2004年6月16日水曜日

「健康保険が適用される歯科矯正」について

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田  康人 歯科医師

健康保険が適用される矯正治療について教えてください。

 歯科矯正は一般に保険適用外となりますが、外科手術が必要な矯正治療の場合は保険が適用になります。対象は主に、顎(あご)が大きく突き出していたり、左右にずれている顎(がく)変形症、口唇裂口蓋(がい)裂などの先天性疾患を伴う咬合(こうごう)異常の場合です。顎変形症の中では、下顎が突き出し下の歯が上の歯の前に位置するいわゆる「受け口」と呼ばれている下顎前突症がもっとも多く、ほかに「出歯」と呼ばれる上顎前突症、指しゃぶりなどが原因で上の前歯と下の前歯が咬(か)み合わず、すき間が空いている開咬(こう)も多く見られます。このような症状の人は、顎関節が痛む、食べ物をうまく咀嚼(そしゃく)できない、発音が不明瞭など、機能面での問題も多いのですが、審美的な面でも悩みが深いのが現状です。
 外科手術を伴う矯正治療は、口腔(こうくう)外科と矯正治療の専門医が共同で対応します。手術前に半年から1年程度の歯列矯正を行った後、外科手術をします。その後、1〜2年の矯正治療を行います。全体として2〜3年の治療になりますので、期間としては、一般の矯正治療と大差ありません。

実際の手術はどのように行いますか。

 現在、注目されているのは、骨延長法です。外科手術で顎の骨を切断し、骨延長装置の装着を行います。その後、装置によって徐々に顎を広げ、骨の再生力によって新たな骨を形成していくという治療法です。当初からの予定の長さに骨が形成されたら、装置を外します。口の中にメスを入れるので、顔に傷がつくということはありません。手術、入院に2週間程度の時間が必要ですが、今まで治療の難しかった重症の顎変形症の治療が可能になり、後戻りが少ないことが大きな利点です。ただ、骨延長術自体がまだ新しい治療法であり、施術している病院は多くはありません。矯正専門医や口腔外科医に相談してください。
 対象年齢は骨格が完成する高校生以上ですが、顎や歯並びが心配になったら、年齢にこだわらず一度、矯正専門医に相談するといいでしょう。
  

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