2005年10月19日水曜日

「前立腺がん」について

ゲスト/元町泌尿器科 西村昌宏 医師 

前立腺がんについて教えてください。

 前立腺は男性特有の臓器で、膀胱(ぼうこう)の出口で尿道を取り巻いている組織です。排尿回数の増加(特に夜間の排尿が2回以上起きる)、下腹部の不快感、排尿開始までに時間がかかる、尿が細い、残尿感があるといった症状は、良性の前立腺肥大症と、悪性の前立腺がんの初期症状の両方に共通します。正確な検査前にどちらかを判断することはとても難しく、また肥大症にがんを併発している例も珍しくはありません。そのため、「50歳を過ぎたらこんなものだろう」と安易に考えて放っておくと、がんの発見を遅らせることになります。
 前立腺がんの検査は、直腸からの触診や、超音波、MRI(磁気共鳴画像装置)などが有効ですが、血液検査による選別で手軽に検査することも可能です。血液を採取し、前立腺から分泌されるタンパク質の一種である前立腺特異抗原(PSA)を測定し、4.0~10.0ng/ml位だと前立腺がんの疑いが強くなります。さらに10.0ng/mlを超えた場合は、前立腺がんである可能性が高いといわざるをえません。

治療法と予防について教えてください。

 病気の進行度によって異なりますが、前立腺内にがんが限局している場合は、前立腺の全摘出が主体になります。お腹を切らずに腹腔(ふくくう)鏡を用いることもあり、術後の回復も早くなります。手術がどうしても嫌な場合は放射線による治療になります。放射線治療も有効ですが、放射線治療後の手術は極めて困難なので、注意が必要です。さらに進んだ状態である場合は、残念ながら手術の対象になりません。注射や内服薬で男性ホルモンを下げてがんの進行を抑える治療が一般的です。場合によっては、男性ホルモンを抑えるために精巣の切除をする場合もあります。
 予後のことを考えても、初期に発見することが肝心です。そのためには、先に述べた症状がなくても50歳を過ぎたら、少なくとも年に一度は血液検査によって、PSAチェックを行ってください。わが国においても、近年死亡者が増加してきている病気の一つですから、積極的に検査を受けるよう心掛けることが、何よりの予防となります。