2004年1月28日水曜日

「過敏性腸症候群」について

ゲスト/琴似駅前内科クリニック 高柳典弘 医師

過敏性腸症候群について教えてください。

 主に大腸の運動および分泌機能の異常で起きる病気の総称で、幅広い年齢層にみられますが、特に多いのは20~30歳代のストレスを受けやすい世代です。男性よりも若干女性に多い傾向にあります。腹痛や便秘、下痢などの症状があり、便通異常の現れ方で3つのタイプに分けられます。不安定型は腹痛、腹部の不快感があり、下痢と便秘を数日ごとに繰り返します。交代性便通異常とも呼ばれ、この型の便秘はおなかが張って苦しく、トイレに行きたいが出ない。出るときはコロコロした小さな便です。慢性下痢型は、神経を使うとすぐ下痢をするタイプです。軟便や水様便で神経性下痢とも呼ばれます。重症になると、出勤途中に何度も途中下車してトイレに行くという人もいます。休日などリラックスしているときは排便も正常に戻っていることが多く、また、下痢を繰り返しているにもかかわらず、やせないことが特徴です。分泌型は強い腹痛に続いて大量の粘液を出すもので、粘液疝(せん)痛とも呼ばれます。粘液は膜状、ひも状で出現し、寄生虫と間違う人もいます。日本人では比較的少ないタイプです。

原因と治療方法について教えてください。

 ストレスによって、自律神経機能が不安定になることから起こるとされています。比較的神経質で、内向的、精神的に不安定という人に多くみられます。就職や進学など環境の変化、受験や仕事など将来に対する不安、夫婦、嫁姑(しゅうとめ)など人間関係の不和、地域や職場での人間関係など心のストレスが原因のことが少なくありません。また、風邪、過労など体のストレス、不規則な食事、暴飲暴食など食生活が起因することもあります。診断は、他の疾患がないかを検査した上で、性格テストや問診によって、過敏性腸症候群にかかりやすい性格か、原因は何かなどを診察します。治療としては、下痢、便秘、精神的因子の症状を緩和する投薬を行います。さらに重要なのは精神的、肉体的過労を避け、特に精神面での安静を図ること、スムーズにコミュニケーションをとれる医師との関係も大切です。

2004年1月21日水曜日

「飛蚊(ひぶん)症」について

ゲスト/阿部眼科 阿部 法夫 医師

飛蚊症について教えてください。

 視界の中で、黒や白っぽい糸くず状のものや、点などが漂って見えた経験は、誰にでもあると思います。例えば白い壁や青空を見たときに顕著に現れますが、この症状を飛蚊症といいます。飛蚊症はたいていの場合、加齢による生理現象なので、心配する必要はありません。しかし、視界の妨げになるほど現れたり、数が増えるようなら、速やかに眼科を受診してください。網膜裂孔(れっこう)である可能性があります。眼球の内側にある薄い膜のことを網膜といい、ここに映った画像が視神経を経由して脳へ伝わります。この網膜を内側から支えているのが、硝子体(しょうしたい)です。硝子体は透明なゼリー状のコラーゲン繊維でできており、老化や強度の近視などでゆがんでしまうことがあります。硝子体のゆがみに網膜が引っ張られ、かぎ裂き状の孔(あな)が開いてしまうのが網膜裂孔です。網膜裂孔を放置しておくと、網膜剥離(はくり)に進行してしまうことがあります。網膜剥離は、裂孔から水分が入り込み、網膜がはがれ落ちてしまう病気です。視力が落ちたり、視野が欠けたりし、最悪失明する可能性もあります。

治療方法、注意すべきことについて教えてください。

 網膜裂孔の時点なら、レーザーによる治療で孔を簡単にふさぐことができます。網膜剥離まで進行した場合は手術が必要になりますが、視力や視野の機能回復については、剥離の程度によりますから、とにかく早期に発見し、治療をスタートすることが大切です。裂孔や剥離になりやすい人として、40歳以上の人、強度の近視の人、眼球をぶつけるなどの外傷があった人、白内障の手術を受けた人、アトピー性皮膚炎の人、家族が網膜剥離を経験した人などが挙げられます。網膜は1度機能を失うと治療をしても再生しません。裂孔や剥離は一般の健康診断では発見されず、痛みなどもないので、サインである飛蚊症の時点で受診することが望ましいのです。「たかが飛蚊症」と考えず、複数になったり、急に増えるようなことがあったら、1度、眼科で検査を受けることをお勧めします。

