2005年11月30日水曜日

「帯状疱疹(たいじょうほうしん)後神経痛」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤 康之 医師

帯状疱疹後神経痛について教えてください。

 帯状疱疹は、日本人の10~20%の人が、生涯に一度は罹患(りかん)するといわれています。子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、完治後も体内に残り、病後や疲労時、ストレスを感じた時など、体力や免疫力が低下したときに活動をはじめ、発症します。神経に沿って胸から脇腹、背中、三叉(さんさ)神経沿いなどに赤い発疹(はっしん)とチクチクした痛みが現れます。化膿(かのう)するなど、よほど重症でなければ、発疹そのものは2~3週間程度で治りますが、痛みだけが残る場合も多く、これを帯状疱疹後神経痛といいます。服が触れても痛いという状態にまでなることもあり、また目に出ると失明するケースもあります。痛みが原因で、不眠や食欲不振などに陥り、体力低下を招くことも少なくありません。発症から3カ月を過ぎると、治療にも時間が掛かります。痛いと思ったら我慢せず、すぐに痛みの専門医を訪ねてください。

どのような治療をするのでしょうか。

 早期に抗ウイルス剤を点滴、または内服で投与します。これは内科や皮膚科でも日常行う治療です。痛みをとることを目的としたペインクリニックでは、注射で局所麻酔薬などを神経周辺に入れ、神経の働きを止める神経ブロック療法を行います。血流を促進し、痛みを発する物質を押し流すレーザー治療や、鎮痛剤、漢方薬などを併用することもあります。さらに、精神的なストレスが原因で発症した場合は、抗うつ剤、抗不安薬などを併用します。
 いずれにしてもある程度の治療期間が必要です。根気強く治療を続ければ、ほぼ完治するので、あきらめずに治療を続けてください。
 帯状疱疹の予防法は残念ながら今のところありませんが、体力や免疫力の低下が発症の引き金になっているので、なぜそうなったかを考えることも重要です。帯状疱疹をきっかけに検査で、ほかの病気が見つかることもあります。糖尿病など生活習慣病の予防に努め、体力低下を招かず、ストレスをうまく和らげる生活を心がけることも大切です。

2005年11月16日水曜日

「咳喘息(せきぜんそく)」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳 典弘 医師

風邪の後、いつまでも咳が続くことがありますが。

 咳の持続期間により、発症から3週間を「急性咳嗽(がいそう)」、3~8週間を「遷延性咳嗽」、8週間以上続き場合を「慢性咳嗽」といいます。近年特に、慢性咳嗽の罹患(りかん)者が増加しています。慢性咳嗽の3大原因として、咳喘息、アトピー咳嗽、副鼻腔気管支症候群があげられますが、そのうち、もっとも頻度の高い咳喘息について説明します。
 咳喘息は8週間以上の空咳が続きますが、実際には8週間以前に医療機関を受診することが多いため、咳の症状を訴えるすべての人に対して、咳喘息を念頭においた診療が必要です。咳喘息は、気管支喘息のようにゼイゼイしたり、呼吸が苦しくなることはなく、胸部レントゲンを撮っても、原因となるような異常所見は認められません。
 咳喘息は、アレルギーの関与によって気管支が過敏になり、温度の変化や話をするだけで、咳が出やすい状態になります。また、夜間から早朝にかけて悪化することが多く、秋に多く見られるなど季節性を示す場合もあります。痰(たん)はないか、あっても少量で、風邪などのウイルス感染後、寒冷刺激、運動、喫煙などが症状を悪化させることがあります。

診断と治療法方について教えてください。

 気道の過敏性を調べる検査が診断の参考になりますが、専門的施設以外では施行しにくいことから、通常診療において咳喘息を疑う場合、治療に有効な気管支拡張剤を試験的に使用し、咳の改善傾向が見られれば、咳喘息と診断して差し支えないと考えられています。
 治療は、先に述べた気管支拡張剤が有効ですが、これのみで症状が完全に消失する例は少なく、また、咳喘息の約30%の患者が数年のうちに気管支喘息に移行することが知られています。そのため、気管支喘息への移行を予防するためにも吸入ステロイドを早期に使用することが一般的です。また、咳が完全に消失してからも長期的に経過観察をすることが肝心です。
 風邪をひいた後に咳だけ長く続く場合や病院で「風邪」と診断されて薬を飲み続けても咳だけとれない場合は、専門医を訪ねることをおすすめします。

