2002年11月13日水曜日

「糖尿病」について

ゲスト/秀愛会内科・消化器化クリニック 高梨良秀 医師

糖尿病について教えてください

 糖尿病は、膵臓(すいぞう)でのインスリンの作られ方が不足したり、インスリンの働きが弱かったりする病気です。中年以降の発病が多く、自覚症状としては、のどの乾き、多尿、体重減少、倦怠(けんたい)感などがあります。多くの場合は自覚症状が出る以前に、健康診断などで尿検査に異常値が出るなどして、受診される方が多いです。初期の時点で糖尿病を治すために本人が真剣に取り組めば、悪化することなく経過します。ところが、糖尿病の本当の恐ろしさは、病状が進行するにつれて、重い合併症を引き起こすことにあります。合併症としては、神経障害、網膜症、腎症、さらに脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞を合併する可能性もあります。神経障害では、壊疽(えそ)によって組織が腐った状態になることもあり、足の部分切除や場合によっては足の切断ということもあります。網膜症では進行すると眼底出血によって失明する恐れもあります。腎症は進行すると、腎臓の機能が低下し、血液透析が必要になります。糖尿病は決して珍しい病気ではありませんが、このような合併症を引き起こす病気であることを知ってください。

合併症を避けるにはどのようにすればいいでしょうか。

 医師の指示に従って、処方された薬を飲み、食習慣、生活習慣を改めれば問題ありません。しかし、自覚症状が無いため、薬を飲まなかったり、これくらいはとカロリーを取り過ぎたりする人が多く、病院にも足が遠のいて、気が付いた時には悪化しているという場合が非常に多いのです。初期の場合は、今までの食事の8割程度を摂取できるのに、悪化してからでは6割程度と段々制限も厳しくなります。すると、それが守れず、さらに悪化するという悪循環を生み出します。糖尿病を治療するには、本人の自覚と強い意志が大切です。糖尿病と診断されたら、定期的に病院へ行き、検査を受けてください。処方された薬を飲み、適度な運動とカロリーを控えた食生活を心掛けるだけで、合併症から身を守ることができるのです。

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