2007年12月26日水曜日

「リンゴ型肥満と動脈硬化」について

ゲスト/青木内科クリニック 青木 伸 医師

リンゴ型肥満について教えてください。

日本人は欧米人に比べ極端な肥満の人は少ないですが、いわゆる小太り程度の人が多いようです。肥満には2種類あり、一つは女性に多く見られる、皮下脂肪が増える下半身肥満で「洋ナシ型」肥満と呼ばれます。このタイプの肥満は、病気とあまり関係ありません。もう一つが男性に多くみられる、内臓に脂肪が増える「リンゴ型」肥満です。リンゴ型肥満は病気の発症と深い関係があります。このタイプの肥満かどうかは、おへその高さでウエスト周囲を測れば分かります。男性は85cm以上、女性は90cm以上あれば、リンゴ型肥満の疑いがあります。リンゴ型肥満の人が、高血糖、高血圧、高脂血症を重複して伴っていると、健康な人に比べて動脈硬化性疾患(しっかん)の発症リスクが約30倍になるという報告もあります。この病状はメタボリック・シンドロームとして、医学界をはじめ各方面から注目されています。

動脈硬化症の予防方法について教えてください。

がんを除く日本人の死因の多くを占めているのが、脳血管疾患と心疾患です。その大きな原因となるのが動脈硬化症です。動脈硬化症になるハイリスク因子として、肥満が挙げられます。  動脈硬化症の予防として、まず心掛けるのが肥満の解消です。特にリンゴ型肥満の場合はやせることが重要です。リンゴ型肥満は、洋ナシ型肥満に比べ、食事と運動によって、やせる効果が出やすいのが特徴です。食事は野菜、魚を中心に、薄味にします。一駅分歩くなど、日常的に体を動かすように努めることも大切です。肥満に合併しやすい高血糖、高血圧、高脂血症も、減量によって改善しやすくなります。これらの病気には薬物治療が必要なこともありますので、まずは専門医に相談しましょう。  コントロールがうまくいっているかどうかは、基準値があるので参考にするとよいでしょう。過去1~2カ月間の平均血糖値を表すHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)の正常値は5.8%以下ですが、糖尿病がある場合は、HbA1cが6.5%以下、血圧は130/80mmHg以下、総コレステロールは200mg/dl以下、中性脂肪は150mg/dl以下にしておくと動脈硬化の予防になります。

2007年12月19日水曜日

「原発閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障」について

ゲスト/札幌エルプラザ阿部眼科 阿部 法夫 医師

原発閉塞隅角緑内障について教えてください。

眼内で、角膜と水晶体の間を循環する房水は虹彩(茶目の部分)の前後で前房、後房に分かれます。加齢によって水晶体の硬化、肥厚が起こり、後房から前房への房水の流れが悪くなり、後房の圧が高まります。この圧力差が周辺部虹彩を房水の排出口のある隅角へ押し付け閉塞し、閉塞隅角を起こさせます。さらに高い眼圧が視神経の乳頭部を圧迫して視神経が委縮したり血流障害を起こし視野障害に至ります。隅角が不完全にふさがれると原発閉塞隅角緑内障の慢性型、隅角が完全にふさがると急性型となります。
緑内障は、視覚系の身体障害者手帳発行者数の第1位になっています。その中でも有病率0.6%、緑内障全体で10%を占めるのが原発閉塞隅角緑内障(以前は狭隅角緑内障とも呼ばれた)です。発症頻度は低いのですが、女性に比較的多い急性の失明眼疾患として昔から恐れられてきました。

症状、診断、治療方法について教えてください。

原発閉塞隅角緑内障は無症状の場合が多いのですが、眼のかすみ、充血や痛み、頭重感などを繰り返している人もいます。急性型発作時の自覚症状としては、視力低下、霧視、虹視症、眼痛、頭痛、悪心、嘔吐(おうと)などです。患者さんが、脳神経や胃腸の病変を疑い内科や脳神経外科を受診することがあり、これが眼科受診を遅らせることもあります。できる限り早期に治療を開始することが肝心です。
 発症は女性に多く、比較的視力のよい遠視の人が罹患(りかん)しやすいようです。また、暗所に長く居て急に瞳が開くと発作が起こりやすくなります。読書やうつ向きの作業、多量の飲水、透析後、睡眠や手術など長時間のうつぶせ姿勢後も、発作に注意が必要です。眼科検査薬である散瞳薬の点眼や、鎮痛剤、睡眠薬の中の狭隅角緑内障禁忌薬の記載があるものの使用後も、注意を払いましょう。ただし、薬だけで発作を起こした例はごくまれです。薬剤師や医師のアドバイスを受けてください。
 治療としては発作を予防するような点眼薬、レーザー、手術があります。隅角が閉塞か開放かは、一般の眼底カメラや、眼圧検査ではまったく検出できず、眼科専門医での精密検査が必要となります。

