2005年12月21日水曜日

「前立腺肥大症の手術」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤誠一医師

前立腺肥大症について教えてください。

 前立腺肥大症は50歳を過ぎた男性ならいつかは覚悟しておかなければならない病気です。夜間、トイレに何度も起きるようになり、排尿に勢いがなくなったり、尿がなかなか出なくて、公衆トイレで後ろに人が並ぶようになったら、疑いが濃厚ですので受診してください。初期であれば、投薬で改善しますが、いずれ薬も効かなくなります。また、医療費負担は今後も増える一方ですから、いつまでも効果が少ない治療にお金をかけることも考えものです。
 日本のように、誰もが医療保険に入っているわけではない米国では、薬による治療は割高なため、手術を選ぶ人がほとんどです。
 かつては、薬で十分に改善しなければ電気メスによる内視鏡的手術しかありませんでした。しかし、現在はいろいろな治療法があり、患者さんの症状や状況に応じた治療を選ぶことができます。その中の一つに、入院せずに外来で簡単に受けられる高温度治療があります。体への負担が軽くて済むのですが、問題点は効果が長く続かないことです。

手術はどのようなものですか。

 一番確実な治療法は電気メスで前立腺を削り取り、尿の通りを改善します。しかし、数日の入院が必要で、また手術中はもちろんですが、退院してから大量に出血することがあります。
 電気メス以外で、前立腺を削り取ることができ、出血が少なく、入院期間を短縮できる方法として、ホルミウムレーザーによる手術があります。かつてのレーザーはやけどをつくって肥大部分を小さくしますが、尿を出すための管を数日入れておかなければなりませんでした。しかし、このホルミウムレーザーは、ほとんど出血なく前立腺を削り取ることができます。特に大きな前立腺には有効です。出血が少ないため、尿を出すための管を早く抜くことができ、早期の退院が可能になりました。順調であれば、2~3日の入院で済みます。また、電気メスによる手術と違い、手術中に水が体内に入って気分が悪くなったり、血圧が下がるなどのリスクもありません。削り取った前立腺の組織で、がんの検査もできます。
 前立腺肥大症の場合、血液検査でPSA値(前立腺から分泌される酵素たんぱくの血液中の量)が高いなど、がんの疑いがなく、自分自身が現在の尿の状態で困っていなければ、何も焦る必要はありせん。自分の都合に合わせた時期に、一番自分に合った治療法を選択されるといいでしょう。信頼できる医師に納得のいくまで相談して治療方針を決めてください。