2003年10月15日水曜日

「開咬(かいこう)」について

ゲスト/E-line矯正歯科 上野 拓郎 歯科医師

開咬について教えてください。

 開咬は、奥歯で噛(か)んでも前歯は噛んでおらず、常に前歯が開いた状態になることをいいます。人間は、普段意識しなくても、物を飲み込んだ場合、舌先は上の前歯の歯肉の裏側に付いています。前歯は外側からは唇(くちびる)の力、内側からは舌の力によって押され、力のバランスのとれたところに並びます。このバランスが崩れると開咬になることがあります。小さいころからの指しゃぶり、食べ物を飲み込むときに舌が出るなどの舌癖、蓄膿(ちくのう)症など呼吸器系の慢性的な疾患による口呼吸などはこのバランスを崩す要因となります。そのほかに、遺伝的な顎(あご)の骨格などが原因で発症することもあります。機能面での問題も大きく、きちんと発音できなかったり、前歯で食物を噛み切ることができず、奥歯や舌を使って噛み切る癖がついていたりします。奥歯の負担が大きいため、奥歯の寿命にも影響する場合があります。口自体も閉じづらく、無理に閉じると口元が常に緊張して見えます。

どのように治療するのでしょうか。

 開咬は、原因が悪癖にある場合には、早い段階からの治療が何よりも大切です。軽い開咬で早い時期なら、MFT(口腔=こうくう=筋機能療法)という、口元の筋肉のトレーニングだけで矯正できる場合もありますが、矯正装置の装着が必要な場合もあります。大人になってからでは、外科的手術が必要になることがあり、大変な時間や負担が掛かります。また日常生活の中での悪癖が原因の場合、矯正後に悪癖が残っていては、開咬に戻ってしまいます。治療とともに悪癖を取り除く訓練をすることが重要です。受診の目安は、前歯が4本永久歯に生え替わった時期です。乳歯から永久歯への移行を、より自然に、正しく美しい歯並びに誘導することが可能です。これは開咬だけではなく、受け口(反対咬合=こうごう)、出歯(上顎=がく=前突)、乱ぐい歯なども同様です。歯科医で歯の検診を受けるように、歯並びの検診を受けるつもりで矯正歯科医を訪ねてみてください。ほとんどの専門医は相談のみでも受け付けますから、事前に電話で、気になる点を確認しましょう。

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