2004年8月11日水曜日

「不安や緊張を感じやすい人の治療法」について

ゲスト/さっぽろ心療内科クリニック 加藤 亮 医師

不安や緊張を感じやすい人について、教えてください。

 「人前で緊張して話せない」「視線が気になって顔を合わせられない」「不安で電車に乗れない」「不潔な気がして、つり革に触れない」。このようなことは、多かれ少なかれ、だれにでもあるものです。しかし人によっては、非常に強く感じ、これを苦にして悩み、改めようとして、さらに深く悩むという悪循環に陥ります。こうなると神経症と診断されます。
 神経症にはいくつかのタイプがあります。一つは、身体的な訴えが、頭痛、めまい、腹部不快感などで、わずかな身体の不快感を病的と思い込み、これに注意を集中し、どんどん症状を増強するタイプです。
 二つ目は、あることを恐怖しながらも、反面、恐怖を打ち消そうとして、心理的葛藤(かっとう)に陥るタイプです。対人恐怖、赤面恐怖、閉所恐怖、不完全恐怖などがあります。
 三つ目は、急激に強い不安に襲われ、動悸(どうき)、呼吸困難、めまい、ふるえなどの症状が起こるタイプです。

治療法について教えてください。

 不安や緊張を和らげる薬物療法は、とても有効で、薬だけで良くなる人もいます。しかし心理療法を併用することも多く、このような方々には森田療法が効果的と思われます。森田療法とは、森田正馬博士が大正時代に創始し、日本で発展し、国際的にも評価の高い治療法です。治療の基本は、症状や悩みを無理に打ち消そうとせず、自分がやるべき行動に気持ちの中心を移していくようにして、その過程で症状が改善されるというものです。
 また、このような森田療法の考えに基づき、神経症の症状や悩みを共に克服しようとする「生活の発見会」という自助グループがあり、全国各地で自分らしい健康な生活を目指して活動しています。不安や緊張を強く感じたら、一人で悩んでいないで、一度専門医に相談してください。

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