 

結膜とは上下のまぶたの裏側と、白目の表面を覆っている半透明の膜です。外からの異物が結膜に付着し、体が過剰に反応して免疫反応が起こるのがアレルギー性結膜炎です。症状としては、目やまぶたのかゆみ、目がゴロゴロする、目ヤニが出るなどです。結膜が充血しむくみが見られ、まぶたが腫れることもあります。重症の場合は角膜にまで炎症が及び、鼻炎、気管支ぜんそくなどを伴う場合もあります。
札幌では、4月の中旬から花粉の飛散が始まり、季節性のアレルゲン(原因物質)となります。本州に多いスギ花粉はわずかで、ハンノキ、イチイ、シラカバなどの木本花粉によるものが多く、夏にはイネ科花粉、秋にはヨモギなどの雑草系花粉が飛散しますが、春から夏にかけて一番多く発症します。
ほかに通年性のハウスダスト、真菌、ダニ、ペットのふけなどがあります。夜間に目がかゆい、目をこするなどの場合は寝具のダニによることが考えられます。原因物質を特定するのであれば、皮膚テストや特異IgE抗体測定の血液検査が必要となります。

予防法、治療法を教えてください。

花粉症の場合は、花粉情報を活用し、飛散が多い日には花粉防止用メガネ(ゴーグル型)を着用すると有効です。普段コンタクトレンズを装着している人は、一時的にメガネに切り替えるだけでも効果があります。目の表面に付着した花粉を洗い流すには、涙に似た成分でつくられた人工涙液による洗眼が有用です。市販のカップ式の洗浄器具は目周囲の汚れや花粉を目表面に接触させる可能性があります。症状を抑えるなら、まぶたの上からぬれタオルで冷やすのも効果的です。
治療法としては、抗アレルギー薬(点眼、内服)による薬物療法が中心となります。重症の場合はステロイド薬(点眼、内服、軟こう)が使われます。
毎年、花粉症が心配な方は、飛散が始まる2週間ほど前から、抗アレルギー薬を予防的に使用することで症状を軽減できるので、ぜひ専門医を受診して相談してみてください。

2008年4月23日水曜日

「皮膚の再生医療」について

ゲスト/緑の森皮フ科クリニック 森 尚隆 医師

最近「再生医療」という言葉をよく耳にしますが

実は肌の老化にも自分自身の細胞を再生させ、それを気になる部分(しわ・たるみ)に補充し再生をはかる「肌の再生医療」という技術が行われています。これは、『リジェンACR注入法』という治療で、自己多血小板血漿(PRP)を注入し、自己血中の細胞や成長因子を利用して組織再生を促し、皮膚などの再生を目的とした治療法です。この『リジェンACR注入法』という治療は、自己の血液の中に含まれている血小板を利用するもので、血小板は人間の体の中で血を止めたり、壊れた血管や細胞を治す働きをしています。この血小板の中には、グロス-ファクターと呼ばれる多機能な成長因子が含まれており、組織の修復・コラーゲン産生・ヒアルロン酸産生・血管内皮細胞の増殖や新生などを促進して、体の細胞を再生します。これを利用して顔や首、手の甲などのしわやたるみを改善していきます。今まで治療が困難とされてきた目の周りのちりめんじわなどにも効果的で、安全な治療法といえます。

この治療法の特徴について教えてください。

従来から行われているヒアルロン酸注入やコラーゲン注入などのように、直接的な治療とは違いすぐに変化がでるものではありません。細胞が活性化されるまでの時間が必要なため、約2週間から2ヵ月間をかけて徐々に状態を改善していきます。そのため、仕上がりはとても自然です。治療時間は採血から含め約1時間程度で帰ることができ、塗る麻酔薬を使用しますので痛みもほとんどありません。自分自身の血液中の有効成分を使用するので、副作用などの心配が少なく治療を受けることができます。 現在、この自己多血小板血漿(PRP)はいろいろな医療現場で使われており、歯科のインプラント治療の骨の再生や糖尿病による皮膚潰瘍、熱傷を早く治すための治療にも積極的に利用されています。血小板の働きが正常であれば、どの年齢層の方でも治療を受けることができますが、妊娠中の方や肝臓、腎臓などの治療を行っている方は、治療を控えなければならないこともあります。そして、医師とのカウンセリングも重要なことです。 このような美容を目的とした治療は、いずれも保険適用外の自費治療です。

