2003年9月17日水曜日

「骨を延ばす(骨延長)矯正」について

ゲスト/つちだ矯正歯科クリニック 土田 康人 歯科医師

骨延長による矯正治療について教えてください。

 文字通り骨を延ばす治療法のことをいいます。顎(あご)を広げる場合に、外科手術で顎の骨を切断し、骨延長装置の装着を行います。その後、装置によって徐々に顎を広げ、骨の再生力によって新たな骨を形成していくという治療法です。予定の長さまで骨が形成されたら、装置を外します。手術は口の中にメスを入れるので、顔にキズが付くということはありません。また、装置自体も口の中にちょっとした突起がある程度なので、極端な違和感などはありません。手術、入院に2週間程度の時間が必要ですが、今まで改善が困難と思われていた重症の顎(がく)変形症でも治療が可能になり、また後戻りが少ないことが魅力です。もちろん手術前、手術後にも歯列を治し、咬(か)み合わせを調整する矯正治療が必要です。治療後は、咀嚼(そしゃく)、発音が不明瞭、顎の筋肉がだるいなどの症状が改善されます。このような機能面のみならず、審美面でも改善が期待されます。

どのような症状に適した治療法でしょうか。

 受け口と呼ばれる反対咬(こう)合、出歯と呼ばれる上顎(がく)前突、指しゃぶりなどが原因で上の前歯と下の前歯が咬み合わず、すき間が開いている開咬、顎が曲がった状態の顎(がく)偏位など、歯を移動させ、歯並びを整えるだけの矯正治療では治りきらない症状の場合、外科手術を行います。骨延長術によって、今までの外科手術では難しかった重度の症状でも治療が可能になりました。ただし、骨延長術を施術している病院はまだ少ないので、矯正専門医や口腔(こうくう)外科医などに相談してみてください。また、一般の矯正治療は保険外診療になりますが、前述のような症状で行う外科矯正は健康保険の適用になります。対象年齢は骨格が完成する高校生以上となります。このような反対咬合や開咬など顎の骨に異常があっても外科的矯正を行わずに治療したいという場合は、小学校1、2年生からの矯正治療が必要です。歯並びに気になる点があれば、気軽に矯正専門医に相談してください。

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