2005年10月12日水曜日

「少ない永久歯(先天欠如)」について

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 歯科医師 

生まれつき通常より歯が少ないということがあるのでしょうか。

 以前テレビでも「10年前に比べて現代人は歯の数が減っている」という特集がされていましたが、最近確かに生まれつき歯の数が少ない人「先天欠如」が増えているように感じます。乳歯が抜けたのに、いつまでも永久歯が生えてこない、もしくはいつまでも乳歯のままで生え変わる気配がなく、レントゲンで調べても永久歯が見えない場合です。6歳臼歯がいつまでも生えてこないという場合もあります。今まで診察した中では、本来あるべき永久歯が8本も欠けているという人がいました。本人が気付いて歯科医を訪ねる場合もありますし、ほかの歯の治療の過程で見つかる場合もあります。
 歯の数が少ないはっきりとした原因は分かりませんが、よくいわれているのは、人類の進化とともに、歯が退化傾向にあるということです。つまり、歯が少ない現代人は進化した形なのかもしれません。歯が少ないと咬(か)み合わせが崩れ、顎(がく)関節症などの原因になることがあります。
 また、逆に歯が多い「過剰歯」も見られます。上顎前歯部分に多く、隣の歯の根を溶かすなど、悪さをすることも多く、注意が必要です。

実際の治療について教えてください。

 足りない歯の個所にもよりますが、欠如した歯を補うために、奥歯から順に歯を移動して、空間を埋めます。永久歯が足りないと分かったら、なるべく早い時期から矯正治療を行い、歯を寄せたり押したりして、将来的には、見た目も機能面でも問題ないような歯並びにすることが可能です。また、なるべく乳歯を長持ちさせて、抜けたらブリッジにするという方法もありますが、その場合欠如している歯の前後の歯を削らなければなりません。健康な歯を削ることに抵抗がある人も多いでしょうから、やはり早めの受診で、治療の方針を話し合うことが大切です。ブリッジをするにしても、事前に矯正治療でやりやすい配置にすることが可能です。いずれにしても、生え変わり時期には、一度じっくりと矯正専門医で診察してもらい、本数を含め咬み合わせなどを検査してもらうと安心です。

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