2008年4月16日水曜日

「子どもの歯科矯正治療」について

ゲスト/宇治矯正歯科クリニック 宇治 正光 歯科医師

子どもの矯正治療について教えてください。

お子さんの歯並びが気にかかり、矯正が必要かどうか判断に迷われる方も多いと思います。子どもの歯並びのチェック方法の一つとして、お子さんの口元を顔の正面から観察することをお勧めします。上の前歯と下の前歯の真ん中が一致していればひと安心ですが、ずれている場合は、矯正の必要が考えられます。 出っ歯や受け口といった上下の顎(あご)が前後に大きすぎたり小さすぎたりという骨格的な問題は、一般の人にも気付きやすいのに対し、左右のずれは発見しづらいものです。自然な矯正治療なら、顎骨(がっこつ)の成長コントロールが可能な9~10歳までが理想的です。この時期なら就寝時に、バイオネーターやFKO(エフカーオー)と呼ばれる機能的顎(がく)矯正装置を装着し、ずれた顎の骨を中央に移動します。子どもの成長能力を生かしたもので、痛みはほとんど感じられず、日中は装着する必要がありません。ずれの程度にもよりますが、装着期間は平均で半年から1年。経過観察のための通院は、1カ月から3カ月に1度が目安です。 ずれの原因には、歯そのものがずれている場合もあり、歯の矯正は永久歯がそろってからでも治療可能です。その場合は、抜歯をする可能性が高くなりますが、きれいに治療できます。判断は非常に難しいので、ぜひ専門医にご相談ください。

ほかに、家庭でできるチェック方法はありますか。

ほおづえやかみ癖、就寝時の体位が左右どちらかに大幅に偏っている場合などは、左右のずれを引き起こす原因となることがあるといわれています。 上の前歯と下の前歯の中央が一致しているのを確認したら、次は鼻の先端を規準に、顔の中央に前歯の中心が沿っているかを確認してください。ずれの原因は一見して分かるものではなく、万が一、骨格のずれを歯のずれと勘違いして放っておくと、矯正に最適な成長期を逃してしまう危険性もあります。少しでもおかしいなと思ったら、早めに専門医へ相談することをお勧めします。

2008年4月9日水曜日

「排便時の出血」について

ゲスト/札幌いしやま病院 樽見 研 医師

排便時の出血に不安を感じる人も多いと思います。

排便時に肛門から出血し、あわてて病院へ駆け込む人も多いですが、ひと口に出血といってもさまざまです。血の色が鮮やかな赤であった場合は、肛門付近からの出血と考えられます。暗褐色やタール状の便であった場合は、腸や胃からの出血の可能性があります。鮮血の場合は痔(じ)である可能性が高いのですが、時には大腸がんや腸内にくぼみができ炎症が起きる大腸憩室(けいしつ)炎、その他の大腸疾患も考えられますので注意が必要です。特に飲酒をきっかけに出血する人が多いです。 痔の場合は日本人に多い痔核(=いぼ痔)や裂肛(=切れ痔)によって、出血していることが多いです。1~2回程度の出血なら様子を見てもいいのですが、何度も出血するようなら専門医を訪ねてください。

出血を伴う大腸の病気について教えてください。

以前は欧米人に比べ、日本人には大腸がんは少なかったのですが、近年は急激に増加しています。原因としては、食生活の変化が挙げられます。日本人は昔と比べ、動物性の脂肪やタンパク質を非常に多く取るようになり、一方で食物繊維の摂取量は減少しています。このような大腸がんリスクファクターの増加によって、大腸がんによる死亡者数は、かつて日本人に多かった胃がんの死亡者数に追いついてきています。排便時の出血を痔と決め付けて受診が遅れると、がんの場合は手遅れになることもあります。 また、炎症性腸疾患であるクローン病、潰瘍(かいよう)性大腸炎の場合も出血します。炎症性腸疾患は国から難病に指定されている難治性の慢性疾患ですが、やはり早いうちに発見し治療することが大切です。大腸がんは40歳代以降、炎症性腸疾患は20~30歳代に多い疾患です。排便時の出血は年齢にかかわらず、早めの受診をお勧めします。 検査では、肛門からスコープを挿入して腸を見る、内視鏡検査を行います。この検査が不安で受診しないという人もいますが、最近の内視鏡は非常に高性能で、医師の技術も高くなっていますから、以前に比べ苦痛は小さくなっています。安心して検査を受けてください。

2008年4月2日水曜日

「日本人に最も多いタイプの緑内障(正常眼圧緑内障)」について

ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 医師

正常眼圧緑内障について教えてください。

40歳以上の日本人の、20人に1人以上は緑内障で、その中でも一番多いのが正常眼圧緑内障です。緑内障は、何らかの原因で視神経が障害され、視野が狭くなる病気で、治療せずに放っておくと失明に至ることもある重篤な視機能障害です。 原因の一つとして、眼圧の上昇が知られていますが、日本人においては、眼圧が正常なのに緑内障になっている人が非常に多いということが分かっています。緑内障の初期自覚症状はほとんどなく、視野が狭くなるなどといった症状も、かなり進行するまで自覚症状として現れません。 ですから“見えるから大丈夫”ということではありません。 緑内障は一度なってしまうと、進行を防ぐことはできても元通りに回復することは困難です。できるだけ早く発見し、早期に治療を開始することが重要です。

