2007年8月8日水曜日

「ロタウイルス感染症」について

ゲスト/はしもとクリニック 橋本 昌樹 医師

ロタウイルスについて教えてください。

 ロタウイルスに感染すると医学的には「胃腸炎」と呼ばれる疾病になり、下痢、嘔吐(おうと)などの症状が現れます。通常、大人が感染しても症状が出ないか、ごく軽くすむ場合が多いのですが、闘病中など免疫力の低い状態の人や、高齢者などでは症状が重くなる場合があります。
最も問題となるのは子どもが感染した場合です。冬場に流行することが多いので、「冬期乳幼児下痢症」と言われたり、真っ白い便になるので、「白色便下痢症」と呼ばれたりします。
 症状が軽い場合は、水分を十分に取らせることで、病院へ行かずに回復することもありますが、下痢と嘔吐によって重度の脱水症状が起きることもあります。その場合は、医師の診察や入院が必要となります。ロタウイルスの大きな特徴として、感染力の強さが挙げられます。ウイルスが付いたものに触れることで、口から感染します。日本を含め、先進国では、ロタウイルス感染によって死に至ることはほとんどありませんが、途上国では毎年60万人もの子どもの命が奪われています。日本では小学校に上がるまでに二人に一人がロタウイルスで受診し、15~40人に一人が入院しているという報告もあります。

子どもが感染した場合は、どのような治療法がありますか。

 今のところ、ロタウイルスに有効な抗ウイルス薬はありませんので、治療は対症療法になります。吐き気止めの座薬や整腸剤を使いますが、下痢止めは使用しません。無理に下痢を止めるとウイルスが排せつされず、かえって病気が長引く可能性があるからです。脱水症状が強い場合は、点滴によって水分や塩分を補給します。手洗いをよく行い、赤ちゃんの場合は早めにおむつを交換した方が良いでしょう。
 ほかに、ワクチンによる予防治療があります。現在2種類の新しいワクチンが世界の多くの国で使われており、一部の国では定期予防接種に組み込まれています。日本でもワクチンの接種ができるように開発が進んでいる状況です。近い将来、ワクチンによる予防の実現が期待されています。