2005年1月12日水曜日

「外傷による歯の障害」について

ゲスト/庄内歯科医院 庄内 淳能 歯科医師

外傷による歯への影響について教えてください。

 転倒やスポーツ中の事故、交通事故など、外部から強い衝撃を受けることによって、歯が折れたり、抜けてしまうことがあります。これらは、歯牙(しが)破折と歯牙脱臼に分けられます。さらに、歯牙破折は歯冠破折と歯根破折に分類されます。歯冠破折は、歯の見えている部分が折れたり、欠けたりすることで、接着剤で元通りにできることもあるので、かけらを持参してすぐ受診しましょう。歯根破折は、歯の根の部分が破損している状態で、ぶつけた歯がカクカクと動く場合はこの可能性があります。無理に歯を取ったりせず、そのまますぐに受診してください。状態にもよりますが、一度歯を抜いて戻すという再植治療が可能な場合もあります。歯根破折の場合、2、3日でいったん痛みが治まるので、そのままにしてしまう人がいますが、やがて悪化し抜歯する事態になってしまいます。
 歯牙脱臼は、外傷によって歯が抜けてしまう状態です。歯がポロッと取れてしまったら、大至急受診してください。取れたばかりの歯はまだ歯根膜部分が生きているので、乾燥させずに持参すると再生します。生理的食塩水につけておくのが理想ですが、なければ、清潔にして口の中に入れたり、牛乳の中に入れて運びます。

治療や予防策について教えてください。

 状態によって治療法はさまざまですが、迅速に診察を受けることが肝心です。口元をぶつけると唇や口の中が切れて出血したり、顎(あご)を骨折したりするので、外科を受診する場合が多いのですが、必ず歯科も受診してください。表面上異常がなくても、レントゲンで破折や脱臼が見つかることもあります。また、転倒や交通事故などは予測できませんが、ボクシング、ラグビー、サッカー、ホッケー、ラクロス、アメリカンフットボール、野球、レスリング、柔道、空手など、頭部への衝撃が予想されるスポーツをする場合は、マウスガードを装着してください。歯科医のカスタムメイドのマウスガードであれば、違和感が少なく、歯や顎の保護はもちろん、スポーツパフォーマンスの向上にも役立ちます。

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