2004年1月14日水曜日

「MFT(口腔筋機能訓練法)子ども編」について

ゲスト/石丸歯科 石丸 俊春 歯科医師

子どもたちの舌癖について教えてください。

 歯磨きへの理解が深まったお陰で、最近は子どもたちの虫歯や歯肉炎が減りました。一方で、歯並びが悪かったり、うまく噛(か)めないなどといった問題がクローズアップされています。ポカンと口を開けている、発音がはっきりしない、クチャクチャと音を立ててものを食べているようなことはありませんか。これは舌癖や口呼吸によるものです。舌癖は、舌が正しい位置になく、口の下や前方にあるため、常に歯を押し、口呼吸で口を開けているため、唇とその周辺からの圧力が無く、出歯になったり、歯間に隙間ができたり、咬(か)み合わせが悪くなったりします。また、唇や頬(ほお)の筋力が弱いため、しまりのない表情になります。舌足らずな発音になることもあります。なぜ、このような症状が現れるかというと、咀嚼(そしゃく)やえん下がうまくできない、鼻の病気などによる口呼吸、片側だけで噛むなどといった日常生活の中での悪癖が原因です。

どのように治せばいいのでしょうか。

 舌癖を治し、正しい咀嚼、えん下を身に付けるのが、MFTといわれる口腔筋機能訓練法です。表情筋や舌筋、咀嚼に係わる筋肉群の訓練を行い改善していきます。ベーシックなコースとしては、スポットポジション(舌先を正しい位置に置き、奥歯は噛まず、唇は軽く閉じる)を意識する、ポッピング(口を閉じ上顎に舌を付けタンッと音を出す)、口元を「イー」「ウー」の発音の形にする、左・右・両方の目を、それぞれグッとつぶって大きく見開く、上を向いてガラガラとうがいをして、水を含んだまま10秒間止めるなどの訓練があります。これによって顔の血行が良くなり、バランスのとれた筋肉が付きます。生活の中では、良く噛んでのみ込む(白米なら40回噛む、水で流し込まない)、左右均等に噛む、正しい姿勢で足を床につけて食事する、唇を噛んだり、指しゃぶりをしないなどを心掛けると良いでしょう。MFTは子どもだけではなく、成人や高齢者のえん下障害や舌の機能不全などにも効果があります。

2004年1月8日木曜日

「鬱(うつ)病」について

ゲスト/さっぽろ心療内科クリニック 加藤 亮 医師

鬱病について教えてください。

 鬱病は体の病気です。脳内の化学物質の活動のバランスが崩れることによって、さまざまな症状が現れます。精神面では、憂鬱である、今までできたことができにくい、何かをする意欲が起きないなどです。身体面では、お腹が痛い、頭が痛い、動悸(どうき)がする、眠れない、発汗するなどさまざまな症状があります。発病する年代も若い人から中高年まで幅広く、中には小学生の患者もいます。鬱病になりやすい、なりづらいという体質的なものはありますが、発症のきっかけには大抵の場合ストレスがからんでいます。ストレスの原因は人それぞれですが、多く見られるのは、勤めている人であれば昇進や職場環境の変化、女性なら結婚や出産などです。環境や生活のパターンが大きく変化したことで、神経の疲れがたまり、鬱病を発症します。ほかにも離別、死別、病気などが契機となる場合もあります。特別な病気ではなく、あらゆる人に発症の可能性がある疾患です。

鬱病かなと感じたら、どうすればいいのでしょうか。

 かつては鬱病ということに気付かないまま、症状が進んでしまうことが多かったのですが、最近はマスコミなどでも多く取り上げられ社会的認知が高まったため、自ら、あるいは周囲の人が気付き、専門医を受診する人も増えてきました。治療は抗鬱剤などの薬物療法がとても有効で、近年優れた薬が利用可能となっています。また、カウンセリングなどの心理療法も効果的といえます。鬱病の場合、現実よりも物事を悪く悪く考えてしまう認知障害を起こしている場合が多いので、次第に現実的な方向へ目を向けられるような治療を行います。自分の辛い気持ちを話すだけでも、随分症状が楽になるという人もいます。また、発症にからんだ環境調整も大切です。職場や学校のストレスが大きければ、休養をとることが必要なこともあります。鬱病が悪化すると自殺や未遂行為に至ることもあります。ほかの病気と同じように、治療が早いほど治りも早いので、「もしかしたら」と思ったら、迷わず専門医を受診することをお勧めします。