2003年1月29日水曜日

「子宮筋腫(きんしゅ)合併妊娠」について

ゲスト/はしもとクリニック 橋本昌樹 医師

子宮筋腫と妊娠について教えてください。

 子宮筋腫は性成熟期の女性にとって、もっともポピュラーな良性腫瘍(しゅよう)で、30歳以上の女性の20%以上が罹患(りかん)しているといわれています。近年は女性の高齢出産の増加と、子宮筋腫発生の若年化により、子宮筋腫が妊娠に合併する症例が多く見られるようになりました。子宮筋腫と妊娠が合併することによって、妊娠中には切迫流産・早産、前期破水、分娩(ぶんべん)時には産道通過傷害、微弱陣痛、産褥(さんじょく)期には子宮復古不全などの異常が生じる可能性があります。最近はエコー(超音波断層法)の普及により、妊娠検診などの際に、比較的小さな筋腫でも発見されるようになりました。発見された場合は、切除することもありますが、特に症状が出ていないなら、そのまま経過観察をするのが一般的です。

妊娠・分娩の注意点について教えてください。

 妊娠初期には、硬く大きかった筋腫も、後期には軟らかく扁平(へんぺい)となり、周囲との境界が不鮮明になり、経膣(ちつ)分娩が可能になります。また子宮が大きく伸びることによって、総体的に筋腫の位置が変化し、分娩傷害を起こさずに済む場合もあります。しかし、筋腫によって妊娠の継続が危うくなる、胎児発育障害が予測される、筋腫が原因で流・早産した経験がある、子宮収縮抑制剤などを使用しても筋腫による痛み、圧迫症状が取れない場合は、妊娠中に筋腫を取り除く手術が必要になります。分娩方法については、特に症状が無く経過した場合は経膣分娩が原則です。児頭より下方にあるダクラス窩(か)に落ち込んだ筋腫などでは産道の通過傷害が起きるため、帝王切開が必要になります。また、子宮筋腫を取り除く手術を行った後に経膣分娩を試みる場合は、子宮破裂、微弱陣痛、出血などに注意し、厳重な管理が必要になります。筋腫があった場所、個数、子宮内膜の損傷など考慮し、経膣分娩か帝王切開か判断します。このように筋腫の部位、大きさによって管理・分娩方法が変わるので、妊娠初期から定期的な検診を受け、十分な管理を受けることが大切です。

2003年1月22日水曜日

「オルソケラトロジー」について

ゲスト/青木眼科 大橋 勉 医師

オルソケラトロジーについて教えてください。

 近視や軽い乱視を矯正する治療方法で、従来のやり方とは全く異なります。特殊な高酸素透過性コンタクトレンズを就寝中に着用し、角膜を矯正する、いわば角膜を癖付けする治療方法です。起床後にレンズを外しても、角膜に癖が付いていて、近視や乱視が軽減した状態を保つことができるのです。この治療の最も大きな特徴は、コンタクトレンズの使用を中止すれば、1~2日で角膜が元の状態に戻ることにあります。この可逆性が、角膜を削るレーザー手術などと根本的に違う点です。ただ角膜に癖付けするため、うまく癖付けができないと明るい光を見た時、光が散乱して見えたり、視力低下を感じることがあります。

治療の条件やリスクはありますか。

 オルソケラトロジーは、アメリカの国立眼科研究機関によって研究・施術された治療法で、約30年間にアメリカを中心に、中国、台湾、韓国などでも急速に普及しています。日本で施術され始めたのは、ごく最近です。レンズの性能が飛躍的に向上し、目への負担が軽減されるようになったからです。この治療法が広まった理由の一つとして、レーザー手術のように角膜を傷つけることが無く、近視と軽度の乱視を矯正することができる点が挙げられます。レーザー手術によって角膜を削る治療方法に不安のある人、レーザー治療を受けられる年齢に達していない人、激しいスポーツをする人、日中メガネやコンタクトなどの煩わしさから解放されたい人、裸眼で視力が必要な職業の人などにとっては、比較的適した治療法といえるでしょう。また、近視が進行中の子どもさんには近視を矯正し、進行を抑える効果があるといわれています。しかし強度の近視の場合は効果が得られないケースもありますし、長期にわたる目に対する影響は分かっていないのが現状です。また、健康保険の適用外の治療になりますから、オルソケラトロジーに関心のある人は、専門医によく相談してください。医師の指示に従っていれば、まず危険はありませんが、眼科医の間でも賛否のある治療法なので、自信が納得できるまで検討し、信頼できる医師の元で施術することをお勧めします。

2003年1月8日水曜日

「歯列の成長」について

ゲスト/北大前矯正歯科クリニック 工藤 章修 歯科医師

年齢による歯列の注意点について教えてください。

 歯科的な発育年齢は、乳歯列期、混合歯列期、永久歯列期の3期に分類されます。乳歯が生え揃う2歳半から6歳半ころまでの乳歯列期に、矯正治療が必要になることはほとんどありません。ただ、犬歯のズレによる噛(か)み癖、犬歯が伸び過ぎるなどの原因で、反対咬合(こうごう)や、顎(あご)が横にずれて噛んでしまうことがあります。また、乳歯のうちに虫歯が出来て抜歯した場合、後から生える永久歯が、本来の位置とずれて生える可能性もあります。乳歯から永久歯に生え替わる7歳から14、15歳ころまでを、混合歯列期といいます。8歳ころまでの前半は、永久歯が横や上など、異常な位置から生えてくることがあります。下の前歯が重なり合うことも多いと思いますが、大抵の場合は時間とともに本来生えるべき位置に落ち着きます。ただ、前歯の咬(か)み合わせが反対だったり、上下の顎が左右にずれているなどの場合は、専門医に相談してください。

一般的に矯正治療を始めたらよい時期はいつですか。

 歯列矯正に最も適した年代は、混合歯列期、すなわち7歳から14、15歳ころです。歯が生え揃い、顎の大きさと歯の大きさのバランス、歯並びの異常が顕著になります。上顎(がく)前突症(出っ歯)の場合では、上顎の発育を抑制し、下顎の発育を促す矯正治療をします。また、受け口の場合は下顎の成長を抑えることもできます。八重歯や歯並びがガタガタの場合も、この時期なら極力抜歯をせずに矯正できます。混合歯列期は、顎と歯のバランスを整えるのに一生で最も適しているのです。この時期に良い専門医に巡り会うことは、とても重要なことです。以後の永久歯列期に入ってからも治療は可能ですが、年齢が高くなるにつれて顎の発育を利用する治療は難しくなり、抜歯や外科手術を併用することが多くなります。咬み合わせを悪いままにしておくと、歯周病や顎(がく)関節症の原因になることもあります。歯並びに不安があるときは年齢にかかわらず、一度矯正専門医を訪ねることをお勧めします。