2005年5月18日水曜日

「親知らず」について

ゲスト/さとうのりゆき歯科クリニック 佐藤範幸 歯科医師

親知らずについて教えてください。

 親知らずは、一番奥に生える第三大臼(きゅう)歯のことで、だいたいは18~20歳ぐらいで生えます。上下左右各一本ずつの4本が基本ですが、最近は一部欠損している人も多くなっています。人間の進化の方向を考えると、歯の本数は減る傾向にあります。また、現代人の顎(あご)は、咀嚼(そしゃく)回数が減ったため、退化してだんだん小さくなってきています。実は歯自体も小さくなる傾向にあるのですが、顎が小さくなるスピードには追いついていません。結果として、親知らずが生えるには、顎のスペースが不足しているという状態です。そのため、親知らずが正常に生えることが難しくなっています。骨の中に埋まったままだったり、傾いて前の歯を押し付けるように生えたり、横に寝てしまって一部分のみ顔を出していたり、あるいは正常に生えても磨きづらいために虫歯になりやすいのです。

親知らずは抜いたほうが良いのでしょうか。

 親知らずを抜いたほうが良い場合は、次の通りです。
 (1)親知らずによって食べ物が歯間に詰まりやすい
 (2)親知らずと歯ぐきの間にばい菌が入り込み、歯ぐきが炎症を起こす。
 (3)磨きづらいために虫歯になる。また、隣の第二大臼歯まで
    親知らずの影響で虫歯になってしまう。
 このような場合は抜歯をお勧めします。もちろん正常に生え、きちんと磨けて虫歯になっていなければそのままで構いません。親知らずを正常に維持できれば、ほかの大臼歯が虫歯などによって抜歯しなければならなくなった場合、移植歯として利用できます。抜いた歯の位置に親知らずを入れる方法で、歯根膜がある状態で自家口腔(こうくう)内の移植であるため、治療後の経過が比較的良好です。また、健康保険が適用になるので、インプラントなどの施術よりも費用面での負担が軽くなります。治療が可能かどうかは、歯や口腔内の状況によりますので、かかりつけの歯科医によく相談しましょう。親知らずによるトラブルが発生した場合は、早めに歯科医で治療することをお勧めします。抜歯する場合でも少しでも若く体力のあるうちに行ったほうが、予後が良好です。