2004年10月6日水曜日

「治療が難しい筋肉の痛み」について

ゲスト/札幌一条クリニック 後藤 康之 医師

難治性の筋肉痛の疾患について教えてください。

 代表的なものとして、筋筋膜性疼痛(とうつう)症候群があります。肩から首にかけて、また腰から背中にかけて、いわゆる「凝った」状態で慢性的な痛みを伴います。なかなか原因が見つからず、湿布などの治療でも快癒しません。また、マッサージや鍼灸(しんきゅう)によって、一時的に楽になることがありますが、すぐに痛みが再発してしまいます。働き盛りの年代に多く、一日中パソコンに向かっているなど、姿勢や生活環境が原因のこともありますが、そのような原因が見当たらないこともあります。むしろ、心理的な要因が深くかかわっており、悩みや不安が痛みの引き金になっている場合が多いのです。心因性である場合は痛みの治療だけでなく、心理療法や投薬などを併せて行うことが必要です。痛みの治療としては、星状神経節ブロックやトリガーポイント注射(局所注入)などを行います。すぐに効く人、何度か行ううちに痛みがなくなる人、なかなか改善しない人など、人によって効果はさまざまです。

線維筋痛症について教えてください。

 慢性の全身疼痛症で、日本国内で認識されはじめたのはここ10年ほどです。さまざまな検査を行っても、これといった原因がなく、しかし患者は眠れないほどの痛みに悩まされるという難病です。医療機関での認知度も低く、診断名がつかずに苦しんでいる人が多くいると推測されます。主な症状としては、3カ月以上継続する全身の慢性的な疼痛、不眠、頭痛、疲労感、こわばり、口や目の乾燥、しびれ、便通異常などです。年代、性別はさまざまですが、特に40代、50代の女性に多く見られます。身体的所見が見つからないため周囲の理解が得られず、痛みで仕事や家庭生活に支障を来し、痛みと不安感から抑うつ状態に陥る人も多いのが実情です。リウマチや慢性疲労症候群を併発している症例も報告されています。現時点では治療法が確立されておらず、痛みを和らげ、不安を取り除く治療が試みられている状態です。原因不明の痛みに悩まされている人は、ぜひ一度、相談してください。

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