緑内障の診察と治療について教えてください。

正常眼圧緑内障は、眼底にある視神経乳頭のへこみが大きくなることで、比較的容易に発見されます。これは、専門医による眼底検査を受ければ、ほとんどの場合見つけられますが、一般的な健康診断では眼底検査までしない場合が多く、発見の機会が失われてしまいます。40歳以上で自営業者や主婦の方などや、お勤めでも健康診断の項目に眼底検査が入ってない場合は、ぜひ積極的な眼科での検診をお勧めします。緑内障は、遺伝的な要素も強い疾患なので、血縁関係のある方に緑内障患者がいる場合は特に注意が必要です。眼科医で「緑内障の検査」を希望すれば、眼圧、眼底、視野などの検査を行うことが普通です。 実際に緑内障と診断されても、最近は有効な薬が多く出ていますから、過度な心配は不要です。早期なら点眼薬の治療のみで十分なことが大半です。 緑内障に気が付かないまま進行した場合は、視野が欠けたり、狭くなりますが、実際には両目を使ってカバーしたり眼を動かしたりするため、病気であることには気が付きづらいものです。歩いていてよくつまずいたり、横から来る車が見えない、運転していて左のガードレールによくこするなどは、進行した緑内障の可能性があるので、すぐに眼科を受診してください。

2008年3月26日水曜日

「長引く咳(せき)と花粉症」について

ゲスト/大道内科呼吸器科クリニック 大道 光秀 医師

春先にみられる長引く咳について教えてください。

風邪をひいたわけでもないのに、しつこい咳に悩まされることがあります。また、風邪が治ってもいつまでも咳だけが残ることもあります。発熱がなく、レントゲン写真にも異常がない場合は、アレルギーによる咳が考えられます。 この時期、本州ではスギによる花粉症がシーズンを迎えていますが、北海道で患者数が多いのは、主にシラカバ、ハンノキによる花粉症で、雪解けのころから始まり、4月下旬から5月がピークです。鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状が出ますが、今まで花粉症になったことがない人でも体の中で、花粉に対する抗体が少しずつ蓄積されて、ある年に突然発症します。またシラカバ花粉症では、花粉症の症状が治まってから咳が出てくる事があります。ひどい場合は夜眠れないほどの咳や、呼吸が苦しくなることもあり注意が必要です。特に花粉の飛散量が多い年に、咳を訴える患者さんが増えます。 ひどい咳が止まらない人の中で、ぜんそく発作であったことが分かった人も結構います。 長引く咳は放っておかず、一度呼吸器科を訪ねてみることをお勧めします。

治療法、予防法について教えてください。

花粉症を根本的に治療するには、時間をかけて体質を改善していくしかありません。ただ、スギ花粉症の体質改善の注射はありますが、シラカバ花粉症の体質改善の注射はまだありません。現在、出ている症状を抑えるのなら、抗アレルギー剤の服用、点鼻薬、点眼薬などがあります。毎年のように発症するのであれば、花粉が飛び始める2週間程度前に予防的に抗アレルギー剤を内服するとシーズン中の症状が軽減されます。 ひどい咳が続く場合は、ぜんそく発作かどうかを調べ、必要に応じて吸入ステロイド剤を使用します。 予防策としては、花粉の飛散が多い晴れた日の外出を控えたり、外出時にマスクを着用、うがいや手洗いをするなど、基本的なことが効果的です。帰宅時には入室前に髪、衣類についた花粉を払います。 咳がいつまでも続く場合は、アレルギー性である場合も考慮して専門医を受診しましょう。

2008年3月19日水曜日

「高血圧」について

ゲスト/宮の沢内科・循環器科クリニック 佐藤 愼一郎 医師

高血圧について教えてください。

高血圧の初期症状は、これといった自覚症状がなく、あっても肩凝り、頭重感、疲労感など軽微なものです。多くの高血圧患者には生活習慣と、遺伝的な体質の両方が関係しています。特に生活習慣の影響は大きく、塩分の取り過ぎ、ストレス、肥満、過労などは血圧上昇の誘因となります。高血圧患者は、高頻度で糖尿病、脂質代謝異常、内臓脂肪蓄積の状態を含んだ複合的な疾患である「メタボリック・シンドローム」を形成し、全身の血管の動脈硬化が促進され、脳卒中、心筋梗塞(こうそく)、腎不全など重篤な疾患を起こす危険性が高くなります。  高血圧の診断基準は、医療機関などで、機会を変えて複数回測定した血圧値が、上が140mmHg以上、下が90mmHg以上の場合です。家庭での血圧測定の場合は上が135mmHg以上、下が85mmHg以上で高血圧と診断します。

