2006年5月10日水曜日

「飛蚊(ひぶん)症」について

ゲスト/ふじた眼科クリニック 藤田 南都也 医師

飛蚊症について教えてください。

 白い壁や青空を見ていると、視界の中で、点や糸状、輪のような黒い物体が浮遊することがあります。暗い場所では見えず、視線を動かすとついてきます。これは飛蚊症といって、眼球内の粘性の透明な液体が詰まっている硝子体に、何らかの原因で濁りが生じ、明るい所を見たときに濁りの影が網膜に映るために起こります。
 濁りの原因には、生理的な原因によるものと病的な原因によるものがあります。生理的な飛蚊症については、胎生期に消失するはずの組織が硝子体内に残ってしまったために起こるものなどで、病気ではありません。しかし、飛蚊症が生理的なものか、病的なものかを本人が自覚症状で区別することは困難です。

飛蚊症の原因となる疾患について教えてください。

 飛蚊症の原因として最も多いのは、硝子体剥離(はくり)です。網膜に密着しているはずの硝子体がはがれ、接着部分が硝子体混濁となり、その影が飛蚊症として現れます。硝子体がはがれる原因は、加齢や強度の近視によって中に詰まっている物質が変性を起こすことによるものです。この場合は、特に治療する必要はありません。
 一方、網膜が硝子体によって引っ張られ、穴が生じる網膜裂孔(れっこう)も、飛蚊症の原因になります。放っておくと網膜剥離に進行する恐れがあります。網膜剥離は、重大な視力障害の原因となりますので、早急な治療が必要です。網膜裂孔はレーザーによる治療、網膜剥離は手術が一般的です。
 また、糖尿病や高血圧が原因で出血し、硝子体内に血液が入り込んで飛蚊症と感じることもあります。この場合は、目の治療と同時に原因となる疾患の改善が重要です。ほかに、ブドウ膜炎が原因で目に炎症が起こり、硝子体混濁が起こることもあります。
 いずれにしても、飛蚊症として重要にとらえなかったものが、後に大きな疾患の初期症状であったという場合が多いので、一度は眼科医で詳細に検査することをお勧めします。検査には、一定時間物が見づらくなる散瞳薬を点眼しますので、車を運転しての受診は避けた方がいいでしょう。