2006年10月4日水曜日

「メタボリック・シンドロームと動脈硬化」について

ゲスト/大通り内科クリニック 小森克俊 医師

メタボリック・シンドロームとは何ですか。

 メタボリック・シンドロームは、2005年春に日本内科学会など8つの学会が合同で定義と診断基準を発表しました。欧米の診断基準との最大の違いは内臓脂肪の蓄積が必須条件となっていることです。ウエストまわり(一番細いところではなく、おヘソの部分)が、男性で85cm以上、女性で90cm以上。加えて、高中性脂肪血症、高血圧、糖尿病(予備軍を含む)のどれか2つ以上が当てはまれば、メタボリック・シンドロームと診断されます。糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病は、それぞれの程度が軽くても、複数の症状が重なると動脈硬化の危険性が高まります。動脈硬化は、日本人の3大死因のうち、脳血管障害と心疾患をもたらす病因の一つとなっています。つまり、メタボリック・シンドロームと診断された場合は、動脈硬化となりうる可能性が高いということなのです。

メタボリック・シンドロームと診断された場合の注意点を教えてください。

 高脂血症、高血圧、糖尿病の中で、特に糖尿病は、ここ数年、日本で患者数が急増している生活習慣病です。糖尿病の主な原因は、食生活の欧米化による動物性脂肪の取り過ぎや運動不足です。健康維持には、糖質が60%程度、脂肪とタンパク質がそれぞれ20~25%程度の食事が理想的ですが、これは米や野菜、魚を中心とした一般的な和食の数値です。昔からこのような食事を続けてきた日本人は、欧米人に比べて膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの量が少なく、元来糖尿病になりやすい体質を受け継いでいるといえます。肥満、高血圧の人、また、甘いもの、アルコール、高脂肪の食事を好む人は予備軍の可能性があります。ただし、体質も大きく関係しており、同じ生活をしても病気になる人とならない人がいます。近親者に糖尿病患者がいる場合は特に注意が必要です。40歳になったら年に1度は専門医の検診を受け、メタボリック・シンドロームと診断されたら、まずは食生活の改善と運動を心掛けましょう。健康で長生きするためには、まず自分が予備軍かどうかを知ることが大切です。

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