診療・治療について教えてください。

高血圧で受診した場合、臓器の合併症の状態を調べた上で治療方針を検討します。心臓については心電図で心臓肥大の有無、狭心症などの評価を行い、さらに心不全に至っていないかを心臓超音波検査や血液検査で調べることもあります。 腎臓については尿タンパクの出現、腎機能障害がないかを血液・尿検査で検査します。微量な尿タンパク(アルブミン尿)の測定が早期腎症の発見につながります。 腕と足の血圧同時測定値から血管年齢を推定する検査も、末しょう血管の動脈硬化を調べる上で有用です。眼底検査で網膜の血管の性状を診て、血液検査から脂質、血糖、尿酸のチェックをします。これらの検査に加え、肉親の病歴や患者本人の喫煙、飲酒、運動の習慣などを詳細に問診した上で治療計画を医師と患者で話し合います。 何より大切なのは塩分制限で、一日の塩分摂取量を6gに減らすことで血圧は6mmHg下がります。続いて肥満是正のためのカロリー指導、運動指導(喫煙者は禁煙も)と進んでも、130/85mmHg未満を達成できなければ、降圧薬の内服が必要となります。 長期間にわたることの多い高血圧の治療は、医師だけではできません。生活習慣改善の上手な工夫や規則正しい服薬などで、患者さん自らも治療に参加するという気持ちがとても大切になります。

2008年3月12日水曜日

「ほくろ」について

ゲスト/宮の森スキンケア診療室 上林 淑人 医師

ほくろについて教えてください。

ほくろは、母斑(ぼはん)細胞母斑という皮膚腫瘍(しゅよう)の一種です。黒いもの、グレーや茶色のもの、平らなもの、盛り上がったもの、毛が生えているものなど、一口にほくろといっても形状はさまざまです。たいていの場合は良性で、放っておいても問題はありません。ただし、次のような場合には治療をした方が良いこともあります。

(1)ほくろが盛り上がっていて、入浴や洗顔の際にひっかかる。下着や衣類がこすれてはれたり、出血したりする。
(2)先天性母斑と呼ばれる生まれつきの巨大なほくろ。時に悪性化することがある。
(3)手や足の裏のほくろ。ほかの部位よりも悪性化しやすいといわれている。
(3)目立つ場所など、気になって仕方がない場合。
(4)急に大きくなる、形がいびつ、色にムラがある、出血するなど、悪性が疑われるほくろ。

これらのほくろがある場合は、放置せずに皮膚の専門医に相談しましょう。特に悪性のほくろ「悪性黒色腫(メラノーマ)」は、極めて悪性度の高い皮膚がんです。早期発見・早期治療が完治のための基本です。疑わしいほくろがあるなら、すぐに皮膚科か形成外科を訪ねてください。

どのように治療するのですか。

確実にほくろを取り除く唯一の方法は切除です。ほとんどの場合は短時間で済む局所麻酔の手術が可能です。しかし、手術後には傷跡が残りますので、傷跡に関して、事前に医師とよく相談し、納得してから行うことをお勧めします。 小さいほくろであれば、レーザー治療も可能です。しかし、レーザー治療の場合、ほくろを確実に取り除けるわけではありません。「レーザーなら簡単に取れる」というイメージを抱いている人がいますが、うすく目立たなくするための治療であり、1度で済まないこともあります。悪性が疑われるようなほくろの場合は、レーザーによる治療は勧められません。組織検査なども出来ないので、切除することが基本となります。

2008年3月5日水曜日

「口臭の原因と予防」について

ゲスト/庄内歯科医院 庄内 淳能 歯科医師

口臭について教えてください。

口の健康で気になるもののひとつに、「口臭」があります。口臭には生理的なものと病的なものの2種類があります。生理的なものは誰にでもあるもので、寝起きや空腹時、喫煙・飲酒によるもの、ニンニクなどの食べものによる臭気のことです。 病的口臭としては、内臓疾患からくるものもありますが、多くは虫歯、歯周病、口腔(こうくう)内の汚れによるものです。虫歯・歯周病はもちろん、蓄積した歯の汚れや歯石は、いくら自分でブラッシングをしても、簡単には取れません。歯科医へ行って、一度きちんとクリーニングをしてもらいましょう。虫歯・歯周病の治療や歯垢(こう)、歯石の除去、そして正しいブラッシングの指導を受けてください。


口臭予防は、どのようにすれば効果的ですか。

歯科医で一度クリーンになった口腔内の健康は、正しいブラッシングやオーラルケアで維持します。一番大切なのはブラッシングです。歯の面はよく磨けている人が多いのですが、歯と歯ぐきの間、歯周ポケットに汚れが残らないように時間をかけて丁寧にブラッシングしましょう。普通の歯ブラシだけではなく、歯間ブラシ、糸ようじ、デンタルフロスなどを使うのもお勧めです。ただし、使い方を間違えると歯ぐきを傷つけることになるので、歯科医に指導してもらいましょう。磨き残しの歯垢を色づけする染め剤も市販されているので、時々チェックしてみるといいでしょう。 病的口臭の原因のひとつである、舌につく汚れ「舌苔(ぜったい)」には、舌専用クリーナーや、舌苔防止のタブレットなどが市販されていますし、口臭予防のためのさまざまな洗口剤も出ています。しかし、根本的な原因解決にはなりませんから過信は禁物です。歯周病予防のための洗口剤は、歯科医で処方できるので、聞いてみるといいでしょう。 進学や就職など、春は新たな人間関係を築く大切な時期です。笑顔やはきはきしたしゃべり方は、初対面で好印象を与えるものですね。ぜひ歯科医で検診を受け「お口のリセット」をしましょう。4月からの新生活は、健康な口元で自信をもってスタートしてほしいと思います。

