2007年10月24日水曜日

「糖尿病」について

ゲスト/やまうち内科クリニック 山内 雅夫 医師

糖尿病には2つのタイプがあるそうですね。

 飽食の時代といえる現在、日本では糖尿病患者が急増し、国民の1割以上が糖尿病もしくはその予備軍といわれています。  糖尿病は高血糖が続く代謝疾患で、1型糖尿病と2型糖尿病に分類されます。すい臓のβ細胞から血糖を下げるインスリンというホルモンが分泌されていますが、1型糖尿病はこのすい臓β細胞が破壊されてインスリンの絶対的欠乏が生じる重篤なもので、急激な体重の減少が見られます。インスリンを補う必要がありますが、インスリンには飲み薬がなく、注射で投与しなければなりません。  2型糖尿病は、インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の増大によるもので、過食、肥満、運動不足などの不適切な生活習慣と遺伝的要因が関係しています。糖尿病の90%以上がこのタイプで、食事、運動療法が基本の治療法となりますが、それだけで不十分な場合には、経口の血糖降下薬も使われます。経口血糖降下剤(内服薬)には、最近多くの新しい薬剤が登場し、治療薬の選択肢が広がりました。作用のしくみが異なる、複数の薬を使用することも行われています。

糖尿病の症状について教えてください。

 尿量の増加とのどの乾き、多飲がまず挙げられます。また抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなることもあります。さらに糖尿病が進行すると体重は減少し、最終的には糖尿病性昏睡(こんすい)という意識障害が出現し、死に至ることもあります。 
 しかし、より注意すべきことは、動脈硬化性疾患(狭心症、心筋梗塞=こうそく=、脳血管障害など)や糖尿病性細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)などの合併症です。動脈硬化性疾患は、糖尿病に高血圧、高脂血症、喫煙、肥満などが加わると、きわめて高率で発症します。糖尿病性網膜症は、中途失明の原因の第1位、糖尿病性腎症も人工透析が必要となる原因のなかで最も多い疾患です。糖尿病性神経障害は、手足のしびれ感、神経痛、性機能低下などさまざまな症状があり、頻度の高い合併症です。動脈硬化性疾患や糖尿病性細小血管合併症は、死に結びつくことも少なくなく、これらの予防が糖尿病治療の最大の目的とされています。

2007年10月17日水曜日

「男女の排尿障害」について

ゲスト/元町泌尿器科 西村昌宏 先生

女性の排尿障害について教えてください。

 女性の排尿障害を伴う疾患としては、まず急性膀胱(ぼうこう)炎が挙げられます。突然、排尿痛を伴う頻尿、残尿感に襲われ、排尿後の不快感があったり、尿に血液が混じることもあります。原因は菌による感染で、性活動が活発な20歳代の女性、閉経後に女性ホルモンによる自浄作用が後退した50歳代以降の女性に多くみられます。下半身の冷えや長時間トイレを我慢することによって発症することもあります。抗生物質を服用すると3、4日で症状が改善しますので、最初にきちんと治療することが重要です。
 ほかに女性の排尿障害としては、尿失禁が挙げられます。50歳代以上の女性に多く、くしゃみや重い物を持ち上げたときなど腹圧がかかった状態で漏らしてしまいます。加齢や多産、肥満などが原因で、軽症の場合は尿失禁体操で骨盤低筋群を鍛えると効果があり、また内服治療でも軽快します。重症の場合は手術を行うこともあります。

男性の排尿障害について教えてください。

 男性に多くみられるのは尿道炎、前立腺炎です。尿道内に細菌が入り、尿道や前立腺が炎症を起こす疾患で、排尿痛、頻尿、残尿感、発熱などの症状があります。大腸菌、クラミジア、マイコプラズマなどによる感染が原因で、抗生物質投与などの治療を行います。慢性化すると治りづらくなるので適切な治療を受けてください。
 中高年男性では、夜間の頻尿、尿に勢いが無い、残尿感があるなどの排尿に悩む人が多くなります。これは、加齢によって前立腺が肥大し、尿道を圧迫するため尿の出が悪くなる前立腺肥大による症状です。肥大症は通常50歳代になって現れる病気で、60歳以上ではかなりの確率で肥大症になります。投薬や手術による前立腺の切除など、症状の進行具合に適した治療を早期にすることが大切です。前立腺ガンは肥大症の症状に酷似しているので、見逃さないためにも50歳を過ぎたら年に1回は定期検診を受けましょう。簡単な血液検査でかなりの確率で診断できますから、積極的に検査を受けてください。早期に発見・治療することが大切です。

