2007年8月22日水曜日

「健康と笑顔」について

ゲスト/石丸歯科 石丸 俊春 歯科医師

「笑顔」は健康と深いつながりがあるといいますが。

笑顔には人と親しくなる「親和作用」があります。他人とのコミュニケーションにおいて、言葉による表現と同様に笑顔などの表情や、身振りなどの表現は、非常に重要です。また、アンチエイジング、自己免疫の促進など、笑顔には健康に関連する具体的な効果もあります。
  しかし、残念なことに日本人は笑顔が苦手です。「笑う時は、手で口元を隠す」、「男はむやみに笑うものではない」など、日本の伝統的な文化、奥ゆかしさを美徳とする国民性が、笑顔を不得手にしています。1995年にある歯科医師によって実施された「スマイルアンケート調査」では、スマイルに自信のある人が、日本人=33.6%、韓国人=42.9%、アメリカ人=76.7%という結果になりました。  自信のない理由として「歯が白くない」「歯並びが悪い」「口元のゆがみ」「歯ぐきが目立つ」などが挙げられています。笑顔に自信がないと、結果として人とのコミュニケーションがうまく取れない、引きこもりがちになるなど、日常生活での問題が生じます。

国際化の進む社会で、笑顔の重要性が増していますね。

好感度の高い笑顔と口元の条件としては、 
(1)きれいな歯と歯並び
(2)バランスのとれた上下の唇
(3)後上方に引きあがった口角 
(4)目の表情 が重要です。

具体的には左右の口角が適度に上がり、上の前歯の4本と犬歯の一部が見えるが歯肉は見えない、ほおには適度の張りがあり、目は輝いている状態です。
  理想的な笑顔をイメージし、訓練することによって、好感度の高い笑顔を作ることができます。

(1)常に舌の先は上の前歯のやや後方約5mmの位置に接触しているように心掛ける。
(2)イー、ウーと、声を出して4つ数える、それぞれ5回を朝夕行い、口輪筋、頬筋(きょうきん)を鍛える。 
(3)両目、片目を4秒ずつつむり、しっかり目を開く、それぞれ5回を朝夕行い、眼輪筋を鍛錬する。
(4)快活な感情表現のできる生活環境作りに努める。

  鏡を見ながら自分の理想とする笑顔をイメージし、日常の中で笑顔を心掛けることが大切です。笑顔は健康な心の表現であると同時に、健康な心を作ります。

2007年8月15日水曜日

「高脂血症」について

ゲスト/秀愛会内科消化器科クリニック 高梨 良秀 医師

高脂血症について教えてください。

 高脂血症とは、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などを引き起こす生活習慣病の一つで、コレステロールや中性脂肪など、血液中の脂質が多い状態を指します。多すぎる脂質は血管壁にたまり血液の通り道を狭め、動脈硬化の原因になります。
 特別な自覚症状がないため、健康診断などで血液検査をしない限り発見されず、見過ごされがちですが、何もしないと動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの重大な合併症を招き、命に関わることもあるため、「サイレントキラー(静かな殺人者)」といわれます。
 主な原因は、脂肪分の多い食事、運動不足、過度の飲酒、ストレスなど、生活習慣に起因するものがほとんどです。特に働き盛りの男性に多くみられますが、閉経後の女性は善玉コレステロールを合成するなど高脂血症の抑制にプラスに働いていたエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少するため、注意が必要です。また、体質も関係があるので、家族に高脂血症による合併症になった人がいないかも、気に掛けたほうがいいでしょう。

治療法、予防法について教えてください。

 高脂血症は血液中のコレステロール値、中性脂肪値で判断します。総コレステロール220mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl以上の場合は、 医師に相談し、治療を始めましょう。
 まず、肝心なのは生活習慣の改善です。動物性脂肪や揚げ物などカロリーが高く脂肪分の多いものを避け、和食中心の食生活を心掛けます。並行して、運動をすると効果的です。散歩やラジオ体操、サイクリングなど、ライフスタイルに合った運動を見つけるといいでしょう。さらに、禁煙、アルコールを控える、ストレスをため込まないなど、健康的な生活を実践します。
 また、数値によっては投薬療法を行う場合もあります。きちんと薬を飲むことによって、コレステロール値はコントロールできますが、根本的な解決にはならないので、同時に生活習慣の改善を行うことが大切です。症状がないからといって、勝手な判断で薬をやめたり、受診をやめたりせず、しっかりと治療しましょう。

