2004年11月10日水曜日

「しわの治療」について

ゲスト/緑の森皮膚科クリニック 森 尚隆 医師

眉間(みけん)や口元など、加齢とともに深くなるしわの治療は可能ですか。

 最近、しわの治療法として一般に認識され始めたのが、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの注入です。ヒアルロン酸やコラーゲンは、もともと人体のタンパク質と結合し、細胞のすき間を埋め、肌組織の保湿に役立つ働きをします。化粧品の保湿成分としても、よく知られています。肌のハリや弾性を保つには不可欠なもので、皮膚内に注入すると体内にもとから存在する自身のヒアルロン酸やコラーゲンと融合し、皮膚に膨らみを持たせ、しわを隆起させます。体内組織への適合性も高く、注入後は自然に皮膚組織に融合します。ヒアルロン酸注入の特徴としては、しわが浅いか、中程度か、深いかによって、使用するヒアルロン酸の分子量が違うことです。注入後は少しずつ水分に変化し、体内には残留せずに消滅しますので、効果の持続のためには定期的な注入が必要になります。持続は個人差があり、6カ月~1年程度といわれています。
 コラーゲン注入に関して最近注目されているのが、ヒューマンコラーゲンです。人の皮膚から摂取した線維芽細胞を培養させたもので、従来の牛由来のものより刺激が少なく、アレルギー反応がほとんど見られないのが特徴です。

そのほか、どのような治療法がありますか。

 日本の厚生労働省にあたる、アメリカのFDA(食品医薬品局)で、ボトックスがしわを回復させる正式な治療方法として認可されました。ボツリヌス菌という人体に無害なタンパク質の一種を注入する治療法です。ボツリヌス菌は神経細胞から筋肉への情報を伝達する物質・アセチルコリンの放出を抑える作用があり、筋肉の動きを麻痺(まひ)させるため、額や眉間、目尻のしわができにくくなります。ボツリヌス菌の毒素を注射しますが、治療で使用するのは菌からできた毒素なので、人体に害はありません。この治療法は、片側顔面けいれんや眼瞼(がんけん)けいれんの対症療法にも採用されています。いずれも健康保険の適用外となるので、専門医で十分に説明を聞き、納得してから治療を受けてください。

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