2008年2月27日水曜日

「メタボリック・シンドローム」について

ゲスト/大通り内科クリニック 小森 克俊 医師

メタボリック・シンドロームについて教えてください。

メタボリック・シンドロームがこのように注目を浴びるのは、生活習慣病と密接に関係しているからです。肥満、特に内臓に脂肪が蓄積し、さまざまな生活習慣病を引き起こしやすくなっている状態を指し、2005年春に日本内科学会など8つの学会が合同で定義と診断基準を発表しました。  肥満には、下腹部や腰のまわりなどに脂肪が蓄積する「皮下脂肪型肥満」と、内臓に脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」の2タイプがあります。「内臓脂肪型肥満」は外見からの判断が難しいですが、おヘソの部分が男性で85cm以上、女性で90cm以上、これに加えて、高脂血症、高血圧、糖尿病(予備軍を含む)のどれか2つ以上が当てはまれば、メタボリック・シンドロームと診断されます。 高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの程度が軽くても、複数の症状が重なると動脈硬化が早く進行します。動脈硬化は日本人の3大死因のうち、脳血管障害と心疾患をもたらす病因の一つ。メタボリック・シンドロームと診断されたら、動脈硬化となりうる危険が高いということです。

日常生活で、気をつけなければならない点は?

糖尿病の主な原因は、食生活の欧米化による動物性脂肪の取り過ぎや運動不足。健康維持には、糖質が60%程度、脂肪とタンパク質がそれぞれ20~25%程度の食事が理想的ですが、これは米や野菜、魚を中心とした一般的な和食の数値と同じです。昔からこのような食事を続けてきた日本人は、欧米人に比べて膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの量が少なく、元来糖尿病になりやすい体質を受け継いでいるといえます。体質にもよりますが、肥満、高血圧の人や、甘いもの、アルコール、高脂肪の食事を好む人は糖尿病予備軍の可能性があります。食事の内容をすぐに切り替えるのが難しければ、食べる量を減らし、適度な運動をするだけでも症状の改善が見込めます。  健康で長生きするには、まず自分が予備軍かどうかを知ることが大切。40歳になったら年に1度は専門医の検診を受けましょう。

2008年2月20日水曜日

「喫煙と禁煙」について

ゲスト/つちだ消化器循環器内科 土田 敏之 医師

タバコの害が注目されています。

禁煙エリアの設置や、公共空間での分煙の徹底など、近年はタバコの煙に対する認識が厳しいものになってきています。特に実際に喫煙する行為よりも、非喫煙者の受動喫煙の害が注目されています。 実際に、タバコには化合物が約4000種類も含まれ、その化合物には60種類の発がん物質が含まれています。喫煙時に直接口に入る「主流煙」と、タバコの先端から立ち上ぼる「副流煙」の二種類の煙がありますが、主流煙は600℃、副流煙は300℃で、副流煙は燃焼温度が低く、また吸い込まれないので十分な酸素が供給されないため、不完全燃焼になりやすいという特徴があります。さらに、副流煙はフィルターにかからないので、有害成分は副流煙の方が1.2~170倍も多いのです。 これら有害な煙を吸うと、 疫学上がんになる可能性のある臓器は、口腔(こうくう)、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)、食道、肺、すい臓、子宮頸(けい)部、腎臓、膀胱(ぼうこう)です。ただし、発がん物質の解毒能力には個人差があり、がん発症の有無、時期に違いがでます。

がん以外にも健康に悪影響がありますか。

狭心症や心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞、腹部大動脈瘤(りゅう)、慢性動脈閉塞(へいそく)症などの重篤な疾病のほか、虫歯、口臭、高コレステロール血症、骨粗しょう症の危険因子でもあります。 さらに、最近は睡眠時無呼吸症候群と喫煙の関係が注目されています。主な症状であるイビキが、喫煙者に多いことは以前からいわれており、喫煙による炎症が上気道の腫れ、狭窄(きょうさく)を引き起こすことや、睡眠時のニコチン不足により睡眠が不安定となることが原因といわれています。 風邪も喫煙者は治りづらいのですが、喫煙によってせきやばい菌をのどから排除する線毛が減り、のどが汚れたままの状態で、さらに気管支周囲の炎症や気道の破壊で粘膜の抵抗力を低下させます。 タバコを止めようとする意志があるならば、ニコチンガム(禁煙率約30%、薬局または病院で処方)、 ニコチンパッチ(禁煙率約70%、病院のみで処方)があります。また飲む禁煙薬が近々認可される予定ですので、病院で相談するといいでしょう。

