2003年12月17日水曜日

「インフルエンザ」について

ゲスト/にしはら内科クリニック 笹村 崇子 医師

インフルエンザについて教えてください。

 インフルエンザの流行は、例年11~4月に集中します。インフルエンザに罹患(りかん)した人が、クシャミやせきをするとウイルスが空気中に広がり、それを吸い込むことによって感染します。潜伏期間は感染後1~5日で、突然の高熱で発症し、悪感、筋肉痛、関節痛、全身倦怠(けんたい)感など、強い全身症状を示すのが特徴です。さらに普通の風邪のようなせき、のどの痛み、鼻水などもあります。一般には3~7日程度続き、以降軽快しますが、細菌感染を合併したり、不摂生があると長引く場合もあります。また、軽快しているのに倦怠感や意欲低下が続くインフルエンザ後症候群を来す場合もあります。高齢者や心臓、呼吸器、腎臓などに慢性疾患を持つ人、糖尿病の人などは重症化することがあるので注意が必要です。

予防と治療の方法を教えてください。

 基本は予防接種を受けることです。インフルエンザワクチンを接種しても100%感染を防ぐことはできませんが、重症化を予防することはできます。特に65歳以上の人には、ワクチン接種をお勧めします。ただし、インフルエンザウイルス以外が原因による風邪には効果がありません。個人差はありますが、ワクチン接種後、効果発現まで約2週間かかり、効果持続期間は5カ月程度です。流行が予想される1カ月ほど前に接種することをお勧めします。そのほか、一般の風邪予防と同様に、うがい、手洗い、外出時のマスク着用なども効果的です。流行期はなるべく人込みを避け、バランスの良い食事、睡眠、部屋の適度な加湿などを心掛けましょう。インフルエンザにかかったかなと思ったら、早めに医療機関で治療を受けてください。のどまたは鼻の中をぬぐった液を採取し、インフルエンザウイルスに感染しているかどうかを検査します。現在、治療薬として抗ウイルス薬がありますが、症状が出てから48時間以内に服薬すると、罹病期間を短縮し、重症化するのを防ぐ効果が認められています。症状が治まり熱が下がっても、人にうつす可能性があるので、人が集まる場所はしばらく避けた方がよいでしょう。

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