2007年4月25日水曜日

「早朝高血圧」について

ゲスト/北海道大野病院附属駅前クリニック 古口 健一 医師

早朝高血圧とは、どういった症状ですか。

 血圧は従来、病院へ行って医師の手によって測定されるものでしたが、最近は家庭用血圧計の普及によって、日常的に血圧を測定することができるようになりました。
 ご存じのように血圧は常に一定というわけではありません。病院で測定する血圧と、自分で測定した家庭での血圧、また日中職場で測った血圧が違うという現象が少なからず生じます。医師を前にすると血圧が高めになる症状は「白衣高血圧」、職場で血圧が高めになる症状は「職場高血圧」と呼びます。同様に、昼間の血圧には問題がないのに、早朝に高くなる場合は「早朝高血圧」と呼びます。検診などでは見つけづらい「仮面高血圧」の一種です。
 早朝高血圧の厳密な定義はありませんが、起床後早朝の家庭血圧が135/85mmHg以上で、日中~夜間の血圧よりも高い場合は早朝高血圧といえるでしょう。早朝は、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中が発生しやすい時間帯でもあります。この時間帯の血圧コントロールが、脳心血管疾患の予防に重要な意味合いを持ちます。

早朝高血圧の見つけ方について教えてください。

 病院では発見されづらい高血圧なので、家庭での血圧測定が重要になります。家庭用血圧計で、起床時、昼間、就寝前の測定を続けて血圧の高い時間帯があれば、原因を考えます。
 職場での高血圧は、ストレスや喫煙に起因することが多いです。早朝の高血圧の原因としては、前夜の飲酒や就寝中の無呼吸症候群などが考えられます。しかし、一番注意が必要なのは、もともと高血圧で降圧剤の投薬を受けており、日中は薬で正常に保たれていても、就寝中に薬の効果が弱まり早朝に血圧が高い状態になる場合です。
 家庭用血圧計で朝の血圧が高いと分かったら、かかりつけの医師に数値を記録したメモを見せてください。24時間血圧計(ABPM)で測定すると、一日の血圧の動きをより正確に知ることができ、血圧管理に大いに役立ちます。早朝高血圧は、持続時間の長い降圧薬を用いればコントロールは容易ですので、早期に発見することが重要です。

2007年4月18日水曜日

「肩こり」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤 康之 医師

日本人には肩こりに悩む人が多いそうですね。

 約7000万人の日本人が、現在あるいは過去に肩こりに悩まされた経験があるという調査結果があります。男性よりも女性に若干多く、いわゆる働き盛りの年代に多いのですが、最近は塾通いやテレビゲームの影響で小・中学生が肩こりを訴えるケースも増えています。
 肩こりは、人類が直立二足歩行を始めたときからの宿命といわれています。特に、欧米人や日本人と同じアジア人である中国人より、日本人に肩こり症の人が多いのは、歴史や伝統が関係しているのではないかといわれています。「肩の荷を下ろす」「肩書き」など、日本語には肩のつく言葉が多くあり、日本人にとって「肩」は体の部位以上の意味を持つ存在です。明治の女流作家・樋口一葉が肩こりと頭痛に悩んでいたのは有名です。一葉は若くして家計を支え、文筆業を志して勉強もしていました。経済的、心理的にストレスの多い毎日の中で、当時の髪型や住環境、やせ型の体型なども影響して、しつこい肩こりに悩まされていたのではないでしょうか。

肩こりの予防や治療法はありますか。

 肩こりの症状は、頚部(けいぶ)・肩・上背部の不定の痛みで、疲労感やしびれを伴うこともあります。頚部の血流への影響が強く頭痛の原因ともなります。持続した動作、不自然な動作をしたとき、ストレスを強く受けたとき、精神的緊張が続くときに起こりやすく、几帳面(きちょうめん)な人や物事にこだわる人に発症しやすい傾向があります。
 肩こりは、筋肉の緊張によって血液の流れが悪くなり、疲労物質が蓄積することで起こります。軽い体操やマッサージ、入浴、ハリ治療など、自分にあった肩こり解消法を見つけるとよいでしょう。夜更かしや過労を避けたり、枕を変えるだけでも改善することがあります。それでもしつこく痛みがとれないときは、痛みの専門医である麻酔科を受診してみてください。人によって効果はさまざまですが、神経ブロックのほか、理学療法、安定剤などの処方によって、痛みを緩和できることが多くあります。

