2003年11月12日水曜日

「睡眠時無呼吸症候群」について

ゲスト/大道内科・呼吸器科クリニック 大道 光秀 医師

睡眠時無呼吸症候群について教えてください。

 文字通り、睡眠中に呼吸が止まる症状で、睡眠障害の一種です。睡眠中に呼吸が止まった状態が10秒以上続く、これが1時間に5回以上、一晩に30回以上あるようなら、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。一晩の間に無呼吸状態といびきをかく状態が何十回、何百回と繰り返されるため、熟睡したという感覚がなく、昼間なのに眠かったり、ぼんやりして注意力を欠く、頭が重い、などの症状が出ます。これが原因で、ち密な作業ができなかったり、注意力散漫から事故を引き起こしたりする場合もあります。主な原因は肥満で、上気道周囲に脂肪が付いて気道が狭くなっていることによって気道がふさがれ、無呼吸症状になります。肥満以外でも、アルコール摂取によって舌筋などが弛緩(しかん)する、遺伝的に上気道が狭い、扁桃(へんとう)肥大、舌の肥大などが原因の場合もあります。女性よりも男性に多く、肥満者の多い米国では以前から研究されてきました。日本でも、重大な事故の原因として取り上げられてから注目が集まり、最近では成人男性の3~4%以上がこの症状に当てはまると推定されています。

診断、治療方法を教えてください。

 睡眠時無呼吸症候群ではないかと受診にくる人の多くは、本人に自覚が少なく、家族に指摘されて来院することが多いようです。もちろん、自身で夜中に目が覚めやすいなどと認識している場合もあります。自身、あるいは周囲の人が睡眠時無呼吸症候群を疑ったら、呼吸器や睡眠を専門とする医師を訪ねることをお勧めします。睡眠中の呼吸活動、いびき、脳波、心電図などを一晩かけて調べるポリソムノグラフィという機器で計測し、病状を把握します。この検査のうち簡便な方法は自宅でもできます。仰向けで寝ないようにするだけでも症状が軽くなる人もいますし、特殊なマウスピースの使用、鼻から空気を送り込む装置の装着などの治療法もあります。肥満が原因の場合は体重を減らすことが重要です。熟睡できるようになると、驚くほど日中の生活が楽になります。思い当たる人は1度受診することをお勧めします。

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