2008年2月13日水曜日

「物忘れと認知症」について

ゲスト/西さっぽろ脳神経外科クリニック 笹森 孝道 医師

物忘れについて教えてください。

「物忘れが増えて心配」と外来を受診する人が増えています。脳ドックも、以前は脳卒中の予防が主な受診動機でしたが、認知症への恐れから受けるという方が増えています。今後ますます進む高齢化社会において、単に長生きするだけではなく、生活の質を維持したいと考える人が増えていると感じます。 「物忘れ」は誰でも経験があるものですが、問題となるのは「病的な物忘れ」です。「昨晩のおかず」が何だったか忘れてしまうことはあっても、食事したこと自体を忘れてしまうことは、普通の物忘れではまずありえません。認知症の場合、食事したこと自体を覚えていないのです。このような、「物忘れ」の質的変化が見られたら病気のサインと考えてください。病気が進行するにしたがって、判断力が低下し、次第に生活に支障を来すようになります。

治療、予防法を教えてください。

認知症を治す薬はありませんが、進行を遅らせる薬があるので、早い段階で認知症を発見し、投薬を開始することが重要です。外来では、まず問診をし、記憶や判断力のテスト、画像診断などを行います。一番重要なのは問診で、特に付き添いの家族からの情報が診断の決め手になることが多いのです。物忘れの回数が以前に比べて著しく増えている、物忘れの質が変化したなどという場合は、家族が異常を感じ取っていることがほとんどです。画像診断では認知症症状を起こすほかの病気を鑑別します。水頭症や硬膜下血腫などは認知症として放置されていることも多いのですが、これらは、手術による治療が可能です。アルツハイマー型認知症は脳の一部に委縮が起こるなど特徴的な所見があるので、軽い症状でも治療を開始する決め手になります。 認知症の予防策として、野菜や果物を積極的に取り、肉類より魚類を多く食べることが挙げられます。定期的な有酸素運動も有効です。生活習慣病の予防にもなりますから、ぜひ実践してください。加えて、体をよく動かし、他人とのコミュニケーションを持ち、心に適度な刺激を与えることも効果的です。

2008年2月6日水曜日

「顎(がく)関節症」について

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 歯科医師

顎関節症について教えてください。

口を開閉するたびに「カクカク」「シャリシャリ」と音がしたり、開閉時に下顎(あご)が左右にズレてガクガクする、口がスムーズに開かない、などといった症状を顎関節症といいます。痛みがある場合とない場合があります。20〜30代の女性に多く、小・中学生ではほとんどみられません。 顎関節症の原因は、実のところはっきりと分かっていません。いくつかの要因が重なって発症するものと考えられます。食いしばりや歯ぎしり、偏った咀嚼(そしゃく)などが原因として挙げられます。ストレスによって発症することもあり、受験期に発症し、受験が終わるとうそのように治ってしまうこともあります。 原因として、一番多いのは、やはり咬(か)み合わせです。治療した歯が、1本高い低いという程度でも咬み合わせに異常が生じ顎関節症を誘発することがあります。反対咬(こう)合、上顎前突、開咬、顎偏位症(下顎が左右とちらかに曲がっている)など、顎関節に負担がかかる人は、注意が必要です。

治療、予防について教えてください。

顎関節症の程度によりますが、治療としては、スプリントと呼ばれるマウスピース状のものを使うのが一般的です。歯の一部または全体を覆うもの、上顎用、下顎用などがあります。スプリントによって、顎関節や筋肉への負担を軽くして、歯ぎしりや食いしばりを緩和します。痛みのない咬み合わせを見つけ、その位置で安定させ、きれいな咬み合わせを作ります。 このような処置で改善できないほど重症の顎の異常の場合は、外科矯正が必要になることもあります。いずれにしても症状が軽い方が治療も早くできますので、顎関節に異常を感じたら、矯正歯科や口腔(こうくう)外科など専門医を受診してください。 日常生活の中では、片側でかむ癖や、ほおづえも顎関節症を誘発します。うつ伏せ寝、左右寝る向きの偏りも、顎関節に悪影響を与えます。また、子どもに顎関節症はみられませんが、咬み合わせや歯並びの異常は、将来原因となり得ます。早めの矯正治療で正しい咬み合わせ、歯列にすることによって、潜在的な要因を取り除くことができます。

2008年1月30日水曜日

「ストレスに対処する方法」について

ゲスト/五稜会病院 千丈 雅徳 医師

ストレスについて教えてください。

精神的に負荷がかかることを「ストレス」といいます。ストレスの原因は環境や人間関係、経済的、物理的なものまでいろいろあります。ストレスが蓄積すると、イライラや無気力、食欲不振、不眠、うつなどの精神的な症状、高血圧、胃潰瘍(かいよう)など身体的な症状が現れます。
しかし、ストレスがまったく無く、平穏で退屈な生活は、挑戦する意欲や困難を乗り越える喜びをあまり感じることができません。人間は適度なストレスと向き合うことで、張り合いや生きがいをもって毎日を過ごしやすくなります。大切なのはストレスといかに上手に付き合うかということです。