2005年11月9日水曜日

「これからの矯正治療」について

ゲスト/E-line矯正歯科 上野拓郎 歯科医師

矯正器具に抵抗があって治療をちゅうちょする人もいるかと思いますが。

 美しい歯並びが、機能面、健康面、審美面で、いかに重要であるかが、日本でも広く認知されてきました。最近では、気軽に矯正専門医を訪ねる人も増えてきました。矯正治療が一般の人々に広く受け入れられはじめた要因として、矯正器具の著しい進歩が上げられます。かつては、歯の前面にギラッと光っていたメタルの矯正器具。確かに目につくし、特に大人の方には抵抗感のあるものでした。しかし、今では、目立たないワイヤーや透明なプラスチックやセラミックなどのブラケット(矯正装置)によって、スマートに矯正することができます。また、歯の裏側(舌側)から矯正することで、年ごろの女性や、接客業、営業職など、見た目が気になる人にとっても、抵抗なく治療を受けることができるようになりました。また、裏側からの治療のメリットとして、スポーツをする人の口のけがの危険性や、管楽器で演奏する人の吹きにくさが少ないということが挙げられます。

最先端の矯正治療について教えてください。

 この1~2年の間に矯正治療が大きく変わってきました。まず裏側から治療するブラケットのサイズが、従来の半分以下の大きさまで縮小し、装着時の違和感がぐっと軽減されました。小型化によって、清掃性も良くなり、話にくさを訴える患者さんも非常に少なくなりました。また表側のブラケットでは、ワイヤーとの摩擦の少ないものが開発され、今までより格段に装着感が良く、治療期間もかなり短くなりました。さらにインプラントが、矯正治療に応用されるようになりました。インプラントを顎(あご)の骨に埋め込み、固定源として使用する方法で、違和感が少なく、患者さんの負担も軽く、矯正期間も短縮できます。今後、期待されている矯正装置として、透明のマウスピース状の型を一人一人の歯型に合わせて何通りも作り、ちょっとずつ歯を移動させるという方法も登場しました。どのような方法、装置を選択するかは、個々人の歯の状態や年齢、環境などがかかわってきます。まずは矯正専門医で、気軽に相談してみることをお勧めします。

2005年11月2日水曜日

「不妊治療」について

ゲスト/アップルレディースクリニック 工藤 正史 医師 

不妊治療について教えてください。

 不妊治療に関心のある人の多くが、治療によって、本当に子どもができるのだろうかと、不安に思っていることでしょう。多くの施設における最終的累積妊娠率(すべての初診患者で最終的に妊娠に至る率)は50%程度です。残りの50%は、治療が中断されたことになります。不妊に悩むカップルは10組中1組(潜在不妊人口120万前後)と多く、さらに、現在、出生児の100人に1人(年間1万2千人以上)が体外受精など高度不妊治療の結果、誕生しているのが現状です。ただし、体外受精といっても妊娠の成功率は決して高いものではありません。30歳前半までは30~40%前後の成功率であったものが、35歳を過ぎると20%以下、40歳を過ぎると10%以下になると考えられています。
 近年、結婚及び妊娠、出産年齢の高齢化が進んでいます。加齢による受精能力は30歳代初めころから徐々に低下しはじめ、35歳を過ぎると次第に加速します。35歳では、25歳の女性に比べて出産できる確率は半分になるという報告もありますので、不妊治療は早めに開始することが大切です。また、1/3は男性に原因があります。不妊症の場合は、夫婦揃って検査や治療に臨む必要があります。

費用の面でちゅうちょする人も多いと思いますが。

 札幌市では不妊治療の支援事業を行っています。札幌市が指定する医療機関で、特定不妊治療を受けた法律上のご夫婦である方が対象です。一年度10万円を上限として要した費用の1/2の額を通算2年間助成する制度です。ご夫婦の所得によっては制限があります。詳しくは札幌市不妊専門相談センター(TEL011-511-4500)に問い合わせるか、ホームページ(http://www.city.sapporo.jp/eisei/funin)をご覧ください。札幌市以外の住所を有する方は、お近くの保険福祉事務所または北海道保険福祉部こども未来づくり推進室(TEL011-231-4111内線25-770)へお問い合わせください。
 不妊治療は、努力しても報われないこともあり、ゴールの見えないマラソンに例えられます。このマラソンは決して競争ではありません。「つらい、疲れた」と感じたら、途中でコースを変更したり、リフレッシュのために少し休まれることも大切です。