2002年12月18日水曜日

「糖尿病と合併症予防」について

ゲスト/青木内科クリニック 青木伸 医師

糖尿病と合併症について教えてください。

 インスリンというホルモンの働きが弱く「血糖値の高い」状態が続いてしまうのが糖尿病です。「のどが渇く」などの自覚症状が現れるのは、病気がかなり進行してからで、糖尿病の診断を受けても症状が無い人がほとんどです。しかし、症状が無くても血糖値が高い状態が続くと、血管に負担がかかり合併症を引き起こす可能性が高くなります。合併症は、腎臓や目、神経に現れ、透析が必要になったり、失明、足の切断など、重症化することも稀ではありません。また、動脈硬化が進み、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中の原因になることもあります。糖尿病は放っておくと命にかかわる恐ろしい病気なのです。

糖尿病と診断されたら、どのような点に注意すれば良いでしょうか。

 初期に適切な治療を受け、生活習慣を見直すことが何より大事です。治療と自己管理がうまくいっているかは、数値で分かります。HbA1c(過去1~2カ月の平均的血糖値)は重要で、糖尿病の場合は6.5%以下に維持します(正常値は5.8%以下)。この値を保つことが難しいと考える人が多いのですが、今まで診察した患者さんの平均は6.4%以下を保っている例がほとんどです。投薬と食事療法、軽い運動などの管理ができれば、長期に支障なく生活できます。糖尿病患者の約半数は高脂血症や高血圧症を合併しています。高脂血症予防には、糖尿病の場合総コレステロール値200mg/dl以下を目標に(健康な場合は220mg/dl)、また狭心症のある人は180mg/dl以下に保ち、心筋梗塞や脳梗塞を防ぎます。血圧については、糖尿病による腎臓病のある人は、125/75mmHg以下に維持しなくてはいけません。中性脂肪値は糖尿病の場合、120mg/dl以下の維持を目指します。このように、糖尿病の合併症を予防するには、血糖値以外の検査値にも注意を払う必要があります。食事内容や生活習慣など、細かなことまで相談できる主治医のもとで、自覚を持って生活を管理することが糖尿病とうまく付き合っていくためのコツです。

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