2007年3月22日木曜日

「眼底カメラで分かることと、分からないこと」について

ゲスト/阿部眼科 阿部 法夫 医師

眼底カメラで分かることは何でしょう。

 最近は、人間ドックや会社の健康診断で内科の検査以外に、眼底写真を撮影する機会が多くなっています。最新の眼底カメラはフラッシュも弱く、全自動化されてファイリングが簡単になり、撮影が容易になっています。
 眼底カメラでは、眼球の後部約45度の範囲を円形に撮影します。この範囲は眼底の後極部といい、眼底全体の中では狭い範囲ですが大事な3つの部分が含まれます。1つは視細胞を含む薄い膜(網膜)を貫く網膜血管、2つ目は脳からくる視神経の頭部(視神経乳頭)、3つ目は眼底の中心にあり視力にとって重要な黄斑部の3カ所です。
 網膜血管は人体で唯一肉眼で観察できる血管です。以前から網膜血管の異常や出血、白斑などから網膜血管動脈硬化症、高血圧網膜症、糖尿病網膜症の診断に利用されています。視神経乳頭部は、そのくぼみや周りの網膜の厚さなどが観察の対象となり、最近では緑内障の診断にも利用されるようになりました。黄斑部の病変については、最近増加中の加齢黄斑変性の診断が可能です。これらの3カ所を見れば、40歳以上の成人に発症しやすい大部分の眼疾患を発見することができます。また、そのほかにも眼底写真が全体に薄くぼやけているときは白内障の可能性があります。

眼底カメラで検査を受ければ安心ですか。

 残念ながら、網膜に亀裂があったり、網膜のはく離などの多くは、45度より外側に病変があるため、眼底カメラでは写りません。黒い点、糸くずのようなものが出現する飛蚊(ひぶん)症の症状や、視界の中でピカピカ光るものが見えるような症状が出現したときは、眼科を受診して精密眼底検査を受けることが必要です。精密眼底検査は点眼をして、瞳を大きくして診察しますので、1時間ほどかかります。その後も3~5時間は見えづらい状態になるので車の運転は避けたほうがよいでしょう。眼底検査で異常が疑われたときばかりではなく、目に不調を感じたときは眼科で精密眼底検査を受け、病変を確認しその程度や進行状況に合わせた治療や経過観察が大切です。