2007年12月12日水曜日

「夜間の高血圧」について

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口 健一 医師

夜間の高血圧について教えてください。

 通常、血圧は早朝が一番低く、日中に上がり、夜下がるというのが一般的なパターンですが、夜間に持続的に血圧が高くなる人がいます。以前は、受診の折に血圧を計ることしかできなかったので、その時点で正常であれば、高血圧と診断されることはありませんでしたが、最近は、家庭用血圧計の普及や、24時間血圧計による計測が広まったことによって、一日の血圧の変化に人による特徴があることも分かってきました。
 病院で血圧を測ると、医師を前にして緊張状態になるため、血圧が高めになることを「白衣高血圧」、ストレスにより職場で血圧が高くなることを「職場高血圧」、昼間の血圧には問題がないのに、早朝に高くなる場合は「早朝高血圧」と呼びます。同様に、夜間のみ血圧が高い「夜間高血圧」も、検診や病院では見つけづらい「仮面高血圧」の一種です。

夜間の高血圧の場合の対処方法を教えてください。

 夜間高血圧を発見するには、24時間の血圧測定が一番確実です。毎日の血圧測定は、通常朝食前にのみ計るところを、朝晩の2回、薬を処方されている場合は投薬後の3回計るようにします。夕食後から就寝前の間に血圧を測定して、上(収縮期)が130以上、または下(拡張期)が85以上であれば夜間の高血圧が疑われます。肩こり、頭痛、頭重、動悸(どうき)、息切れ、耳鳴り、めまいなど高血圧に伴う症状があれば、すぐに計ってください。脈拍数も記録しておくと役立ちます。数値をメモして、翌日受診してほしいと思います。
 投薬が必要になった場合は、夜間の高血圧に対応した薬を処方し、飲み方を指導します。夜間高血圧は、夜間にずっと心臓や血管に負担がかかるため危険度も高く、脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞など命にかかわる重病の原因となる可能性も高いです。早期に発見し、注意深く観察し、必要であれば治療を開始することが肝心です。
 高血圧であると診断されたら、生活習慣を見直しましょう。適度な運動と規則正しい生活、塩分を控え、食べすぎ、飲みすぎを避けます。リラックスすることも大切で、寝る前にぬるめのお風呂にゆっくり浸ると血圧が安定します。

2007年12月5日水曜日

「不正性器出血」について

ゲスト/アップルレディースクリニック 敦賀 律子 医師

不正性器出血について教えてください。

 不正性器出血と言っても原因はさまざまです。腫瘍(しゅよう)などが原因の器質性のもの、ホルモンバランスなどが原因の機能性のもの、そして妊娠性のものがあります。器質性のものとしては、子宮頸(けい)管ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどがあります。  子宮頸管ポリープは子宮の入り口にあたる子宮頸部にできる良性腫瘍で、まれに悪性の細胞を含むことがあるので摘出して確認する必要があります。子宮筋腫、子宮内膜ポリープは超音波検査で診断します。子宮筋腫の場合、子宮の内側にできる粘膜下筋腫は小さくても出血の原因となり、貧血、大出血につながることもあるので手術を勧めます。子宮頸がんは子宮頸部にできる悪性腫瘍です。近年若い女性の子宮頸がんが増えており、市町村の検診対象年齢が2004年から20歳以上に引き下げられました。不正性器出血がある場合最も重要な検査です。子宮体がんは特に閉経後の出血があったときには検査の必要があります。一般に「子宮がん検診」といった場合、子宮頸部細胞診のみのことが多いので注意が必要です。

機能性の出血について教えてください。

 機能性のものとしては、生理と生理の中間にあたる排卵期に起こる排卵期出血、黄体期(生理前の約10日間)の黄体機能不全による出血、更年期に起こる月経前後の長く続く出血などがあり、出血の時期に特徴があります。基礎体温表をつけていると診断の参考になるので受診の際には持参してください。自然経過観察することが多いですが、出血の程度によってはホルモン剤や止血剤を投与します。また、機能性出血と考えられる場合でも悪性の器質性疾患(しっかん)がないことを確認することが大切です。  妊娠のごく初期に出血が見られることがあります。この場合、正常妊娠の着床時出血のこともありますが、流産、胞状奇胎、子宮外妊娠などの異常妊娠の可能性もありますので注意が必要です。どの疾患かは婦人科を受診して検査してみないと分かりませんから、自己判断せずに早めに受診することをお勧めします。