2007年11月21日水曜日

「大腸がんとメタボリックシンドローム」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 医師

大腸がんの原因について教えてください。

 大腸がん罹患(りかん)者は、ここ数年急激に日本で増加しており、2005年度の統計ではがん死亡数の男性4位、女性1位になっています。食生活などの環境因子の影響が大きな病気で、日本人における大腸がん増加の原因は、生活習慣の欧米化が関与していると考えられています。  最近の多くの研究により、大腸がんの危険因子として肥満が関与していることが分かってきました。肥満には、皮下脂肪型の肥満と内臓脂肪型の肥満がありますが、大腸がんの危険因子となる影響が大きいのは、内臓脂肪型肥満です。肥満に加え、高血糖、高血圧、高脂血症を重複して発症するメタボリックシンドロームが大腸がんの発症に関係していると考えられるようになってきました。発がんのメカニズムとして、メタボリックシンドロームの病態の基盤にもなっている「インスリン抵抗性」という状態が主な要因としてあげられます。

インスリン抵抗性について教えてください。

 インスリンの作用は血糖値を下げるだけではなく、脂質やタンパク質の代謝、細胞の増殖など全身の臓器でさまざまな作用を発揮しています。このインスリンの作用が弱まった状態が「インスリン抵抗性」です。運動不足や肥満によりインスリン抵抗性が引き起こされ、その分過剰なインスリンが血液中に増えます。過剰なインスリンはインスリン以外の細胞増殖因子も増やし、これによって細胞が死なないで増え続ける状態を引き起こし、腫瘍(しゅよう)の発生につながるといわれています。  大腸がん予防法として「身体活動」が一番予防効果が高いということが分かりました。「身体活動」とは、生活の中で体を動かすことの総称で、スポーツだけでなく、家事や労働といった日常生活のなかでの活動すべてが含まれています。身体活動によって肥満を予防・改善し、さらにインスリン抵抗性も改善していくことが、大腸がんにおける予防効果をもたらします。 40歳以上で肥満をはじめ、メタボリックシンドロームが気になる人は、積極的に大腸がん検診を受けることを お勧めします。