2007年10月10日水曜日

「百日咳(せき)」について

ゲスト/白石内科クリニック 干野 英明 医師

百日咳について教えてください。

 百日咳は、百日咳菌という細菌に感染することによって、主に気管支が侵される急性の呼吸器感染症です。子どもの病気といった印象がありますが、最近は大人にも発症しています。
 罹患(りかん)すると、のどや鼻からの分泌物が咳によって飛び散り、それを吸い込むなどして感染が広がります。感染後は7~10日間の潜伏期を経て発症します。第1期(カタル期)は、咳、鼻水、微熱など風邪と同様の症状が出ます。この時期に受診しても百日咳と診断するのは難しいでしょう。咳が次第に強くなり、1~2週間で第2期(痙咳期)に入り、百日咳特有の発作が出ます。短い咳が断続的に起こり、息を吸う時にヒューという高い音が出ます。この咳は菌による毒素によって引き起こされるもので、3週間前後続きます。第3期(回復期)は、咳は出ても発作がなくなり、2~3週間で落ち着きますが、咳の発作がしばらく残ることもあります。全経過は2~3カ月に及びます。成人の場合は典型的な咳の発作が起きず、咳の持続だけで回復することが多いので、診断が難しくなります。ワクチン未接種の新生児・乳児に対する感染源として注意が必要です。

診断、治療について教えてください。

 百日咳の診断は血液中の抗体価を測定したり、綿棒で咽頭(いんとう)をぬぐって培養をして菌を調べる方法などがありますが、結果が出るまで数日かかります。実際の診断では、特徴のある症状を見極めるか、同居している家族や学校、職場で百日咳にかかった人がいないかを確認します。
 治療としては、エリスロマイシンやクラリスロマイシンといったマクロライド系の抗生物質が使われます。早期に投与すると特に効果的で、10~14日間服用します。
 百日咳の予防としてはワクチンがあり、破傷風、ジフテリアと一緒に三種混合ワクチンとして、生後3カ月から接種できます。しかし、ワクチンの効果には個人差があり、大人になると低下することもあります。周囲の人への感染を防ぎ、咳を早く治すためにも、咳がしつこく続く場合は、早めに医療機関を受診されることをお勧めします。

2007年10月3日水曜日

「子どもの中耳炎」について

ゲスト/かしわむら耳鼻咽喉科 柏村 正明 医師

子どもの中耳炎について教えてください。

 中耳炎には、急性中耳炎と滲出(しんしゅつ)性中耳炎の2種類があります。乳幼児から小学校低学年くらいまでの子どもが、風邪をひいたときにかかりやすいのが急性中耳炎で、細菌が鼻から耳管を通って、中耳に入ることによって発症します。膿(うみ)が中耳にたまった状態になり、痛みや発熱の原因になります。鼓膜が破れて膿が自然に出てくることもあります。治療は基本的に鎮痛剤、必要に応じて抗生物質の内服、あるいは点耳薬を使用します。発熱や痛みが強い場合は、鼓膜切開で膿を出すこともあります。
 多くは1週間程度の治療で治りますが、お子さんによっては一度治った後に何度も繰り返し発症することもあります。また、最近では抗生物質の効かない耐性菌による、治りにくい中耳炎も増えてきました。抗生物質の使用は、適切な処方で必要かつ最小限にとどめておくのが良いでしょう。ただし、自己判断で抗生物質を途中でやめてしまうと細菌が死滅せず、さらに強くなって耐性化してしまうので、処方された用法・用量はきちんと守るようにしてください。

滲出性中耳炎について教えてください。

 滲出性中耳炎は、中耳に水がたまった状態の中耳炎です。この水はプールやお風呂など外部から入ったものではありません。急性中耳炎後に、炎症でたまった水が残っている、中耳の気圧が低くなり中耳の壁から水がにじみ出ている、という2つの原因が考えられます。通常、中耳は鼻を経由して入った空気で満たされ鼓膜がピンと張ることによって音を伝えます。中耳に水がたまると鼓膜に振動が伝わりにくくなり、聞こえづらくなります。子どもが風邪をひいた後に聞き返すことが多くなったり、テレビの音量を上げたりするようなら、滲出性中耳炎を発症している可能性があります。治療としては、内服薬と鼻の管理が重要で、治りが悪いときには鼓膜切開を行うことがあります。何度も水がたまるようなら、鼓膜に小さなチューブを留置して治療するお子さんもいらっしゃいます。
 いずれの中耳炎も、最後まで治療しないと成人になっても難聴など、さまざまな症状に悩まされる可能性があります。なるべく風邪をひかない、鼻づまりがあったらすぐ耳鼻咽喉科へ行くことが中耳炎予防には大切です。