2004年5月26日水曜日

「尿管結石」について

ゲスト/元町泌尿器科 西村昌宏 医師

尿管結石について教えてください。

 尿の中のカルシウムとシュウ酸やリン酸などが何らかの原因で結晶となり、有機物質を取り込んで石のように固まってしまったものが結石です。腎臓で生成された結石が、尿管に詰まって、痛みを引き起こすのが、尿管結石です。疝痛(せんつう)と呼ばれる激しい痛みに加え、血尿や吐き気を伴う場合もあります。さらに、結石で尿管がふさがれることによって、上部の尿管や腎臓が腫(は)れた状態になると、水腎症と呼ばれ腎臓の働きが悪くなります。日本人の20~25人に1人程度が経験し、男女比では男性の方が多く、1度経験した人は高い頻度で繰り返すのが特徴です。原因は多くの場合不明ですが、体質や偏った食生活、運動不足などが影響していると考えられます。また、体内の水分が不足し、尿中のミネラルの濃度が高くなると結石ができやすくなります。
 これから気温が高くなると、結石の痛みで病院に駆け込んでくる人が増えます。汗をかいたら水分をマメに補給しましょう。

どのような治療を行いますか。

 疝痛を抑えた上で、石が10mm以下であれば、水分を多く取ることによって自然に排出される可能性があります。なかなか排石されなかったり、痛みが頻発する場合は、手術が必要になります。手術は、体の外から衝撃波を当てて砕石するESWL(体外衝撃波結石砕石術)と、細い内視鏡を尿道、ぼうこうを経由して尿管内に入れ、結石をモニターで確認しながらレーザー照射で砕くTUL(経尿道的尿管結石砕石術)という方法が一般的です。
 ESWLは、位置によっては砕くことが難しい場合があります。TULはほぼ確実に砕石できますが、石の位置によっては内視鏡が届かない場合があります。どちらの方法にするかは、結石の大きさや位置、形状などを考慮して決定します。ごくまれですが、結石が極端に大きかったり位置が悪い場合は開腹手術をすることもあります。ESWLは日帰りから1泊2日の入院、TULは2泊3日程度の入院で治療できます。痛みが自然に治まる場合もありますが、腎臓にダメージを与えていることもあるので、疝痛に襲われたらすぐに泌尿器科を受診してください。

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