ストレスの対処方法を教えてください。

ストレス発散に効果的なのは、「Rest(休養)」「Recreation(気分転換)」「Relax(くつろぎ)」の3つのRです。心身に症状が出る前に3つのRを実践して、心と体の健康を守りましょう。自らできるストレスへの対処方法としては、「非現実的な目標を持たない」「できないことはできないという勇気を持つ」「ストレスの原因と思えることを書き出してみる」「自分の弱さを認める」「悩みを分かち合う」「人に依存せず、心の中で自立する」といったことが挙げられます。
しかし、自身では対処できないと感じたら、すぐに専門機関を訪ねてください。ストレスによる心身の不調で受診した場合、安定剤などの投薬治療のほかに、悩みを分かち合うカウンセリング、対人交流のスキルアップを目指しての認知行動療法などを行います。認知行動療法では、どういうときにどういった心理状態になるかを自身で認識するため、日記をつけるなどして、感情のコントロールを身に付けます。
また、全国的な傾向として30~50代の男性で、ストレスからうつになる患者が多くなっています。その背景には失業、リストラなど仕事や経済的な不安、将来への不安があります。失職あるいは休職している場合は、パソコン操作などスキルアップをサポートしつつ、同じ悩みを抱える者同士で話し合うなどの復職プログラムを行っています。エアロビクスやウオーキングなどの運動療法も心身の健康を取り戻すのに効果的です。このようなプログラムを実践している病院は、全国的に増加傾向にあります。回復のために、医師や専門スタッフなどのアドバイスやサポートを上手に利用することで、ストレスに対処する能力を身に付けることができます。

2008年1月23日水曜日

「前立腺がん」について

スト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

前立腺がんについて教えてください。

前立腺がんは欧米に多い病気とされてきましたが、最近では食生活が欧米化したことと高齢化社会になったことから、日本でも急激に増加しています。アメリカでは男性のかかるがんで一番多く、6人に1人が前立腺がんになっているといわれています。この病気を撲滅するために、国をあげて取り組んだ結果、アメリカでの前立腺がんによる死亡は3分の1減少しました。このようにアメリカで前立腺がんの死亡率が大きく減少した理由のひとつに、PSA(前立腺特異抗原)という血液検査により早期がんを発見し、早期治療が行われたことが挙げられます。同様にオーストリアのチロル地方では住民検診にPSA検査を取り入れ、死亡率が大きく減少しました。
特に最近はPSA検査での正常値を従来の4.0から2.5に下げて、より早期にがんを発見し、早期治療を行おうという報告があります。今まで正常とされてきた2.5から4.0の間でも25%の人にがんが検出されます。その中で従来の正常値とされていた4.0の人に、かなりがんの進行が見られる例が30%以上存在しました。

治療法について教えてください。

治療は手術、放射線、薬、経過観察と多岐にわたっています。診断と治療が確立して死亡率が下がることは朗報ですが、日ごろから前立腺がんにならないように予防することも大切な要素です。前立腺がんを予防するためには、脂肪を控え、大豆、トマト、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や緑茶を多く取ることがよいとされています。このような食生活を送っている地域では、実際に前立腺がんの発生は少ないのです。
しかし現在の日本の食生活では、今後前立腺がんの増加は明らかです。40歳を過ぎたら、1年に1度はPSA検査を受けましょう。特に身内で前立腺がんになった人がいる方は要注意です。早期発見、早期治療を行えば、前立腺がんは恐い病気ではありません。専門医を受診し、積極的に検査を受けることをお勧めします。

2008年1月16日水曜日

「冬の乾燥肌ケア」について

ゲスト/たけだ皮膚科スキンケアクリニック 武田 修 医師

乾燥肌について教えてください。

冬になると肌が乾燥してかゆくなったり、粉をふいたような状態になることがあります。夏よりも皮膚表面に水分が少ないためで、さらに、寒いからと長湯をしたり、ヒーターや床暖房、ストーブなどに直接当たることによって、皮膚の乾燥を招きます。また、入浴時にアカすりタオルなどでこすると、皮脂膜を傷つけることになります。こすってとれるのは、アカではなく肌を外界から守る働きのある角質層で、これをこすりとることによって皮脂欠乏状態となり、皮膚表面が地割れ様になり、汗や衣類の繊維が刺激となって「かゆみ」が生じます。乾燥が気になる人は、手のひらに石けんを泡立て、体をなでる程度で十分きれいになります。風呂上がりは、軽く汗をぬぐって、化粧水などを使うと水分を保つことができます。
また、冬は家事による手荒れがひどくなると訴える人も多いのですが、油汚れの食器と同様で、温かい湯に触れるだけで皮脂がはがれ落ちてしまいます。湯を使うより水を使うほうが手は荒れません。荒れ方がひどい場合は、ハンドクリームをつけて綿の手袋をした上からゴム手袋をするといいでしょう。

