2007年9月12日水曜日

「アルコール依存症の予防」について

ゲスト/札幌太田病院 太田 健介 医師

アルコール依存症について教えてください。

 日本のアルコール依存症人口は250万人ともいわれています。 中高年の男性に多い印象がありますが、若年者や女性の患者も増加しており、飲酒する人の一割程度が依存症になるといわれています。ビール、ワイン、日本酒などさまざまな種類のお酒がありますが、すべて「エチルアルコール」という依存性の強い薬物が入っており、誰でも気づかないうちに依存症になってしまう可能性があります。
アルコール依存症になると、飲酒を原因とする多種の合併症が生じます。
 合併症として高血圧、胃潰瘍(かいよう)、アルコール性肝障害、肝硬変、アルコール性慢性すい炎、食道がん、大腸がん、末梢(まっしょう)神経炎、アルコール性大脳萎縮(いしゅく)、認知症などが多く、健康に大きな影響を及ぼします。さらにアルコール依存症の死因として一番多いのは急性心不全という調査結果があり、「急死(大酒家突然死症候群)」がよく見られます。健康面だけでなく、社会的信用を失ったり、生活が乱れる原因ともなり、適切な治療をして断酒しない限り回復は難しく、徐々に悪化するのがアルコール依存症です。飲酒のコントロールが出来ない病気ですので、「1日1杯だけ」、「土日だけ飲む」ことは不可能で、きっぱり止めるしかありません。

依存症の診断と予防法について教えてください。

 アルコールに依存するのと、依存症は違います。晩酌をする、会食は必ずお酒のある場所で、というだけでは依存はしていますが、依存症とはいえません。依存症の診断基準として、病的飲酒欲求、離脱症状、飲酒のコントロール障害、価値観の逆転があります。インターネットなどでも公開されているので、お酒を飲む習慣のある人は一度ご覧になることをお勧めします。習慣的な飲酒は依存症ではありませんが、進行する可能性があります。最近多いのは、もともとお酒好きな方が定年後に飲酒パターンがくずれて依存症に移行する場合です。
 依存症の一番の予防は病気について正しく知ることです。また、依存症の危険がありそうであればお酒を止めるのが安全です。早期に専門医を受診、または相談してください。依存症もほかの病と同じように、軽いうちに治療を始めれば、治りやすいのです。治療で大切なのは、病気だと認識し、正しい知識を得て、有効な止め方を知ることです。