2004年9月15日水曜日

「胃食道逆流症(GERD=ガード)」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳典弘 医師

胃食道逆流症について教えてください。

 胃の内容物が食道内へ逆流し、胸焼けやげっぷなどの症状を呈する疾病で、GERD(ガード)ともいいます。内視鏡で、食道粘膜に炎症所見が認められる「逆流性食道炎」と、胸焼けなどの酸逆流症状がみられながらも粘膜障害のない「内視鏡陰性GERD」の2タイプがあります。GERDの要因としては、胃から食道への逆流を防止する下部食道括約筋という筋肉の緩み、腹圧の上昇により胃の内圧が食道の内圧より高くなったとき、あるいは胃食道の運動機能や分泌機能の低下などがあげられます。かつては日本人に少ない疾病でしたが、食生活やライフスタイルの欧米化によって、近年増加の傾向にあります。特にアルコール、喫煙、肥満は大きな要因として報告されています。胸焼けは逆流性食道炎の特異的な症状とされてきましたが、最近は胸焼けがあるのに食道に炎症のない「内視鏡陰性GERD」が注目されています。GERDの患者の半数がこれにあたるともいわれ、胸焼け以外にも胸痛、喘息(ぜんそく)様発作、せき、のどの違和感などを訴えることもあります。また、肩こり、背部痛、口の苦み、夜間の発汗などがGERDによる症状の場合もあります。

診断、治療方法について教えてください。

 まず、問診を行い胸焼けの有無やどのようなときに症状が出現するのかなどを確認します。さらに、食道をはじめとする上部消化管に、他の病変の合併がないかも含めて、内視鏡検査で確認します。治療は一般に内科治療で行います。予防の上で肝心なのは生活指導です。脂肪分の多いもの、甘いもの、アルコール、喫煙を控え、肥満にならないように指導します。腹圧を増加させるような前屈みの姿勢や、ベルト、帯、下着など締め付けるような服装もできるだけ避け、食後3時間は横にならないようにします。薬物治療としては、消化管運動機能改善剤、胃酸の分泌を抑制する制酸剤などを用います。逆流性食道炎の場合、内科治療で思わしい改善が認められない場合は、逆流防止手術による外科治療が考慮されます。手術は、最近では体への負担が少ない腹腔鏡でも行われるようになり、入院期間の短縮が図られています。