加齢とともに、顔の乾燥も気になります。

顔の皮脂も年をとるごとに分泌量が部分的に減少し、乾燥した状態になります。特に冬は乾燥しやすく、スキンケアを手厚く行う人も多いでしょう。ここで注意が必要なのは、乳液やクリームなど保湿性をうたい文句にした油分の強い化粧品を使うことです。水分が不足している肌に油分で皮膚表面にフタをしてしまうことで、毛穴が詰まって皮膚炎を引き起こし、小ジワやシミの原因となることがあります。
適切な処置としては化粧水などで十分に水分を補充し、その上で乾燥しやすい目元、口元を中心に乳液やクリームで、少しだけ油分をプラスするといいでしょう。日中は、スプレータイプの化粧水で水分を何度も補給すると効果的です。
最近は肌が敏感で化粧品選びに困っている人も多くなっています。医師の管理下で使うドクターズコスメもいろいろ出ていますから、気になる人は、「お肌の専門家」の皮膚科で相談してみるといいでしょう。

「冬の乾燥肌ケア」について

ゲスト/たけだ皮膚科スキンケアクリニック 武田 修 医師

乾燥肌について教えてください。

冬になると肌が乾燥してかゆくなったり、粉をふいたような状態になることがあります。夏よりも皮膚表面に水分が少ないためで、さらに、寒いからと長湯をしたり、ヒーターや床暖房、ストーブなどに直接当たることによって、皮膚の乾燥を招きます。また、入浴時にアカすりタオルなどでこすると、皮脂膜を傷つけることになります。こすってとれるのは、アカではなく肌を外界から守る働きのある角質層で、これをこすりとることによって皮脂欠乏状態となり、皮膚表面が地割れ様になり、汗や衣類の繊維が刺激となって「かゆみ」が生じます。乾燥が気になる人は、手のひらに石けんを泡立て、体をなでる程度で十分きれいになります。風呂上がりは、軽く汗をぬぐって、化粧水などを使うと水分を保つことができます。
また、冬は家事による手荒れがひどくなると訴える人も多いのですが、油汚れの食器と同様で、温かい湯に触れるだけで皮脂がはがれ落ちてしまいます。湯を使うより水を使うほうが手は荒れません。荒れ方がひどい場合は、ハンドクリームをつけて綿の手袋をした上からゴム手袋をするといいでしょう。

加齢とともに、顔の乾燥も気になります。

顔の皮脂も年をとるごとに分泌量が部分的に減少し、乾燥した状態になります。特に冬は乾燥しやすく、スキンケアを手厚く行う人も多いでしょう。ここで注意が必要なのは、乳液やクリームなど保湿性をうたい文句にした油分の強い化粧品を使うことです。水分が不足している肌に油分で皮膚表面にフタをしてしまうことで、毛穴が詰まって皮膚炎を引き起こし、小ジワやシミの原因となることがあります。
適切な処置としては化粧水などで十分に水分を補充し、その上で乾燥しやすい目元、口元を中心に乳液やクリームで、少しだけ油分をプラスするといいでしょう。日中は、スプレータイプの化粧水で水分を何度も補給すると効果的です。
最近は肌が敏感で化粧品選びに困っている人も多くなっています。医師の管理下で使うドクターズコスメもいろいろ出ていますから、気になる人は、「お肌の専門家」の皮膚科で相談してみるといいでしょう。

2008年1月9日水曜日

「ペインクリニックの役割」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤 康之 医師

痛みの治療について教えてください。

「痛み」は、原因、種類、経過が多様で、本人のみの体験であり、感受性にも個体差がある、ごく主観的なものです。だからこそ、心理状態の影響が大きいことも事実で、痛み自体が大きなストレスとなりさらに症状を悪化させることがあります。食欲や睡眠にも影響を与えます。また、古来「痛いくらいは我慢しなければ」と言われることも多く、鎮痛剤の服用が唯一の痛みの治療という考えもありました。しかし、効果が十分ではなかったり、量を増やして副作用を招くこともあり、痛みそのものを治療するという認識はなかなか得られませんでした。
痛みを発生するメカニズムは複雑で、十分に解明されていない部分もあります。アメリカでは各科と協力して「痛みがあれば緩和する医療」=ペインクリニックの存在が一般的です。日本でも1962年に東大に設置されて以来、痛みの治療は急速に進歩しました。しかし、患者の需要を満たすには程遠く、遠方からはるばる都心まで治療に通う人も多いのが実情です。

ペインクリニックの役割について教えてください。

ペインクリニックは「痛み」を伴う疾患(しっかん)の診断、治療を行うことが目的です。頭痛、片頭痛、顔面痛、顔面神経まひ、三叉(さんさ)神経痛、肩・腰・関節の痛み、ギックリ腰、帯状疱疹(ヘルペス)、坐骨(ざこつ)神経痛、がんによる痛み、心因性の痛みなど、痛み、しびれのある症状なら、すべて治療の対象になります。
具体的には、注射で局所麻酔薬などを神経周辺に入れ、痛みを遮断する神経ブロック療法が中心です。一度で痛みが取れる場合もあるし、何度か通ってもらうこともあります。治療を行うにあたっては、内科、神経内科、整形外科などの診療科と協力して行います。神経という繊細な部分を扱うため、高い技術や豊富な経験も必要となります。症状によっては、抗不安薬、抗うつ薬、漢方薬などを併用します。痛みは心身に大きなダメージを与えます。体と心の両方を診ることが、ペインクリニックの役割です。