2004年1月8日木曜日

「鬱(うつ)病」について

ゲスト/さっぽろ心療内科クリニック 加藤 亮 医師

鬱病について教えてください。

 鬱病は体の病気です。脳内の化学物質の活動のバランスが崩れることによって、さまざまな症状が現れます。精神面では、憂鬱である、今までできたことができにくい、何かをする意欲が起きないなどです。身体面では、お腹が痛い、頭が痛い、動悸(どうき)がする、眠れない、発汗するなどさまざまな症状があります。発病する年代も若い人から中高年まで幅広く、中には小学生の患者もいます。鬱病になりやすい、なりづらいという体質的なものはありますが、発症のきっかけには大抵の場合ストレスがからんでいます。ストレスの原因は人それぞれですが、多く見られるのは、勤めている人であれば昇進や職場環境の変化、女性なら結婚や出産などです。環境や生活のパターンが大きく変化したことで、神経の疲れがたまり、鬱病を発症します。ほかにも離別、死別、病気などが契機となる場合もあります。特別な病気ではなく、あらゆる人に発症の可能性がある疾患です。

鬱病かなと感じたら、どうすればいいのでしょうか。

 かつては鬱病ということに気付かないまま、症状が進んでしまうことが多かったのですが、最近はマスコミなどでも多く取り上げられ社会的認知が高まったため、自ら、あるいは周囲の人が気付き、専門医を受診する人も増えてきました。治療は抗鬱剤などの薬物療法がとても有効で、近年優れた薬が利用可能となっています。また、カウンセリングなどの心理療法も効果的といえます。鬱病の場合、現実よりも物事を悪く悪く考えてしまう認知障害を起こしている場合が多いので、次第に現実的な方向へ目を向けられるような治療を行います。自分の辛い気持ちを話すだけでも、随分症状が楽になるという人もいます。また、発症にからんだ環境調整も大切です。職場や学校のストレスが大きければ、休養をとることが必要なこともあります。鬱病が悪化すると自殺や未遂行為に至ることもあります。ほかの病気と同じように、治療が早いほど治りも早いので、「もしかしたら」と思ったら、迷わず専門医を受診することをお勧めします。

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