2007年4月11日水曜日

「前立腺肥大症」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

前立腺肥大症について教えてください。

 前立腺はクルミ大の男性特有の器官で、膀胱(ぼうこう)の出口付近で尿道を取り巻いて精液の液体成分を分泌しています。前立腺は加齢とともに肥大する傾向があり、50歳以上の男性の多くに前立腺肥大が見られます。原因ははっきりしていませんが、加齢や男性ホルモンの影響と考えられています。前立腺が肥大すると、前立腺の内側にある尿道を圧迫し、さらに前立腺が自律神経の作用で緊張し、尿道を圧迫するため、排尿障害が起こります。
  前立腺肥大症の主な症状としては、夜間に何度もトイレに起きる、排尿に勢いがなくなる、尿がなかなか出なくなり出終わるまで時間がかかる、排尿が終わってもすっきりせず残尿感がある、そしてトイレまで間に合わないで失禁するなどがあげられます。特にアルコールを飲んだり、長く同じ姿勢で座っていたり、冷えたりすると症状が顕著になります。歓送迎会や花見などで宴席の多いこの季節、排尿に異常を感じて受診する方も多くなります。

注意点や検査、治療方法について教えてください。

前立腺肥大症の症状がある人は、日常生活の中で、アルコールはほどほどに、体を冷やさない、便秘を避ける、尿が出づらくなる可能性のある市販の風邪薬を飲むときは慎重に、排尿を我慢しないなどの点に注意してください。
  就寝後に2度以上トイレに起きたり、尿の勢いが弱くなったら、泌尿器科の受診をお勧めします。検査は、尿の勢いや残尿の有無、直腸診などで診断します。初期症状が前立腺肥大症に似ている、前立腺ガンの検査も同時に受けるといいでしょう。
  治療としては、最近ではさまざまなタイプの薬が出ています。医師の指導のもと、自分に合った薬を飲み続ければ、症状はある程度コントロールが可能です。ただし、根本的な治療にはならないので、ころ合いを見計らって手術を受けるのもいいでしょう。内視鏡やレーザーによる手術が可能です。手術法や症状によって、1日から1週間程度の入院ですみます。手術後に再発する率も非常に小さいです。

2007年4月4日水曜日

「経鼻内視鏡検査」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 医師

経鼻内視鏡検査について教えてください。

 内視鏡検査は胃がんの早期発見に有効な検査です。胃がんは日本人が最もかかりやすいがんですが、早期発見、早期治療により完治もしやすいため、定期健診が重要となります。早期の胃がんを発見するには、バリウム検査より、直接胃の中を見る内視鏡検査が有効ですが、内視鏡検査は「苦しい」などと敬遠する人が多いのが実情です。そうした中で最近、「苦しくない内視鏡検査」と注目されているのが、鼻から入れる経鼻内視鏡検査です。  鼻から内視鏡を入れることで、「痛そう」と感じる方もいるかもしれませんが、検査の前に、痛みを感じないよう前処置を行います。鼻腔(びくう)に局所血管収縮剤をスプレーして出血を減らし、鼻の通りを良くした後、通りの良いほうの鼻腔にゼリー状の麻酔薬を注入。麻酔薬を塗布した細くやわらかいチューブを鼻腔に挿入して局部麻酔を行います。この麻酔は注射と違い、痛みはほとんどありません。これらの処置を経て、痛みがなく、内視鏡が通りやすくなったことを確認してから、検査を始めます。 

経鼻内視鏡検査にはどのような特徴がありますか。

 まず第一に、検査中の「オエッ」という吐き気がありません。内視鏡を口から入れると、舌根(舌のつけ根)に触れて咽頭(いんとう)反射を誘発し、吐き気をもよおしますが、鼻からの場合は舌根に触れず、咽頭反射もほとんど起こりません。
  第二の特徴は、口が自由に使えるため、会話が可能で、医師と患者さんのコミュニケーションが取りやすい点です。  第三の特徴は、麻酔薬の量です。口からの検査では、咽頭麻酔を行うため、検査後少なくとも1時間以上は食事ができませんが、経鼻内視鏡検査では、鼻腔への麻酔になるため、量も少なく、終了後遅くとも1時間以内には水を飲んだり、食事ができるようになります。
  経鼻内視鏡検査は、安全で確実な検査方法と考えられます。胃がんの早期発見のために、これまで内視鏡検査を敬遠されてきた方にも、ぜひ経鼻内視鏡検査をお勧めします。
  なお、鼻腔の状態によっては経鼻内視鏡検査ができない場合もありますので、専門医に相談をしてください。