2004年2月18日水曜日

「不妊症」について

ゲスト/アップルレディースクリニック 工藤正史 医師

不妊症について教えてください。

 不妊症とは、子どもを望みながら避妊せず夫婦生活を一定期間経ても生児を得られない状態をいいます。一定の期間とは、避妊期間を除いて2年とするのが一般的で、これは子どものいる夫婦の90%以上は2年以内に妊娠しているという事実によります。約10組の夫婦のうち1組が不妊症といわれています。そのうち3分の1は、女性に原因があるとされ、卵巣の働きが弱かったり、卵管の通過性が悪かったり、子宮に問題がある場合などです。また、精子の数が少なかったり運動性が弱かったりする、男性に原因がある場合も3分の1ほどあります。残りの3分の1は夫婦の両方に原因がある場合や、原因がわからない場合です。不妊症を疑った場合は、夫婦揃って検査や治療を受ける必要があります。現在、出生児の100人に1人(年間12,000人以上)が高度不妊治療の結果、誕生しています。わが国における潜在不妊人口は120万人前後と推定され、実際不妊治療を受けているのはその約4分の1の28万人程度といわれています。また、35歳を過ぎると妊娠率は格段に低下します。不妊に悩んでいる人は、専門医の受診をお勧めします。

治療の注意点・心構えについて教えてください。

 不妊治療において、医師が提供するのは、医療技術のみではなく心理療法と哲学をも含むと考えます。治療を受ける側の精神的負担は計り知れないほど大きく、それを取り除くことが大切です。患者が悩みから解放されることで、ホルモンリズムもスムーズになり質の良い卵子ができ、卵管の緊張も取れ、自然妊娠に至るケースもあります。不妊治療は、努力をしても報われないかもしれない、ゴールの見えないマラソンによく例えられます。でもこのマラソンは、けっして競争ではありません。自身のコントロール感覚が失われると感じたら、時には途中でコースを変更したり、リフレッシュのため休むことも必要です。大切なのは、あなたとパートナーがどう生きていくかというお互いの気持ちなのです。

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