2004年7月28日水曜日

「歯の治療による金属アレルギー」について

ゲスト/庄内歯科医院 庄内淳能 歯科医師

歯の治療と金属アレルギーについて教えてください。

 時計やアクセサリーなどの金属を身に着けると、接触部分に炎症や湿疹(しっしん)(接触性皮膚炎)が起きたり、ただれてしまったりという人が、最近は特に増えています。汗などによりイオン化した金属がアレルゲンとなって、皮膚炎を引き起こすのです。これと同様の症状が歯の治療に使用する金属でも起こります。口の中は唾(だ)液で常に水分のある状態なので、金属の成分は多かれ少なかれ溶出する環境にあります。溶け出した金属は体内に蓄積され、一定量を超えると皮膚に何らかの異常が生じます。口腔(こうくう)内の粘膜に炎症や湿疹がある場合は、金属冠が原因と推察しやすいのですが、唇のまわりや顎(あご)、首など、あらゆる場所に出る可能性があります。その場合、原因が特定されづらく、長年原因不明の湿疹として悩んでいるという人も多いのです。特に手のひらや足の裏に水泡(すいほう)状の湿疹が繰り返し生じる場合(掌蹠膿疱症=しょうせきのうほうしょう)は、水虫と勘違いして、皮膚科を訪れる人がほとんどです。また、審美的にも悩む人が多い金属冠(クラウン)などの辺縁歯肉が黒ずんでしまうのも、金属イオンの蓄積によるものです。

どのように対処すれば良いのでしょうか。

 アレルギー体質の人、原因不明の湿疹などに悩んでいる人で、歯の治療に金属を使用している人は、特に気を付けるべきです。歯科医によっては、どの金属によってアレルギーが生じるのか調べるためのパッチテストを実施しているところがあります。自分の体質を知るためにも、一度検査しておくといいでしょう。歯の治療に使用している金属にアレルギー反応があると分かった場合は、セラミックやハイブリッドセラミックなど、非金属材料を使用すると、多くの場合症状が改善します。しかし、これらは保険適用外となってしまいます。保険が適用されるプラスチックを用いることも可能ですが、強度に欠けるのが難点です。いずれにしても、自分自身の健康を取り戻すためなので、主治医と十分に話し合って、納得のいく治療方法を見つけてください。また、まれに口腔内の金属に電流が生じ、舌痛を起こす人がいます。原因不明の舌のピリピリした痛みに悩んでいる人は、一度歯科医に相談することをお勧めします。

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