2003年2月12日水曜日

「膀胱(ぼうこう)ガン」について

ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤 誠一 医師

膀胱ガンについて教えてください。

 膀胱の中にできる腫瘍(しゅよう)の約9割はガンです。膀胱、前立腺、腎臓といった泌尿器系の臓器はガンになりやすく、日本人のかかるガンの10位までに3臓器とも入っています。原因は喫煙によるものがほとんどで、男性に多い病気です。現在、全体の喫煙人口は減少してしていますが、一方で若い女性の喫煙率は高くなっていますので、将来日本における女性の膀胱ガンは増加するものと懸念されています。また、ゴムや皮革の製造加工業、機械工、金属加工業、美容師など、化学薬品や染料を扱う職業にも発症率が高いことが知られています。症状としては、痛みがほとんど無く、血尿が出るだけです。また、膀胱炎でもないのに、頻尿になることもあります。とにかく、タバコを吸う人が何も症状が無いのに血尿が出たり、検診で血尿といわれたら要注意です。

治療と再発の可能性について教えてください。

 治療は、小さなものならカメラによる簡単な切除を行います。再発を少なくするためには、組織診断を注意深く行い、ひとかたまりとして切除することが理想的です。しかし、カメラで完全に切除しても50%の確率で再発しますので、それを防ぐために膀胱の中に抗ガン剤の注入を行います。一般的な抗ガン剤を入れても40%程度は再発しますが、弱毒結核菌であるBCGを注入した場合、再発率を15%程度まで下げることができ、非常に有効といえます。副作用も強いのですが、現在使用されている薬の中ではもっとも有効です。カメラで取りきれない状態であれば、膀胱の全摘出を行いますが、この場合、尿の出口を作る尿路変更が必要になります。尿道に再発の心配がなければ温存でき、腸を用いた新膀胱を作製し、今までと同様に自然排尿が可能となります。しかし、再発の危険性を避けるため尿道も摘除した場合、人工肛門と同じような集尿袋が必要になります。再発を防ぐためには、たばこをやめ、乳酸菌を多めに取ることが有効ですが、一番大切なのは、きちんと検査を受けて、できるだけ早期に発見し、治療することです。

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