2007年6月13日水曜日

「睡眠時無呼吸症候群と顎(がく)変形症」について

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 歯科医師

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について教えてください。

 SASとは、眠っている間に、10秒以上の呼吸停止を繰り返し、深い睡眠がとれない病態をいいます。気道の閉鎖によっておこり、原因はへんとう肥大、アデノイド、気道に舌が落ち込む、舌が大きい(巨舌症)、下顎(あご)が小さいまたは後退している(小顎症、下顎後退症)などが考えられます。
 症状としては、いびきがうるさい、寝ているときに呼吸が止まり熟睡できない、そのため昼間に睡魔に襲われるなどです。昼に眠いと居眠り運転につながり、2003年にはSASが原因で山陽新幹線の事故がありました。また生活習慣病と合併する場合が多く、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の「死の四重奏」にSASが加わると「死の五重奏」といわれることがあります。重症の場合、合併症のために約4割の人が9年以内に亡くなってしまうというデータもあります。このように、放置しておくと命にかかわる怖い病気です。

治療方法について教えてください。

 気道が閉鎖しないように、鼻にマスクを着けて空気を送り気道を広げる方法、へんとう肥大、アデノイドの場合はとってしまうなどの方法がありますが、根本的な治療法ではありません。
 矯正歯科の立場から、主に下顎後退症(小顎症)について説明します。下顎後退症は文字の通り、下顎が後ろにある状態で、気道が狭くなり、SASの原因となります。根本的な治療法としては、引っ込んでいる下顎を前に出す外科手術を行います。顎を手術しただけでは、きちんと歯がかみ合わないので、手術前後に歯をかみ合わせる矯正治療が必要になります。手術自体は比較的簡単なもので、口の中から行うので顔に傷がつくこともありません。
 下顎後退症は、反対咬合(こうごう)、上顎前突、開咬、顎偏位などの顎変形症と同様に、外科治療、矯正治療ともに健康保険が適用されます。ただし、道・市町村から指定を受けている医療機関でのみ保険適用になるので、受診の際は確認すると良いでしょう。