2004年2月4日水曜日

「成人のMFT」について

ゲスト/石丸歯科 石丸 俊春 歯科医師

成人のMFTとはどのようなことでしょうか。

 歯の治療のために訪れた人が、それ以外の症状にも悩まされていることがあります。舌が痛む、顎(がく)関節が痛い、歯ぎしり、口が開けづらい、うまくのみ込むことができないなどです。原因と症状はさまざまですが、主なものとしては、外傷性咬合(こうごう)による歯周疾患、顎関節の位置異常に由来する開口障害、頭痛、肩こり、舌の機能不全に関係する歯列不正、舌痛症、義歯の不安定、発音障害、クチャクチャ噛(か)み、術後障害(口が閉まらない、よだれが出る…)などです。このような症状を訴える人の多くに、表情筋、咀嚼(そしゃく)筋、前頚(けい)筋を含めた口腔周囲筋の過緊張や、弛緩(しかん)による機能不全が認められます。口腔周囲筋の機能を改善し、バランスを良くする方法として、MFTが有効です。

具体的な方法について教えてください。

 MFTは従来、舌癖を治すため、子どもに対して行われている口腔筋機能訓練法です。舌先の正しい位置を意識する、口を閉じ上顎(あご)に舌を付けタンッと音を出す、口元を「イー」「ウー」の発音の形にする、左・右・両方の目を、それぞれグッとつぶって大きく見開く、上を向いてガラガラとうがいをして、水を含んだまま10秒間止めるなどの訓練があり、症状によってトレーニングのプログラムを作成します。症状の改善は比較的短期間に現れ、終了まで3カ月程度が目安となりますが、症状によっては1年以上かかる場合もあります。成人、特に高齢者においては、症状の改善とともに、生き生きとした表情になり、生活意欲も向上するという症例が多く見られます。しゃべること、おいしく食べることが苦痛なくできるようになると、日常のストレスが大幅に軽減されます。足腰については「使わないとどんどん衰える」という認識が広く浸透していますが、実は顔の筋肉、口腔の筋肉についても同様なのです。咬(か)み合わせの不正や義歯の不安定などで、軟らかいものばかりを食べたりしていると、筋肉はたちまち衰えてしまいます。口腔機能に不満のある人は、MFTについて専門医に相談することをお勧めします。

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