2007年8月8日水曜日

「ロタウイルス感染症」について

ゲスト/はしもとクリニック 橋本 昌樹 医師

ロタウイルスについて教えてください。

 ロタウイルスに感染すると医学的には「胃腸炎」と呼ばれる疾病になり、下痢、嘔吐(おうと)などの症状が現れます。通常、大人が感染しても症状が出ないか、ごく軽くすむ場合が多いのですが、闘病中など免疫力の低い状態の人や、高齢者などでは症状が重くなる場合があります。
最も問題となるのは子どもが感染した場合です。冬場に流行することが多いので、「冬期乳幼児下痢症」と言われたり、真っ白い便になるので、「白色便下痢症」と呼ばれたりします。
 症状が軽い場合は、水分を十分に取らせることで、病院へ行かずに回復することもありますが、下痢と嘔吐によって重度の脱水症状が起きることもあります。その場合は、医師の診察や入院が必要となります。ロタウイルスの大きな特徴として、感染力の強さが挙げられます。ウイルスが付いたものに触れることで、口から感染します。日本を含め、先進国では、ロタウイルス感染によって死に至ることはほとんどありませんが、途上国では毎年60万人もの子どもの命が奪われています。日本では小学校に上がるまでに二人に一人がロタウイルスで受診し、15~40人に一人が入院しているという報告もあります。

子どもが感染した場合は、どのような治療法がありますか。

 今のところ、ロタウイルスに有効な抗ウイルス薬はありませんので、治療は対症療法になります。吐き気止めの座薬や整腸剤を使いますが、下痢止めは使用しません。無理に下痢を止めるとウイルスが排せつされず、かえって病気が長引く可能性があるからです。脱水症状が強い場合は、点滴によって水分や塩分を補給します。手洗いをよく行い、赤ちゃんの場合は早めにおむつを交換した方が良いでしょう。
 ほかに、ワクチンによる予防治療があります。現在2種類の新しいワクチンが世界の多くの国で使われており、一部の国では定期予防接種に組み込まれています。日本でもワクチンの接種ができるように開発が進んでいる状況です。近い将来、ワクチンによる予防の実現が期待されています。

2007年8月1日水曜日

「COPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)」について

ゲスト/大道内科呼吸器科クリニック 大道光秀 医師

COPDについて教えてください。

 COPD(シー・オー・ピー・ディー)は、日本語で「慢性閉塞性肺疾患」と訳されます。その特徴は気道の空気の流れが慢性的に悪くなり、咳(せき)や痰(たん)、労作時の息切れが出てきて、最後は呼吸困難になる病気です。以前は肺気腫(しゅ)や慢性気管支炎として診断されていましたが、そのような病気になってしまう過程や終末像として、COPDという病名が普及してきました。また、COPDは全身病であり、動脈硬化や糖尿病などのように、肺の生活習慣病とも言えます。初期には咳(せき)や痰(たん)、坂道や急いだ時の息切れといったありふれた症状で、気付かないうちにゆっくりと病状が進行し、病院で受診した時にはかなり悪化しているというケースが多いのです。
 病変は肺胞と気道に起こります。肺胞を仕切る壁・肺胞壁が壊れ、肺胞壁の破壊とともに血管も壊れてしまい、ガス交換の効率が悪くなります。肺の弾性力が減るので、呼気の時に気管支を広げる力が減り、空気の流れが悪くなります。一方、気道では炎症を繰り返すことで過剰に粘液が分泌され、気管支の粘膜も厚くなり、気道を狭くし空気の流れを悪化させます。

COPDの患者が増えてきたのはなぜですか。

 主な原因は喫煙や大気汚染ですが、日本では石炭の燃焼などによる大気汚染が減っていますので、喫煙によるものがほとんどです。特に北海道は喫煙率が高く、中でも女性の喫煙者が多いため、女性患者が増加しています。男性よりも女性の方がタバコの害を受けやすいという側面も影響しています。
 COPD患者は中高年に多いため、階段の昇降などで息苦しさを感じても、「年齢のせい」と思い込み、受診が遅れがちになります。初期であれば禁煙や投薬での治療が可能ですが、症状が進めば在宅酸素療法が必要になり、入退院を繰り返すなど、日常生活にも影響が大きくなります。また、肺炎や心不全などの合併症で命にかかわることもあります。
 咳や痰、労作時の息苦しさなどを感じたら、肺の機能検査を受けてください。早期に発見し治療することが重要です。予防法は、何といっても禁煙です。最近では病院でも積極的にサポートしていますから、禁煙に失敗した人は、一度相談してみることをお勧めします。